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半導体不足解消と復権を狙うIntelの次の一手とは?


Intelのパット・ゲルシンガーCEOが「半導体不足は2023年まで続く」との見解を示すなど、2020年ごろから始まった半導体不足の長期化が懸念されています。そんな中、Intelの最新鋭の半導体工場を取材したテクノロジー系ニュースサイトのProtocolが、半導体不足の解消につながると期待されている次世代技術に関するIntelの取り組みについて報じました。

Inside Intel’s EUV chip manufacturing tech built by ASML - Protocol — The people, power and politics of tech
https://www.protocol.com/enterprise/intel-euv-fab-chips

Intelがアメリカ・オレゴン州ヒルズボロに構えるロンラーエーカーズ・キャンパスは、ファブやファウンドリと呼ばれる製造工場で大量生産されるチップの設計や開発を担う技術開発拠点です。そして、その一角にオランダの半導体製造装置メーカー・ASMLが独占的に生産している「極端紫外線(EUV)リソグラフィ」の設備が、近日中に導入される予定です。


EUVリソグラフィとは、プラズマ化したスズを用いて波長が13.5nmと非常に短い極紫外線を発生させ、これをシリコンウェハーに照射してマイクロチップを製造する技術のこと。理論的には、月面から発射したレーザーポインターを地球上にいる人の指先に当てることができるほどの精度があるといわれています。

Intelは、従来より高い効率で半導体を生産できるEUVリソグラフィで長引く半導体不足に対応し、半導体業界での巻き返しを図る計画です。IntelのゲルシンガーCEOは、2021年の夏に同社が開催したイベントの席で、「私は日頃から『レースで2着になるのは簡単だが1着になるのは難しい』とよく言っています。しかも、私たちはより少ないエネルギーで、より迅速に追いつこうとしています。それには、ASMLから学ぶこととASMLとの関係を深めることが大きな力になるでしょう」とコメントして、EUVリソグラフィによる復権に意欲をのぞかせました。

ASMLがオランダで製造したEUVリソグラフィは、数千個のパーツに分けてIntelの工場に運び込まれます。1台当たり1億8000万ドル(約205億円)もするリソグラフィは、組み立てると高さ12フィート(約3.6メートル)で、重さは約180トンにもなります。Intelのリソグラフィ担当ディレクターのマーク・フィリップス氏によると、EUVリソグラフィの真空チャンバーは大きすぎてボーイング747でさえそのままの状態で運べないので、3つに分割した状態で空輸されるそうです。


EUVリソグラフィの下には変圧器、パワーコンディショナー、水素除去装置システム用の真空ポンプのラック、スズをプラズマ化させるのに使うCO2ドライバーレーザーの電源ラックなど、さまざまな機器が設置されます。このCO2ドライバーレーザーは、もともとはTrumpfというレーザー企業が金属の切断用に開発したもので、その中でも特に強力なレーザー装置4台を1台にまとめてEUVリソグラフィ向けに転用しているとのこと。フィリップス氏は、EUVリソグラフィ導入に向けた苦労について、「フォトレジストを感光させるのに十分なパワーで13.5nmの光線を出力するのは信じられないほど困難でした。この光源を開発するのに、業界全体が数年間停滞してしまったほどです」と述べています。

Intelは長年にわたり半導体業界の首位に君臨していましたが、近年はコンシューマー向けチップなどの分野でAMDにシェアを奪われているほか、技術面でも遅れが目立つようになりました。これについて、Intelの技術開発担当共同ゼネラルマネージャーであるSanjay Natarajan氏は、「Intelが出遅れたのは、当社が10nm技術に移行しようとしたときにEUVの準備ができていなかったのが原因です」と分析し、今回のEUVリソグラフィの導入によりシェア奪還に弾みを付ける考えを示しました。

Natarajan氏によると、EUV技術が盛り込まれたIntelの次世代チップは2023年に登場する予定で、まずはデスクトップ向けの「Meteor Lake」チップやサーバー向けの「Granite Rapids」チップとして市場投入される予定とのこと。Natarajan氏は、「EUV技術は少なくとも今後10年間はチップ製造技術の最前線をリードするでしょう」と話しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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