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年間4億円以上を稼ぎ出す上にCO2排出量も63%削減できる「石油採掘を利用したマイニング」とは?


石油掘削中に発生して無駄になってしまう天然ガスをビットコイン採掘(マイニング)の電力に用いて年間4億6000万円を稼ぎ出しているビジネスについて、アメリカのニュース放送局CNBCが報じています。CNBCはこのビジネスを編み出した若者2名にコンタクトを取り、どのようにそのビジネスを始めたのか、何が成功のキーになったのかなどを聞き出しています。

23-year-old Texans made $4 million mining bitcoin off flared natural gas
https://www.cnbc.com/2022/02/12/23-year-old-texans-made-4-million-mining-bitcoin-off-flared-natural-gas.html

仮想通貨(ビットコイン)の一部は、複雑な取引の計算を解く「マイニング」の報酬として得ることができますが、その計算には膨大な電力を消費するため、地球温暖化の一因になっているとたびたび報じられています。こうしたことから、マイニング業者の中にも環境に比較的優しいマイニング手段として「原子力発電」と手を組むという事業者が現れるなど、環境に配慮したさまざまな取り組みが進められています。

ビットコインの採掘企業が「原子力発電」と手を組む動きが進んでいる、環境に優しい電力源として - GIGAZINE


ブレント・ホワイトヘッド氏とマット・ローストロー氏は2019年、彼らが大学2年生だったときにテキサス州東部にある油田でビットコイン採掘事業を始めました。当時、石油・ガス会社がビットコインの採掘業者と手を組むというのは、前衛的であると同時に大きなタブーだと考えられていたそうです。そんな中で、石油・ガス生産に長い歴史を持つ家系のエンジニアであるホワイトヘッド氏と、ビットコインに夢中な金融専攻のローストロー氏は、反対意見を無視して副業で稼いだ現金をすべて、自らが創業した「ギガ・エネルギー・ソリューションズ」という石油・ガス事業者につぎ込みました。


ローストロー氏が目をつけたのは、石油・ガス会社が長年悩まされている、石油の掘削中に誤って天然ガスの地層に衝突した場合の対処という点。石油はトラックで遠隔地まで運ぶことができる一方で、ガスの移送にはパイプラインが必要となるため、パイプラインがそばにある掘削現場でなければ天然ガスが産出しても全て無駄となってしまいます。また、そのままガスを放出した場合には環境への負担が大きいため、多くの場合はガスフレアを使ってガスを焼却処分していますが、ガスフレアを使った場合でも温室効果は75~90%までしか抑えられないため、パイプラインがそばにない掘削現場はガスを燃やすという多額の資金をドブに捨てるのと同義の行為を行っている上に、環境にまで悪影響を及ぼしているという二重苦に苦しめられています。


そこでローストロー氏は、当時クラスメイトだったホワイトヘッド氏にメールを送ると、ホワイトヘッド氏は即座に父親に相談するとともにフレアガスの探索に動き出したとのこと。必要な機材をそろえた後は人脈を駆使し、「ガスフレアで処分されているガスの収益化」を売り込んでいきました。

こうして始まったギガ・エネルギー・ソリューションズのビジネスは、ビットコイン採掘機を満載した輸送用コンテナを油井に設置し、天然ガスが発生した場合は燃焼させず発電機に送り込むことで、発電機がガスを電気に変換してビットコイン採掘機の電力として使用する、というもの。無駄になってしまう天然ガスを電力として活用することで、フレアによる処分と比較してCO2換算で約63%の排出量が削減できるそうです。


ホワイトヘッド氏はCNBCに対し、「石油・ガス業界に身を置く者として、幼い頃からフレア放電を目にしてきました。排出量を減らすだけでなく、ガスをマネタイズする新しい方法です。20社以上の石油・ガス会社と契約を結び、政府系ファンドとも交渉中で、急速に拡大しています」とギガ・エネルギー・ソリューションズの活動について語っています。

マイニングソリューションを製造・供給するカナダのUpstreamDataの創設者であるスティーブ・バーバー氏によると、ギガ・エネルギー・ソリューションズの成功はビットコインの過小評価されがちな利点が生きているとのこと。まず、ビットコインは独立型の発電機でも採掘できるため、ギガ・エネルギー・ソリューションズのようにエネルギー源に直接発電機を持ち込むという手法が採れた点。また、大規模なマイニングには大がかりな設備が必要ですが、天然ガスのパイプラインと比べれば圧倒的に準備・配置がしやすく、また移動も容易であることも大きな成功の要因となっています。


環境面についても、ビットコインの採掘が大きな影響を与えています。ガスによって発生するメタンは、燃焼処理によって全てが燃えることはなく、一部は空気中に放出されてしまいます。一方で、メタンをエンジンや発電機にかけるとメタンは100%燃焼し、空気中に漏れたり排出されたりすることはありません。しかしながら、発電機を取得・維持するにはコストがかかるため、環境のためだけに発電機による処理を行う生産者はいません。他方、ビットコイン採掘は発電により直接利益を得ることができるため、メタンの完全燃焼を経済的に持続可能にし、漏れて無駄になってしまうガスを過去のものにすることができるとのこと。


ホワイトヘッド氏によると、ギガ・エネルギー・ソリューションズの活動はパンデミックに伴う世界中の封鎖によって一度暗礁に乗り上げました。まだ信頼性を得られていないため、興味を持ってもらうよう働きかけるのも難しかったとホワイトヘッド氏は語ります。そんな中でも、規則を破っていたり、許可が下りずにガスを浪費していたりする小規模な顧客を探し出し、工夫を凝らしていきました。そして大きな転換点として、2020年12月にビットコインの価格が2万ドルを突破したタイミングで、大手企業が事業参入を打診してきたそうです。

多くのビットコイン採掘者たちが、石油とガスが今後数十年でマイニング業界を支配すると発言しています。しかし一方でローストロー氏は、「マイニングに必須な電力を生みだすエネルギー生産者自身がビットコイン採掘者になるのが次の段階になると思います」とCNBCに語っています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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