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週4日労働制の導入はどのように世界中の企業で実施されているのか?


従来の週5日労働制よりも休日が増える週4日労働制には、生産性の向上や企業の支出削減従業員のストレス軽減や生活満足度の向上男女平等の促進といったさまざまなメリットがあることがわかっています。そんな週4日労働制が世界中に広まりつつあると、アメリカのラジオネットワークであるナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が報じています。

4-Day Workweek's Appeal Goes Global As Bosses Seek To Boost Profits And Morale : NPR
https://www.npr.org/2020/02/21/807133509/enjoy-the-extra-day-off-more-bosses-give-4-day-workweek-a-try

週4日労働制というアイデアについて、「労働時間が増加する傾向にあり、携帯電話とメールが24時間365日仕事のことを思い出させるアメリカにおいては、クレイジーなアイデアに聞こえるかもしれません」とNPRは指摘。しかし、そんなアメリカにおいても、一部の企業では週4日労働制が始まっているとのこと。

欧米諸国だけでなく、アメリカでもワシントン州で1週間の標準労働時間を32時間に削減する法案が提出されるなど、労働時間の削減は世界的なムーブメントになりつつあります。企業が週4日労働制を実現する際、1日8時間だった規定の労働時間を1日10時間に延長して対応する場合もあれば、ファストフード店のShake Shackのように、1日8時間労働を維持したまま週4日労働制に移行するケースもあります。

Shake Shackは2018年に週4日労働制を導入したことに伴い、1週間の労働時間が40時間から32時間に減少しましたが、給与の削減は行われませんでした。本格的な導入に先駆けて、まず一部の店舗で社員の労働日を週4日に削減したところ、いくつかの店舗で女性社員の採用数が急増したとのこと。Shake Shackの社長であるTara Comonte氏は週4日労働制について、「たとえば、週1日は自分の子どもを学校に連れて行ったり、託児所に支払う料金を1日分節約したりすることができます」と述べており、社員からは週4日労働制が好評だそうです。


一部店舗での成功を受けて、Shake Shackは週4日労働制をアメリカ国内にある全164店舗の3分の1にまで拡大しました。週4日労働制を導入するに当たって、Shake Shackは労働時間を短縮する方法を模索したそうで、牛ひき肉の供給状況を把握するためのコンピューターソフトウェアを導入するなどの改善を行ったとのこと。

「週4日労働制の導入は労働の柔軟性を高めるための方法でした。ここ最近、多くの企業は柔軟な勤務方針を持ち始めていますが、レストランビジネスで柔軟な勤務を実現することは簡単ではありません」と、Comonte氏は述べています。

by Robert S

Shake Shackに限らず、世界中で多くの企業が週4日労働制に注目していますが、この世界的なムーブメントの発端となったのは、ニュージーランドで遺書作成や遺産管理のサービスを提供するPerpetual Guardianという企業です。Perpetual GuardianのCEOを務めるAndrew Barnes氏は、自身の発案による週4日労働制の導入がここまで大きなムーブメントになるとは考えていなかったそうです。

元々Barnes氏はキャリアの多くを仕事に費やし、積極的に長時間労働を行うタイプの人間でしたが、やがて労働が従業員やその家族に与える精神的影響に不安を感じ始めたとのこと。そこでPerpetual Guardianに勤務する240人の従業員を対象に、試験的に週4日労働制を実施することにしました。週4日労働制の試験にあたっては、オークランド工科大学の研究者が従業員のストレスレベルや生産性の変化を測定し、業務や精神状態にどのような影響が及ぶのかが注視されました。

「週4日労働制というアイデアの核心は、人々がオフィスにいる全ての時間において、常に生産的であるわけではないという点です」とBarnes氏は指摘。週4日労働制は従来と同じ働き方をしていては実現できませんが、会議の数や時間を削減するだけでも膨大な時間を削減できた上に、仕切りのないオープンオフィスを廃止するなどの施策により、従業員がより深く仕事に集中することが可能になったとのこと。


Barnes氏は週4日労働制の導入により、労働者が短い時間で多くの仕事を完了させられるようになり、売上や利益が増加し、出勤日の減少に伴って通勤時間も減るなど多くのメリットがあったと主張しています。また、予想外のメリットとして職場における男女格差の減少があったそうで、家族の介護に時間を割く必要がある女性社員がより柔軟な勤務を行えるようになり、男性社員も以前より家族と関わる時間が増えたとのこと。

Perpetual Guardianは生産性やストレスレベルについては注視したものの、「勤務時間中に社員がどのように時間を使っているか」という点については注視しませんでした。しかし、「週4日労働制で労働生産性が下がった場合、週4日労働制は廃止となってしまう」という点が、従業員のモチベーションを高めたのではないかとBarnes氏は考えています。


研究者がPerpetual Guardianにおける週4日労働制を試験的に導入した結果を発表したところ、大手の多国籍企業を含む数多くの企業から、Barnes氏のもとへ週4日労働制に関する助言を求める声が殺到したとのこと。「率直に言うと、アプローチしてきた多くの企業に対処する必要があったため、私はコーヒーを飲む余裕もありませんでした」とBarnes氏は述べており、会社に週4日労働制を導入した結果としてBarnes氏自身は非常に多忙な日々を送ることとなったそうです。

世界中からの需要に対応するためにBarnes氏は「4 day week」という組織を設立するなど、週4日労働制の基盤を確立するために多くの労力を注いで来ました。その過程でBarnes氏は多くの残業をすることになってしまいましたが、「世界を変えるチャンスは一度しかありません。少なくとも、週4日労働制の分野で私が世界を変えられるかどうかを確かめることは、私の責任だと感じています」と述べており、結果としての残業に後悔はないとのこと。


アメリカでは労働組合の権力や政治的影響力が弱く、企業は労働者の利益よりも株主の利益を優先しがちだそうですが、フィラデルフィアに本拠を置くソフトウェア企業のWildbitをはじめとする一部の企業は週4日労働制の導入を開始しています。WildbitのCEOを務めるNatalie Nagele氏は、従業員に十分なモチベーションがなく、企業が従業員を信頼していないと週4日労働制は失敗してしまうと指摘。

Wildbitにおいては週4日労働制が成功を収めているそうで、「私たちの生産性や作業の質は週4日労働制の導入に伴って向上し、以前よりも多くの機能を出荷することができました。そのため、週4日労働制を続けています」とNagele氏はコメント。Nagele氏の個人的な感想としては、週4日労働制は脳を休めて複雑な問題を解決するアイデアを思いつく役に立つとのこと。頭を悩ませていた問題の解決策が、休日の朝に目覚めた時にふと思いつくケースも多いとのことです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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