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仮想通貨による犯罪取引の決済額が過去最高を記録し前年比79%増


ブロックチェーン分析企業のChainalysisが、2021年に行われた仮想通貨ベースの犯罪取引が史上最高額であったことを発表しました。違法な仮想通貨のアドレスが受け取った金額は年間140億ドル(約1兆6000億円)に上り、2020年の78億ドル(約9000億円)から78%増と大きく跳ね上がりました。一方で仮想通貨の取引総額は2020年から567%増の15.8兆ドル(約1830兆円)となっています。

Crypto Crime Trends for 2022: Illicit Transaction Activity Reaches All-Time High in Value, All-Time Low in Share of All Cryptocurrency Activity - Chainalysis
https://blog.chainalysis.com/reports/2022-crypto-crime-report-introduction/

Crypto scammers took a record $14 billion in 2021: Chainalysis
https://www.cnbc.com/2022/01/06/crypto-scammers-took-a-record-14-billion-in-2021-chainalysis.html

2017年から2021年にかけて、違法なアドレスが受け取った額がどのように変化したのかは以下のグラフの通り。違法アドレスの分類としては、濃い灰色がマルウェア、黄色がテロの資金、薄緑が盗難資金、濃緑がスキャム、薄い灰色が制裁、緑がランサムウェア、濃紺がサイバー犯罪管理者、ピンクが詐欺ショップ、オレンジがダークネット・マーケット、赤が児童の性的搾取コンテンツとなっています。2021年時点で特に多いのは資金の盗難、スキャム、ダークネット・マーケットの3つです。


違法な取引額が史上最高の140億ドルに上ったことを見ると、仮想通貨の多くが犯罪に利用されているように見えます。しかし、仮想通貨の取引総額が2021年に15.8兆ドルとなり、2020年から567%増加したことを見ると、必ずしもそうとは言えません。取引全体の増加に比べて犯罪取引の増加が1桁少なかったということは驚くべき事実であり、実際に、取引全体を占める犯罪取引の割合はここ数年で最低レベルを記録しています。

以下が2017年から2021年にかけて、取引全体を占める犯罪取引の割合がどう変化してきたかを示したグラフ。2019年が最高で3.37%、2020年は0.62%まで減少していますが、2021年はそこからさらに減って0.15%となっています。なお、2019年は2億ドル(約230億円)規模の詐欺事件が発生したため外れ値であるとChainalysisは述べています。


ただし、この数字は暫定的なもの。2020年の数字も当初は0.34%となっていましたが、後に違法なアドレスが判明し0.62%に修正されています。一方で、法執行機関の能力は年々高まっており、全体としては犯罪取引が仮想通貨エコシステムのごくわずかな部分となっている傾向にあるとのこと。

もちろん、140億ドルもの違法取引が起こったのは事実であり、重く受け止める必要があります。このため、違法取引がどのように行われたのかを突き止めることが重要となりますが、資金盗難とスキャムにおいては、DeFi(分散型金融)が関係することが多いそうです。


例えばスキャムに関しては、2021年に前年比で82%増加し、取引額が78億ドル(約9000億円)となりました。このうち28億ドル(約3240億円)以上が「開発者によって合法的に構築された仮想通貨プロジェクト」を偽造して、投資家から資金を奪う「ラグプル(プールの持ち逃げ)」という手法によるもの。2021年にChainalysisが追跡した全てのラグプルには、DeFiプロジェクトが含まれていたとのことです。

また盗難についていうと、2021年には32億ドル(約3700億円)相当の仮想通貨が盗まれ、これは前年比で516%増。このうち72%にあたる22億ドル(約2550億円)がDeFiプロトコルから盗まれたと判明しています。

資金洗浄のためにDeFiプロトコルが利用される機会も増加しています。以下は2020年から2021年の間に、違法なファンドが各サービスから受け取った金額の成長率を表した図。DiFiは2000%近く成長しており、群を抜いていることがわかります。


DeFiは仮想通貨エコシステムの中でも最も注目される分野の1つですが、盗難やスキャムの温床になるのであれば、今後力を発揮する可能性が小さくなります。投資家が疑わしいプロジェクトを回避する方法を学ぶことのほか、より抜本的な措置も必要になる可能性があるとChainalysisは示しました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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