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欧州議会で「修理する権利」の改善に関する提案が採択、製品の修理可用性の向上&寿命延長を目指す


欧州連合(EU)における立法機関である欧州議会(EP)が、「修理する権利」に関する新たな提案を採択しました。欧州議会は「修理する権利」を改善し、デジタル製品がより安全かつ長持ちするようになることを目指しています。

Right to repair: MEPs want more durable and more easily repairable products | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220401IPR26537/right-to-repair-meps-want-more-durable-and-more-easily-repairable-products


EU votes to back Right to Repair proposals | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/22/04/08/eu-votes-to-back-right-to-repair-proposals

EU Right to Repair resolution heads to plenary vote • The Register
https://www.theregister.com/2022/04/07/ec_right_to_repair/

The EU Parliament is One-Step Closer to making the 'Right to Repair' Law and forcing companies like Apple to comply - Patently Apple
https://www.patentlyapple.com/2022/04/the-eu-parliament-is-one-step-closer-to-making-the-right-to-repair-law-and-forcing-companies-like-apple-to-comply.html

欧州議会が2022年後半に予定されている「修理する権利」に関する新しい提案について採択の可否を問う投票を行ったところ、賛成509票、反対3票、棄権13票という結果となりました。今回の新しい提案は、「『修理する権利』をより効果的なものとするには製品ライフサイクルに対応し、消費者向けの情報に製品設計・倫理的生産・標準化・修理可能性に関する表示を含み、さらに公共調達を考慮に入れるべきである」というもの。欧州議会は「修理する権利に関する新しい提案が採用されれば、資源をより効率的に使用する流れが加速し、無駄が減り、製品ごとの寿命がより長くなるはずである」と述べています。


欧州議会は製品がより長持ちし、安全に修理できるようになり、部品が簡単に取り外せるように設計されるようになることを望んでいます。そのための新しい提案が、今回の投票で賛成多数となり欧州議会により採択されたもの。欧州議会はデジタルデバイスについて、「ソフトウェアのアップデートは可逆的であるべきであり、例えばスマートフォンのパフォーマンス低下につながるようなものであるべきではないと主張しています。また、アップデートは最低期間提供されるべきであり、消費者は購入時にアップデートの有無について十分な情報を得るべきである」と記しています。

上記の主張に反するあるいは不当に制限するような慣行は、「不公正な商慣行」としてEU法の下で禁止される可能性があります。


さらに、欧州議会は「修理する権利」について以下の5点を要求するとしています。

・延長保証や修理期間中の交換用デバイスの受け取りなど、消費者がデバイスの交換よりも修理を選んだ場合のインセンティブ
・修理スコア・推定寿命・スペアパーツ・修理サービス・ソフトウェアアップデートの可用性など、販売時点で消費者が受け取ることとなる情報に関する統一されたルール
・QRコードやデジタル製品パスポートといったスマートラベリングの追加
・製品の不適合に対する製造業者と販売業者の共同責任メカニズムの可能性
・将来のエコデザイン指令に含まれる耐久性と修理に関する要件

欧州議会は過去10年以上にわたり、消費者の「修理する権利」を改善するべく取り組んできました。そして、製品の修理を体系的かつ費用効果が高く魅力的なものにするため、具体的な提案を含む2つの決議を採択しています。

さらに、欧州議会は「修理する権利は欧州グリーンディールの枠組みの中でサーキュラーエコノミー計画を達成するための重要なステップとしても位置づけられる」と主張。そして、2022年第3四半期に商品販売指令を修正する案を提出しており、修理する権利に関する別の立法案を検討していると発表しています。


なお、欧州委員会主導の世論調査であるユーロバロメーターによると、EU市民の79%が「メーカーがデジタルデバイスの修理や個々の部品の交換を容易にする必要がある」と考えており、77%が「新しいデバイスを購入するよりも修理したい」と考えていることが明らかになっています。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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