サイエンス

音楽家は目隠しされてもふらつきにくい


楽器を練習すると、聴覚だけでなく視覚や触覚といった複数の感覚を同時に養うことができます。このことに目を付けた研究者らが、楽器の経験がある音楽家とそうでない人に目隠しをし、どれほどまっすぐ歩けるのかをテストしました。

Musical training shapes spatial cognition - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0010945225002680


Musicians drift less in blindfolded walk: Could musical training be utilized in cognitive rehabilitation?
https://medicalxpress.com/news/2025-11-musicians-drift-blindfolded-musical-cognitive.html

音楽家は他の人よりも聴覚を中心とした感覚が研ぎ澄まされやすい環境に身を置いています。モントリオール大学医学部のダニエル・パロモフ氏らは、楽器の練習が聴覚・視覚・触覚・運動を同時に動員してあらゆる感覚を養い、注意力や記憶力といった脳の高次機能に大きく依存していることに着目し、音楽を中心としたトレーニングが空間認知能力の改善に役立つのではないかという仮説を立てました。


そこで、聴覚的な手がかりがあるかどうかで空間認知能力が影響を受けるのか、それに音楽経験の有無は関係あるのかといった仮説を調査するため、音楽経験6~28年、週3~50時間の楽器練習を行っている19名の音楽家と、学校の授業以外で音楽の経験がない19名の非音楽家を集めて実験を行いました。

参加者らは目隠しをされ、「Fukuda-Unterbergerステップテスト」と呼ばれる足踏みするよう指示されました。このテストは通常、音のない環境で手を挙げて目をつむりながら足踏みをするもので、終了時に元の位置や角度からずれていれば、体のバランスを保つ前庭機能が崩れている可能性があると推定されます。

How to Perform a Fukuda Step Test (Vestibular Examination) - YouTube


実験においては、音楽家は非音楽家よりも正確にテストを遂行したことが示されました。参加者の正面、斜め45度、90度の位置にスピーカーを置いて音のヒントを与えつつ行わせたテストでは有意な差がありませんでしたが、音楽家は音源の位置を参考に自分の体の向きを修正する動作に優れていました。

角度だけでなく位置にも違いがあり、無音状態での試行では音楽家の位置ずれがおよそ95cm、非音楽家では142cmでした。


このことからパロモフ氏は「音源が存在する条件では、音源の位置に対する角度修正に有意な差が認められました。これは、音楽家は聴覚フィードバックがある場合に角度を適切に固定できることを示唆しています。音楽練習や音楽をベースとした患者への介入、聴覚的手がかりを効率的に利用する訓練を行うことで、歩行中の姿勢の安定性を高め、転倒リスクのある人々のリハビリテーションを支援できる可能性があります」と結論づけています。

今後は、短期間で音楽経験を積ませた参加者も入れた訓練が必要だとパロモフ氏は指摘しました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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