ウクライナが重要インフラの保護やロシア軍へのスパイミッションに従事するハッカーを募集

2022年2月24日にロシアがウクライナへの軍事侵攻に踏み切り、ロシアと国境を接するウクライナ東部だけでなく、首都のキエフや黒海沿いのオデッサなどウクライナ各地がロシア軍による攻撃を受けています。そんな中、ウクライナ政府が「ロシア軍から重要なインフラを守ると共にスパイ活動に従事するボランティアのハッカー」を募集しているとロイターが報じました。

EXCLUSIVE Ukraine calls on hacker underground to defend against Russia | Reuters
https://www.reuters.com/world/exclusive-ukraine-calls-hacker-underground-defend-against-russia-2022-02-24/

ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が始まった2月24日、ウクライナの政府関連ウェブサイトや銀行が大規模なDDoS攻撃を受けていることが報じられました。また、ウクライナ国内に配備された数百台のマシンに「Hermetic Wiper」というデータワイパー型マルウェアが感染するなど、ウクライナに対するサイバー攻撃も発生しています。なお、ロシアは一連の攻撃に関与しているとの疑惑を否定しています。

ウクライナ政府サイトにDDoS攻撃、さらに数百台のウクライナのマシンにデータ削除を行う新しいマルウェアを発見 - GIGAZINE

そんな中、ハッカーフォーラムに「ウクライナのサイバーコミュニティ！今こそ国家のサイバー防衛に従事する時です」と、ウクライナを支援するボランティアハッカーを募集するメッセージが投稿されました。このメッセージは、ハッカーやサイバーセキュリティの専門家に対し、Googleドキュメントを介したアプリケーションの提出、マルウェア開発などの専門的な参考文献のリストアップなどを要請するものでした。

このメッセージの投稿に携わった人物の1人が、キエフのサイバーセキュリティ企業・Cyber Unit Technologiesの共同創設者であるYegor Aushev氏です。Cyber Unit Technologiesは重要なインフラストラクチャーの防衛に関して以前からウクライナ政府と協力しており、今回のメッセージ投稿もウクライナ国防省高官からの要請を受けたものだとAushev氏はロイターに語っています。同じくメッセージの投稿に携わった別の人物も、24日の朝に国防省から連絡を受けたことをロイターに認めています。

ウクライナ国防省の代表者はロイターの問い合わせに応じなかったほか、ワシントンD.C.のウクライナ大使館は「Telegramチャネルからの情報を確認できない」として、それ以上のコメントを拒否しました。

Aushev氏によると、ボランティアのハッカーは「防衛ユニット」と「攻撃ユニット」に分かれて活動するとのこと。防衛ユニットは発電所や水道などのインフラストラクチャーを守るための活動に従事し、攻撃ユニットはロシア軍に対するデジタルスパイ活動に従事するそうです。Aushev氏はすでにウクライナ国内にロシア軍が侵攻していることから、ロシア軍の動向を知ることが重要だと主張しています。

Aushev氏によると、24日の夜には数百人のハッカーがボランティアとして協力することを名乗り出たとのことで、今後は協力者の中にロシアの工作員が紛れ込んでいないかどうかのチェックを始めるとのことです。