生き物

想像図が間違っていたとされる古代生物5選

by Natural Math

恐竜で最も有名とされるティラノサウルスにニワトリのように羽毛で覆われていたというが近年出てきたように、研究が進むにつれこれまで信じられてきた定説が覆る古代生物も多数います。そんな「予想が間違っていた古代生物」について、議論が続いているものも含めて科学系ニュースサイトのScience Alertがまとめています。

The Famous Fossils Scientists Got Incredibly Wrong
https://www.sciencealert.com/five-times-we-got-a-fossil-amazingly-wrong

◆1:4本足のヘビ
「4本足のヘビ」として2015年に古生物学会の話題をさらったのがテトラポドフィス・アンプレクトゥスの化石です。この化石はブラジル北西部にある白亜紀初期(約1億4600万年~1億年前)の地層から発掘されたもので、4本の足を有しながらも水生動物にみられる長くて平たい尾がないことから、「ヘビは海生動物から進化した種ではない」ということを立証するとして大きな話題を呼びました。

4本足のヘビの化石、ブラジルで発見 進化過程解明に前進 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3055393


当時の研究はこの化石を「新種のヘビ」と結論づけていましたが、2021年に発表された新たな研究ではこの化石はヘビではなく「トカゲの近縁種であるドリコサウルス」の一種であるという説を唱えています。

「4本足のヘビ」として知られていた化石が実はヘビではなく別の動物である可能性が浮上 - GIGAZINE

by Dave Martill, University of Portsmouth

一連の流れについて、Science Alertは「この化石については今後も議論が続くと考えられますが、いずれにせよ化石自体は非常に良い保存状態なので、化石から得られるところはあると思います」とコメントしています。

◆2:ハルキゲニアの頭部
カンブリア紀(約5億4200万年~4億8830万年前)に生息していたとされる、細長い胴体の腹側に細長い足がムカデのように並び、背中側にはトゲが並んでいるという不思議な形がハルキゲニアです。このハルキゲニアは前述のように脚部とトゲが最大の特徴ですが、体に似つかわしくないほど巨大な球根型の頭部も有していると考えられていました。

By Caron et al., Proc. Royal Soc. B, 2013

しかし、その後出土したハルキゲニアの化石の多くは「首なし」だったとのこと。このことからハルキゲニアの頭部にまつわる議論が活性化し、その後の研究で球根型の頭部だと思われていた部位が土中で圧迫されて肛門から飛び出した腸の中身だと判明。現代ではハルキゲニアの頭部はこのような異様な形状ではなく、分類もクマムシに代表される葉足動物の一種に改められています。

◆3:動物なのか植物なのか菌類なのかもわからなかった生物
1947年に発見されて以降、アイデンティティにまつわる議論が延々と続いた生物がディッキンソニアです。オーストラリアで出土したディッキンソニアの化石は平面側は直径およそ1メートル、厚さ側はわずか3ミリメートル程度という平べったい形状をしており、中央部から周囲に向けて放射状に溝が入っています。

By University of Oregon

この生物の正体については発見当初は見た目から「クラゲである」という説が唱えられましたが、その後の研究で「現世生物の先祖にあたる」という説と「現世生物とは縁もゆかりもない生物」という説の2つが登場。前者の論者は放射状の溝を体節とみなして初期の環形動物と主張し、後者の論者は体節ではないとみなして、現世に存在する動物でもなければ生物でも菌類でもない未知の生物だと主張しました。

この議論は長らく続いていましたが、2017年にオックスフォード大学の研究チームがディッキンソニアの成長や老化をコンピューターモデルでシミュレートする研究を実施。この研究によって、ディッキンソニアは消化管や呼吸器系、排出系の器官や組織はおろか神経細胞も筋肉細胞もない最も原始的な動物の1つである平板動物か、真正後生動物に属すると考えられています。

◆4:イグアノドンの角
中生代白亜紀前期(約1億2600万~1億1300万年前)に生息していたとされるイグアノドンは史上2番目に名前が付けられた恐竜としても知られており、恐竜の中でも知名度の高い種として知られています。

by Peter Montgomery

そんなイグアノドンを発見した19世紀の医師ギデオン・マンテルは、道路工事の際に出土した巨大な化石がイグアナの歯に似ていることを突き止めましたが、そのあまりの大きさからこの化石のことをサイが持っているような「角」にあたる部分だと推測。この巨大な角を有する生物はサイのような角とイグアナのような体を持っていると考えて「イグアナの歯」を意味する「Iguanodon(イグアノドン)」という名前を与えました。


19世紀の中頃まではイグアノドンはマンテルが想像したように大きな角を持つとされていましたが、1878年にベルギーのベルニサール炭鉱から30体以上の完全な全身骨格標本が出土。問題の化石は、15センチメートルもの長さの親指の骨だと判明しました。

新たな発見によってマンテルの予想は間違っていたとわかったわけですが、Science Alertはイグアノドンが巨大な親指を何に使ったのかは現代でもわかっていない点を指摘して、「サイの頭には一本の角があるのだから、むちゃくちゃな仮説とは言えませんね」と述べています。

◆5:始祖鳥
ジュラ紀(約2億130万~1億4550万年前)に生息していたとされる現生鳥類の祖先と思われた動物が「アーケオプテリクス(始祖鳥)」です。古代ギリシャ語で「古代の鳥」と名付けられたこの動物は、特徴的な羽毛から発見当初は「現世鳥類に最も近い恐竜」とされていましたが、その分類については2021年時点でも議論が続いています。

By Vesta

アーケオプテリクスとされる骨格の化石は現代でもわずか12個しか出土していない上に、2017年にはそのうちの1つが「アーケオプテリクスとは別種の全く未知の恐竜のもの」というまで登場。2019年にもこれとは別のアーケオプテリクスの化石について同様のが登場しましたが、こちらについては2020年に反論が行われています。

以上のように、アーケオプテリクスは鳥類なのか恐竜なのかという分類だけでなく、その化石自体も論争の的となっています。これについてScience Alertは「謎の多い動物ですが、この論争がどちらに転ぶにせよ、この世界について新たな洞察を提供してくれるでしょう」と語っています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1k_iy

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