インターネット企業のCEOが不正にIPアドレスを取得していたことを認める
クラウドプラットフォームプロバイダー・Micfoの創業者兼CEOであるアミール・ゴレスタン氏が、同社を使用して不正な手段で希少なIPアドレスを取得していたことを認めました。
Executive Pleads Guilty in Internet Address Fraud Case - WSJ
https://www.wsj.com/articles/executive-pleads-guilty-in-internet-address-fraud-case-11637101781
ゴレスタン氏はコンピューターがインターネット通信に使用するIPアドレスを割り当てる非営利団体のAmerican Registry for Internet Numbersから、数千件のIPアドレスを不正に取得していたとして訴えられていました。そして2021年11月16日(火)、サウスカロライナ州チャールストンの連邦裁判所でMicfoに代わり罪状認否を行い、罪を認めました。
検察側によると、ゴレスタン氏の訴訟は「IPアドレスなどのインターネットリソースに関する詐欺の最初の連邦訴訟」であったとのこと。法律やテクノロジーの専門家たちは、規制の緩いインターネットインフラストラクチャーの世界における犯罪行為の新たな境界を決める訴訟になるとして、ゴレスタン氏の訴訟に注目していました。
Micfoはユーザーがオンラインアクティビティを隠すことができるようになるVPNサービスに対応しているため、犯罪者やハッカーに利用されてきたと報じられてきました。しかし、ゴレスタン氏がMicfoユーザーによるハッキングなどの犯罪行為を把握していたという証拠はないため、「犯罪者が使用するインターネットインフラストラクチャーをホストしている」というだけではMicfoやゴレスタン氏の罪を問うことはできませんでした。
しかし、ゴレスタン氏が2020年にウォール・ストリート・ジャーナルから受けたインタビューの中で、不正にIPアドレスを取得していたことを認めたことで状況は一転します。IPアドレスの数は限られているため、市場で売買することが可能です。検察によると、ゴレスタン氏はインターネットレジストリから規定よりも多くのIPアドレスを取得するために、偽の会社と架空の人物を使っていたとのこと。
ゴレスタン氏はウォール・ストリート・ジャーナルに対して、「法律に違反しないようにサービスを提供するため、架空の人物を使い、被害者が出ないように不正行為を行っていました」と語っていましたが、検察側はゴレスタン氏の行為は違法行為であり、「不正に取得したIPアドレスの市場価値は1400万ドル(約16億円)に相当する」と主張。
そして今回、ゴレスタン氏が罪を認めたことにより、同氏は最大20年の懲役を科せられる可能性があります。ただし、今回のような「最初の判例」を扱うケースでは、科せられる罪がはるかに低くなる可能性があるとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘しています。
これとは別に、Micfoは不正に取得したIPアドレスを使用して通常は追跡不可能なはずのインターネットトラフィックを追跡していたとされており、これも違法行為であるとされています。しかし、連邦捜査官はこの事実をゴレスタン氏およびMicfoが認識していたとは主張していません。
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