インドで「週3日労働」を採用する企業が現る、「これが仕事の未来」と創業者
大規模な人材不足に悩むインドのエンジニア市場に「週3日労働制」を採用した企業が登場しました。この企業の創設者は「これが仕事の未来です。人は仕事に縛られたくないものです」と表現しています。
A Three-Day Work Week? One Startup Experiments to Draw Talent - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-10-04/a-three-day-work-week-one-startup-experiments-to-draw-talent
1926年アメリカの自動車製造業のフォードが「1日8時間・週5日労働」を導入して以降も労働時間を削減するという試みは続いており、近年では日本マイクロソフトが2019年に試験的に週4日労働制を導入した他、2021年にはスペインが国家レベルで週4日労働制とを検討していることが明らかになっています。
「週休3日制」の導入が国家レベルで検討されている - GIGAZINE
こうした流れの中、インドのフィンテック系スタートアップ企業「Slice」が、これまでの試みの一歩先を行く「週3日労働制」を採用したことを明かしました。同社によると、この制度で働く従業員の給与は市場相場の80%で、福利厚生についてはサポートされているとのこと。
インドのテクノロジー系市場は世界中の投資家が数十億ドル(数千億円)を注ぎ込んでいるとされるほどの注目を集めており、シリコンバレーやウォール街と競い合うようにして若い才能を強く求めています。こうした状況で人材確保に動くインドのテクノロジー企業の多くが採用しているのが、他社にはない魅力をアピールするという戦術です。
Sliceはインドの「銀行口座を所有する国民は数億人に達するにもかかわらず、クレジットカードを有しているのはわずか3000万人」というギャップに目を付け、フルタイムの仕事に就いていない人にもクレジットカードの間口を広げることで短い期間で300万人の登録者数を獲得し、これまでの資金調達ラウンドでおよそ3000万ドル(約33億円)を集めたという投資家からの注目度も高い企業です。新型コロナウイルス感染症による打撃から回復基調にあるインドにおいて、数百万人のエンジニアが在宅勤務から対面の仕事に戻ろうとしている中、Sliceは週3日労働制をアピールして今後3年で従業員数を450人から1000人に増やす予定です。
実際にSliceが週3日労働制をアピールしている求人ページが以下。
slice | code-in-3
https://code-in-3.sliceit.com/
週3日労働に関する項目では、「たとえコードにバグがあったとしても、週3日勤務であなたのワークライフをサポートします」と明記されています。
そのほか、テレワークに対応している点や不要なミーティングを毎日行わない点などが強調されていました。
Sliceの創設者であるRajan Bajaj氏は「これは仕事の未来です。人は仕事に縛られたくないものです」「従業員は週3日の労働で給料と福利厚生を得ることができ、残りの時間はスタートアップの夢を追いかけたり、共同創設者を探したり、仕事以外の情熱を追求したりすることに費やせます」と述べ、週3日労働制はGoogleやAmazonのような大手テクノロジー企業すら採用していないため一定の人材の確保が見込めると主張しました。
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