ダンボールやプラスチックなどの梱包材が急騰、需要増と供給減の同時発生により
プラスチック、紙、段ボールなどの梱包材が大きく不足しているとアメリカの大手メディアのNBC Newsが報じました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による巣ごもり需要が生み出した「段ボール不足」は2020年末にも問題になっていましたが、今回の梱包材不足はプラスチックの原材料となるポリエチレンとポリウレタンが50%値上がりしたことが主な原因です。
Retailers are having their own supply chain issues, leading to a battle for packing materials
https://www.nbcnews.com/business/business-news/shippers-are-having-their-own-supply-chain-issues-leading-battle-n1282104
Cardboard shortages deal another blow to strained supply chains | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2021/10/cardboard-shortages-deal-another-blow-to-strained-supply-chains/
COVID-19のパンデミックは世界に様々な変革をもたらしており、「通販」も大きな変化が生じた分野だとされています。パンデミックによる巣ごもり需要によって通販の売上は飛躍的に向上し、同時に段ボール原紙工場が世界規模で一時閉鎖された結果、「段ボール」が不足しました。
段ボール不足の中、こうした状況に追い打ちをかける事態が新たにアメリカで生じています。2020年2月にテキサス州を襲った記録的な大寒波によって、同州は大停電を経験しましたが、この大停電によって生産停止に陥ったプラスチック製緩衝材の原料となるポリエチレン・ポリウレタンが50%も値上がりしているとのこと。
この値上がりを受け、アメリカ国内の小売業はプラスチックを主原料とする緩衝材から段ボール製の封筒・箱・詰め物への依存を高めました。パンデミック初期に生じた操業停止命令への対応や中国から輸入される紙パルプの不足に追われる段ボール原紙工場にさらなる打撃を与え、段ボールの価格は2021年1月に過去最高を記録した後も上昇を続けているとのこと。
Amazonのような大手については別とされていますが、一般的なeコマース企業については「特定サイズの段ボール箱が手に入らない可能性すらある」とNBC Newsは報じており、箱に入りきらない商品を小さいサイズの段ボール箱に無理やり押し込んで出荷した結果、輸送中の破損事故が増える可能性があると指摘しています。
ブラックフライデーやクリスマスなどを含むホリデーシーズンが近づく中、通販の利用客数増につれて段ボールの需要はさらに高まるとみられています。今回の一件について、IT系コンサルティング企業のInfosys Consultingの消費財・小売・物流部門のグローバル・マネージング・パートナーであるAndrew Hogenson氏はNBC Newsに対し「中小企業は行き詰まるか、法外な価格を払わなければならなくなります」と語っています。
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