Google Playの「お支払いプロファイル」が機械的にブロックされたとの報告、SNSや掲示板を通じたGoogleへの異議申し立ても増加
GoogleはAndroidアプリを配信するGoogle Playにおいて、セキュリティな危険があったりユーザーにとって有害だったりするアプリを削除していますが、時には「突如として開発者アカウントが削除されてしまった」「Googleの勘違いで何の問題もないアプリが削除されてしまった」といった問題も起きています。新たに、100万人のユーザーを抱えるスポーツ練習用アプリの開発者が、「Google Playのお支払いプロファイルが機械的にブロックされてしまった」とソーシャルニュースサイトのHacker Newsで報告しています。
Tell HN: Google Play blocked payments for Riders app with 1M users | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=30861147
Hacker Newsに投稿を行ったアプリ開発者のIgor Debatur氏は、BMXやスケートボード、スノーボードといった競技の練習をサポートする「RIDER」というアプリをリリースしています。RIDERでは、これらの競技における2500以上のトリックについてビデオチュートリアルが公開されているほか、その後に練習すべきトリックを示すパーソナライズプランが提供されているほか、地元のコーチによる対面レッスンをセッティングすることもできるとのこと。
Debatur氏によるとRIDERは100万人のユーザーを持ち、約2万5000件もの肯定的なレビューを受け取っているそうで、「アクションスポーツの参加者にとって最も人気のあるアプリの1つ」だとのこと。ところが2022年3月31日にDiResta氏は、「約2カ月前からRIDERのお支払いプロファイルがブロックされてしまった」と報告しています。
アプリのお支払いプロファイルがブロックされてしまうと、課金などによる売上を引き出すことができません。困ったDebatur氏は必要な書類をすべて提出し、サポートにも相談を行ったそうですが、Google Play側は「当社の専門家チームは、このお支払いプロファイルは利用規約に違反したため、一時停止したままにしておく必要があると判断しました。この件や一時停止に関する具体的な状況についてはご相談いただけません」と回答し、復活させることはできなかったと述べています。
困ったDebatur氏がHacker Newsに問題を投稿したところ、「アプリのパブリッシャーになっている『Whitespace』という企業がロシアのサンクトペテルブルクに拠点を置いていること」「Debatur氏はロシア出身でありロシアの市民権を持っていること」などが問題となり、ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁に巻き込まれたのではないかとの回答が寄せられています。
これに対しDebatur氏は、RIDERは確かにWhitespaceによって公開されたものの、すでに所有権はアメリカ・デラウェア州の「Riders app Inc」に移されており、この点はGoogle Playのダッシュボードでも明らかだと主張。また、記事作成時点でDebatur氏が居住しているのはカナダであり、ロシアには税金も支払っておらず、今はカナダの市民権を得るための手続きを進めている最中だとのこと。加えて、RIDERアプリのお支払いプロファイルがブロックされたのはロシアのウクライナ侵攻が始まる前であるため、直接は関係ないだろうと述べました。
なお、Debatur氏はロシアのウクライナ侵攻については、「私はロシアの政権と戦争には反対しており、ウクライナのチームメイトや友人をサポートするためにできる限りのことをしています。それは(RIDERの)他のチームメイトや友人も同じです」とコメントしています。
その後のやり取りで、今回のブロックはこれまでRIDERアプリのお支払いプロファイルに登録されていた銀行口座を閉鎖し、新しい銀行口座を開設したタイミングとかぶっているとDebatur氏は述べており、これが原因でお支払いプロファイルがブロックされてしまった可能性が指摘されています。
「最初にその情報を開示してほしかった」という声に対し、Debatur氏は「問題はGoogleが彼らの側の情報を開示していないことです。(ブロックの)公式な理由が記載されていません。これが問題なのです。彼らのアルゴリズムが何かをして、それでおしまいです」と答えました。
Google Playによるアプリの削除や開発者アカウントの停止については、前触れもなくいきなり停止されてしまうことへの不満や、Googleに申し立てを行っても自動返信と思われるメールしか返ってこず、何が問題となったのかさえわからないとの苦情が多くみられます。
Googleは一切の猶予なしにAndroidアプリの開発者アカウントを停止しているとして不満が噴出 - GIGAZINE
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Google側に訴えても事態が進展しないことから、Hacker NewsやRedditなどに問題を報告することで、外部からGoogleを動かそうとする試みも増えています。モバイルゲーム開発企業のRaya Game Publishingを運営するAli Nadalizadeh氏は、10年間以上にわたりGoogle Playでゲームをリリースし、合計100万回以上のダウンロードを獲得した開発者アカウントが停止し、すべてのゲームとアプリが削除されたというメールを受け取ったとRedditに報告。「私たちは困難な状況に直面しており、コミュニティが私たちを助けてくれることを願っています」と述べています。
Google has terminated our Developer Account, says it is "associated"? : androiddev
https://old.reddit.com/r/androiddev/comments/ts6jfg/google_has_terminated_our_developer_account_says/
Nadalizadeh氏によると、今回の開発者アカウント停止についてGoogle開発者ポリシーを徹底的に確認したものの、公開しているアプリやゲームに問題は見当たらなかったとのこと。その代わり、かつてRaya Game PublishingのGoogle Playコンソールにアクセス可能だった元従業員が、退職から数年後に個人的なアカウントで起こした問題に関連している可能性があることが判明したそうです。この点について正式な異議申し立てを行ったものの、同じ自動応答が返ってくるだけであり、Google Playのポリシーチームの適切な担当者と連絡を取る方法も見当たらないと報告しています。
その後、RedditをきっかけとしてRaya Game Publishingの事例が広まったおかげか、ようやくGoogleがRaya Game Publishingの異議申し立てを検討し、Google Playの開発者アカウントが復活されました。Nadalizadeh氏は、「本当にありがとうございました。私たちが本当のポリシーチームの担当者に連絡を取るのを手伝ってくれたすべてのコミュニティメンバーに、心から感謝しています。私たちの問題が解決されて本当にうれしいですが、そもそもこのようなソーシャルメディアキャンペーンは必要ないはずであり、すべての中小企業がアカウントを復活させる機会が得られるとは限りません」とコメント。Googleはアカウントの自動的な関連付けをやめ、開発者コミュニティとの関係を改善するべきだと主張しました。
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