フリーランスライターが解雇された後もAI生成の記事に自分の名前が使われていたことに憤慨

フリーランスライターとして出版・SEO企業のClickout Mediaで働いていたベン・トゥアティ氏が、解雇された後にAI生成された記事が自身の名前で公開されていたことを明らかにしました。ゲーム関連の記事を書いていたトゥアティ氏の名前は、すべてオンラインカジノの記事に使われていました。
Journalist fired by Clickout Media saw robot reporter take over their byline - Press Gazette
https://pressgazette.co.uk/news/journalist-fired-by-clickout-media-saw-robot-reporter-take-over-their-byline/
スウェーデン在住のトゥアティ氏は、ドイツ語と英語の教師やカスタマーサポートの仕事をしつつ、フリーランスライターとして活動していました。トゥアティ氏は2024年1月にClickout Mediaへ入社し、フルタイムでジャーナリストとして働き始めたそうです。
Clickout MediaではTechopediaというメディアでAIや仮想通貨、一般的なテクノロジー分野の記事を執筆していたというトゥアティ氏。ところが、Techopediaはドメインパワーを悪用して低品質な記事を量産する「パラサイトSEO」を行っているとGoogleに判断され、Googleの検索結果から除外され始めたとのこと。Techopediaは多くのカジノ関連記事を掲載していました。
トゥアティ氏によると、こうした問題について会社から詳しい説明はなく、「キーワードの問題でGoogleからペナルティを受けた」とだけ伝えられたとのこと。そしてトゥアティ氏は上司から「他にも多くのサイトを保有しているので、配置転換を行う」と指示され、Esports Insiderというeスポーツ専門メディアへ移籍することになりました。
トゥアティ氏にはeスポーツについての知識はありませんでしたが、ゲーム全般に詳しく、上司は「君は究極のオタクだから」と言って受け入れたそうです。トゥアティ氏はEsports Insiderのドイツ語版サイトで記事を書き、2025年8月にClickout Mediaがエンタメ系メディアのThe Escapistを買収したことに伴い、The Escapistでも記事を書くようになりました。
トゥアティ氏は「私は本気で取り組みました。コミックの記事まで書きました。子どもの頃からの夢だったからです。イベントのプレスパスももらいましたし、本当に夢のようでした」と当時を振り返っています。一方で、管理職はライターたちに対し「AIを使って記事を書くように」と常に勧めていたそうです。

トゥアティ氏はThe EscapistにAIの魔の手が迫っていることを実感しつつありました。2026年初頭には、Aftermathというメディアが「Clickout Mediaが買収した複数のメディアがギャンブルやAI生成の記事を量産している」と報じて話題になり、社内ではAIで生成した記事を人間らしく修正する指示が出されていました。
2026年3月、Clickout Mediaは「仕事量が不足し、従業員がAIによって生産性を向上させたため」としてトゥアティ氏を含むフリーランサーを解雇しました。ある管理職は、「Esports InsiderがGoogleの検索結果から除外され、Escapistもほとんど利益を生まなくなったため、契約を終了せざるを得ない」とトゥアティ氏に伝えてきたそうです。
トゥアティ氏の不幸はそこで終わりませんでした。2026年5月26日、トゥアティ氏がEsports Insiderを確認したところ、自分が書いた覚えのない記事が自分の名前で掲載されているのを発見したとのこと。どの記事もトゥアティ氏の契約が打ち切られた後に掲載されたもので、AIが生成したと思われる痕跡がありました。
トゥアティ氏は「屈辱的な仕打ちを受けた」と感じ、自身の個人情報が不正利用されたとして、Clickout Mediaに対してGDPRに基づく請求を行いました。その結果全ての記事からトゥアティ氏の名前が削除され、後に別の名義で再公開されたそうですが、記事作成時点ではトゥアティ氏名義の記事が追加で多数投稿されています。

Esports Insiderのドイツ語版には記事作成時点でもeスポーツ関連の記事がいくつか投稿されていますが、「ギャンブル」というカテゴリが目立つように表示され、オンラインカジノに関する記事も多数投稿されている状態です。

Esports Insiderの日本語版サイトもかつて存在し、「ライターがAIではないか」と指摘されたことがあります。
ゲーミング怪談:海外eスポーツメディア『Esports Insider』の日本語版が不可解な形で運営されていた話|Yossy
https://note.com/yossy/n/n9f0232d3dbea
The Escapistは記事作成時点で日本語版が存在し、日本名の記者名義でいくつかの記事が掲載されていますが、あからさまな機械翻訳記事ばかりです。

カテゴリもオンラインカジノ関連が目立ちます。

なお、トゥアティ氏はその後独立し、自分のサイトを立ち上げています。
Popkulturist — Essays on games, screens, and the culture around them
https://popkulturist.com/
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