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ロシアのウクライナ侵攻はチップ不足を悪化させる可能性あり、チップ製造レーザーに不可欠な半導体グレードのネオンの90%以上を供給しているため


ロシアのウクライナ侵攻が続く中、ウクライナが供給してきた「ネオン」に注目が集まっています。ウクライナ産ネオンはアメリカで用いられている半導体グレード品の90%超を占めており、昨今の半導体不足がさらに長期化する可能性が報じられています。

Companies shut Ukraine operations and brace for sanctions on Russia | Reuters
https://www.reuters.com/business/companies-shut-ukraine-operations-watch-sanctions-russia-attacks-2022-02-24/

Russian invasion of Ukraine to further strain U.S. chip supply
https://www.cnbc.com/2022/02/24/russian-invasion-of-ukraine-to-further-strain-us-chip-supply.html

主要サプライチェーンの原材料とコンポーネントを専門とする市場調査企業のTechcetが新たに「ウクライナ産ネオンの供給不足によって半導体産業が打撃を受ける可能性がある」と報告しました。Techcetによると、ネオンは原版に描かれた回路パターンを露光装置を介してシリコンウェハー側に転写する技術「半導体リソグラフィ」に不可欠であり、アメリカにおける半導体リソグラフィ用ネオンの90%超がウクライナ産なのだそうです。

また、ウクライナ産ネオンはロシアの鉄鋼製造によって副産物として生成されたネオンを精製したもので、今回のウクライナ侵攻の当事者である両国が大きくかかわっている状況とのこと。実際に、2014年のクリミア危機に際してはネオンの価格は7倍になったと確認されています。


希ガス産業に関するドイツ政府の白書によると、ウクライナが過剰供給と呼ばれるほど多量のネオンを産出している理由は、1980年代にソビエト連邦がミサイル防衛や衛星防衛用のレーザー兵器を開発するためにネオン産業に多大な投資を行ったことが理由とのこと。

具体的にどの産業が特に打撃を受けるのかについて、Techcetの社長兼CEOのLita Shon-Roy氏は「自動車産業のチップ製造元に打撃を与えるでしょう」と回答。コロナ禍のチップ不足によって打撃を受けてきた自動車産業がさらなる苦境に陥るだろうという見方を示しました。


ただし、Shon-Roy氏によると、ほとんどのチップメーカーは長期契約を結んでいるため、短期的なスパンでの価格上昇は生じないとのこと。これについてShon-Roy氏は「1年とは言わないまでも、半年は値上がりを実感することはないでしょう。値上がりを実感するとしたら、まずは自動車市場からです」と述べています。

このような状況に対し、ホワイトハウス高官は「ロシアが半導体のサプライチェーンを妨害するような行動をとった場合に備え、サプライチェーンと連携している」とコメント。半導体大手のMicron、SKハイニック、Intelはそれぞれ「影響は限定的」という旨の回答を行っています。

半導体大手各社、ウクライナ侵攻による供給網混乱は限定的と予想 | ロイター
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-chips-idJPKBN2KT3ES

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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