イグ・ノーベル賞の創設者が「科学に笑いをもたらすユーモアがこれまで以上に重要だ」と語る

「笑い、そして考えさせられる研究」に与えられるイグ・ノーベル賞の創設者であるマーク・エイブラハムズ氏が、「科学研究が攻撃にさらされる機会が増えている現代において、ユーモアを通じて科学への関心を引き出すことはかつてないほど重要になっている」と語りました。
Laughing about science more important than ever: Ig Nobel founder
https://phys.org/news/2025-12-science-important-ig-nobel-founder.html
イグ・ノーベル賞は1991年から始まったノーベル賞のパロディ。一見すると馬鹿げているものの、人々を笑わせ、そして考えさせる独創的な研究に与えられたり、時には政治家や非科学的でオカルトじみた研究などに皮肉を込めて贈られたりすることもあります。
2025年に授賞した研究内容や授賞式の様子については以下の記事を読むとよくわかります。
「笑わせ、考えさせるユニークな研究」が評価される2025年度(第35回)イグノーベル賞全部門まとめ、日本人は19年連続受賞 - GIGAZINE

イグ・ノーベル賞は当初、一部の科学者から「科学をバカにしている」と批判も受けたことがありましたが、今ではユーモアのある賞として科学者からも高く評価されています。授賞式には毎回本家ノーベル賞受賞者が参列し、中には毎度のように会場で飛ばされる大量の紙飛行機を掃除する役目を、2005年ノーベル物理学賞を受賞したロイ・グラウバー氏が務めていたこともありました。

イグ・ノーベル賞の候補は毎年数千件にのぼり、研究者の自薦も増えているとのこと。ただし、エイブラハムズ氏によれば自薦はほとんど受賞につながらず、研究者自身が自分の研究の面白さに初めて気付くのはイグ・ノーベル賞の受賞を知らせる電話を受けた時になることも多いそうです。
そんなイグ・ノーベル賞は毎年9月頃に授賞式が行われるのに対して、本家のノーベル賞は創設者であるアルフレッド・ノーベルの命日である12月10日に授賞式が開催されます。この本家ノーベル賞授賞式が催されるのとほぼ同時期、フランスのパリでイグ・ノーベル賞の受賞者による講演会が開かれました。
この講演会で、エイブラハムズ氏は「人は何かに笑っている時、その対象に注意を向けます。イグ・ノーベル賞の狙いは、たとえ3秒であっても人の注意をつかむことで、後で友人と話しているうちにその研究が本当に面白い内容だと気付くかもしれません」と述べています。

同時に、エイブラハムズ氏は「昨今、科学研究が脅かされ、積極的に破壊されていると感じる時があります」とも語りました。これは、トランプ大統領が科学研究への資金援助を削減したことに対するメッセージ。実際に多くの科学者が連名で、トランプ政権に警告する公開書簡を発表しています。
トランプ政権が科学研究への資金援助を削減することで「アメリカの積み上げてきた科学技術が壊滅的な打撃を受ける」とノーベル賞受賞者を含む科学者たちが公開書簡で警告 - GIGAZINE

また、2025年9月にアメリカで開催されたイグ・ノーベル賞授賞式には、トランプ政権下のアメリカへ渡航することに不安を感じ、出席を見送った受賞者も複数存在したそうです。
エイブラハムズ氏は、「科学が攻撃にさらされる状況が強まるほど、ユーモアを通じて人々を科学研究へ引き寄せる取り組みがいっそう重要になります」と主張し、周囲からは「いま自分たちがやっていることは以前よりずっと重要になった」と言われていると語りました。

なお、講演会には、「野生のマガモの中に同性愛の屍姦愛好者がいるという、最初の科学的な記録をとらえたことに対して」というテーマで2003年度イグ・ノーベル生物学賞を受賞したC・W・ムーリカ氏も登壇。記事作成時点でケジラミの研究をしているというムーリカ氏は「近年、アンダーヘアを整える習慣が普及したことで、ケジラミの生息地が奪われ、個体数が減少しています。すでにハガキに粘着テープで貼り付けられた個体が送られてきた例もありますが、研究を継続するためにはさらなるサンプルが必要です」と訴えました。
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in メモ, サイエンス, Posted by log1i_yk
You can read the machine translated English article Ig Nobel Prize founder says humor is mor….







