メモ

人類滅亡後に「人類はここにいた」と伝えるためのブラックボックスを作るプロジェクト「Earth Black Box」


2001年宇宙の旅」に登場するモノリスのような無機質な物体の中に、人類滅亡後にも「人類はここにいた」とわかるような情報をまとめたブラックボックスを用意するというプロジェクトが「Earth Black Box」です。

Earth Black Box
https://www.earthsblackbox.com/

Earth is getting a black box to record our climate change actions, and it's already started listening - ABC News
https://www.abc.net.au/news/science/2021-12-06/climate-change-earth-black-box-recorder/100621778

Indestructible 'Black Box' will record our planet's demise in minute detail | Live Science
https://www.livescience.com/earth-black-box-records-planet-demise

飛行機に搭載されているブラックボックスは、航空事故の原因調査に役立つ記録を保存するためのものですが、これの地球版を作ろうというプロジェクトが「Earth Black Box」です。Earth Black Boxはオーストラリア・タスマニア州の西海岸に建設予定で、縦4メートル×横10メートル×奥行き3メートルというサイズの鋼の建造物。


Earth Black Boxの建設候補地にはマルタ、ノルウェー、カタールなども挙がっていたそうですが、地政学的および地質学的安定性や壊滅的な気候変動が起きた場合を考慮し、タスマニアでの建造が決定されています。

Earth Black Boxの公式サイト上には「人類は生活様式を劇的に変えない限り、気候変動やその他の人為的な危険が我々人類の文明を崩壊させるでしょう」と記されており、特に気候変動に対する危機感が伝わる文言があります。実際、国連が2021年10月に発表した「排出ギャップ報告書」によると、地球の温暖化が進むことで2100年までに平均気温は2.7度上昇すると予測されており、この温度の変化を1.5~2度以内に抑えるには2030年までに世界の温室効果ガスの年間排出量を半分にまで減らす必要があるとのこと。

Earth Black Boxの建造に携わるオーストララシア最大のマーケティング企業であるClemenger BBDOのジム・カーティス氏は、プロジェクトが完全に非営利目的で運営されており、設計も機能性を重視して行われていることをアピールしています。実際、Earth Black Boxの外壁部分には7.5cmの鋼板が使用される予定で、建設に携わるジョナサン・ニーボーン氏は「人類よりも長く存在できるよう設計されています」と説明しています。

Earth Black Box内部には大量のストレージドライブが保存されており、すべてインターネット接続が可能です。また、電力はすべて構造物の屋根部分にあるソーラーパネルから供給されているため、地域の電力網がダウンした場合であっても独力で電力をまかなうことができます。日中はEarth Black Boxがインターネット経由で科学関連のデータをダウンロードするそうで、基本的に気候変動関連の資料を収集するそうです。


プロジェクトによると、Earth Black Boxが収集するデータは大まかに分類して以下の2種類。

・陸と海の温度、海洋酸性化、大気中の二酸化炭素濃度、種の絶滅、土地利用の変化、人口、軍事費、エネルギー消費などの測定値
・新聞の見出し、ソーシャルメディアへの投稿、締約国会議(COP)気候変動会議などの主要な会議に関するニュースやコンテキストデータ

カーティス氏はEarth Black Boxについて、「気候変動の結果として地球が崩壊した場合、この破壊不可能な記録装置が、地球崩壊から学ぶための知見を残された人々に託します」と述べました。


建造物の建設は2022年半ばに開始予定ですが、2021年11月に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)を皮切りに、Earth Black Boxでのデータ収集はスタートしています。プロジェクトの担当者は「圧縮とアーカイブを使用することで、今後30~50年間分のデータを保存するのに十分なストレージの容量を確保している」と語りました。なお、プロジェクトはストレージにデータを収集するだけでなく、鋼板に情報を刻印することで、より長期的なデータ保存が可能になると目論んでいます。

なお、Earth Black Boxの開発者は「このほか、長い間隔で統計データを宇宙に送信したり、Earth Black Boxがデータを収集していることを現場の人々に伝えるためのハートビートを搭載するなどの機能について検討しています」と語り、データ収集以外のユニークな機能を検討しているとしました。

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in メモ, Posted by logu_ii

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