「週休3日制」のテストをDellが開始

日本では週休2日制が当たり前ですが、ストレス軽減や生産性の向上につながると報告されている「週休3日制」が一部の地域や企業で導入され始めています。さらに、大手テクノロジー企業のDellがオランダで週休3日制を試験的に導入し始めたことが報じられました。

Dell Netherlands trials 4-day workweek • The Register
https://www.theregister.com/2022/04/11/4day_workweek/

近年「週休3日制」への注目が集まっており、イギリスでは2022年1月17日から全土で試験運用がスタートしました。この試験運用には約30の企業が参加しており、6カ月の運用期間で、研究機関が企業と協力して生産性・労働者の幸福度・環境・男女平等への影響などを測定します。

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これに続く形で、「オランダのDellでは従業員が週休3日制で勤務できるようになる」とThe Registerが報じています。オランダのDellでゼネラルマネージャーを務めるイザベル・モル氏がThe Registerに出した声明には、「4月1日から、我々は週休3日制の最初の試験運用者を歓迎しています。現在、別の従業員が週休3日制を採用できるようにするべく面接プロセスに入っており、近い将来にはより多くの候補者が週休3日制に移行できるようになることを望んでいます」と記されています。

モル氏によると、週休3日制は既存のすべての従業員向けに開放されている模様。ただし、労働時間に応じた賃金が支払われることになるため、同制度を採用すれば週休2日制時よりも賃金が下がる可能性があります。

モル氏はオランダの金融紙であるFinancieele Dagbladのインタビューに回答しており、週休3日制を採用する理由として「労働市場における人材不足」「より多様なグループを取り込むこと」「競争に脱落するまで仕事に精力を注ぐことに興味を持てなくなった人々を取り込むこと」などを挙げています。

なお、世界銀行が公開しているデータによると、オランダの労働者の55％がパートタイマーであるとのこと。さらに、Dellによるとオランダ人女性に限ればこの数字が最大60％にまで上昇するそうです。なお、各国の労働者全体におけるパートタイマーの割合は、ドイツが43％、イギリスが41％、アメリカが28％です。ただし、これらの数字はビジネス分野ごとに細かく分類されているわけではないため、業界によってはよりパートタイマーの割合が多くなる可能性があります。

週休3日制の実験では、1日の労働時間を8時間から10時間に伸ばすことで、「8時間×5日＝週40時間」を「10時間×4日＝週40時間」とするケースもあります。ただし、オランダのDellで行われている週休3日制の試験導入では、1日の就労時間を伸ばすことはされません。過去の研究によると、週休3日制を導入することで1週間の就労時間を40時間から35、36時間に短縮(1日8～9時間)しながら賃金を下げなかった場合、生産性は以前と変わらないかより向上することが示されています。

週休3日制を導入することで生じる問題は、「1週間の就労時間を短縮する」こと以外にもあるとThe Registerは指摘。新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中の企業は出社・リモート・ハイブリッドという3つ働き方を突き付けられることとなりました。Dellは全世界で16万人もの従業員を雇用していますが、2020年8月には「従業員の60％がオフィスに出社することを拒絶するだろう」と報じられました。こういった中で、従業員の大規模退職を避けるための緩和策として週休3日制の導入が期待されているのではとThe Registerは報じています。