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新時代の発電方式として注目される「小型モジュール式原子炉」とは?


気候変動対策として脱炭素社会の実現が求められるなか、二酸化炭素を排出しない発電方式の1つとして原子力発電に注目が集まっています。経済紙のThe Economistが、従来の原子炉の代替になる可能性を秘めた「小型モジュール式原子炉」について解説しています。

Developers of small modular reactors hope their time has come | The Economist
https://www.economist.com/science-and-technology/developers-of-small-modular-reactors-hope-their-time-has-come/21808321

原子力発電は発電時に二酸化炭素を発生させない発電方式で、日本を含む世界各国に建設されています。しかし、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故や2011年の東日本大震災で福島第一原子力発電所で、原子力発電所から放射性物質が漏出する事件が複数件発生したことから「原子力発電所のリスク」が世界中で注目されるようになりました。この結果、世界の電力生産に占める原子力発電の割合は1996年には17.5%でしたが、2020年には10.1%にまで低下しました。


一方で、気候変動対策として二酸化炭素排出量の削減が世界中で求められるようになったことや、ロシアのウクライナ侵攻による化石燃料の高騰および天然ガス供給の不安定化によって原子力発電が再注目されています。

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この状況下で未来のエネルギー源として注目されているのが小型モジュール式原子炉(SMR)です。2020年にはアメリカの民間原子力企業・NuScale PowerのSMRがアメリカ合衆国原子力規制委員会に承認されたり、イギリスのSMR企業連合が16基の原子炉建築計画を発表したりといった動きが着々と進んでおり、国際原子力機関(IAEA)は世界中で約50のSMR建築計画が進んでいると見積もっています。

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SMRは「小型」という名前の通り従来の原子炉より小型なことが特徴であるため、発電所の建設地で組み立てられる従来の原子炉と異なり、工場で組み立てることが可能です。このため、訓練を受けた作業員が1つの工場で次から次へと原子炉の建設に取り組むことができるうえ、さらに通常の原子炉の建設時にありがちな「天候の影響で工期が遅れた」といった事態を避けられるというメリットもあります。NuScale Powerの最高戦略責任者であるクリス・コルバート氏は「発電所の建設地で17時間かかる作業も、工場では1時間で完了します」と、SMRの工場生産のメリットをアピールしています。

SMRのメリットは製造面だけでなく、安全面にもあります。NuScale Powerの開発するSMRには「パッシブ冷却システム」が採用されており、ポンプや可動部品の必要なく燃料棒を冷却することが可能。さらに、小型であることから比較的少量の水で冷却可能なため、冷却システムが使用不能になっても貯水槽の水で十分に冷却できるとのことです。


また、X-energyU-Batteryといった企業が開発するSMRは、炉の冷却にヘリウムなどの気体を利用するように設計されており、原子炉冷却後のヘリウムは約750度という高温状態を保つとのこと。このため、化石燃料を用いた発電所と同様に排出される熱を再利用可能だとされています。また、U-Batteryのチーフエンジニアであるティム・アブラム氏は「ヘリウムの熱を用いて熱化学水素製造による水素の産出が可能かもしれません」と述べています。

上記のようにSMRは製造コストや安全面に大きなメリットを持っていますが、The Economistは「1960年代からSMRの開発は行われていたものの、経済・技術の問題から商業化には至りませんでした」と述べ、歴史と照らし合せるとSMRが従来の原子炉に取って代わるかには懐疑的な姿勢を示しています。一方で、「ロシアのウクライナ侵攻によってエネルギー政策の転換が求められる現状は、SMRにとってこれ以上ないチャンスでしょう」とも述べています。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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