Amazonが「検索結果を不正操作していた」との報道、他社製品をコピーした可能性も
ロイターが2021年10月13日に、Amazonがインドでサイト上の検索システムを操作し、自社ブランドの製品を優位にしていたと報じました。ロイターが入手した内部文書ではさらに、Amazonが売れ筋の商品をコピーして商品を開発していた可能性も浮かび上がっています。
Amazon copied products and rigged search results, documents show
https://www.reuters.com/investigates/special-report/amazon-india-rigging/
Amazon India allegedly rigged search results and copied competitors - The Verge
https://www.theverge.com/2021/10/13/22724152/amazon-india-search-result-rigging-reference-product-seller-data-report
ロイターが電子メールや事業計画などのAmazonの内部文書を入手し、その内容を精査したところ、「インドにあるAmazonのプライベートブランド開発チームが内部データを利用して他社製品をコピーしていた」ことが判明したと報じました。ロイターによると、このプライベートブランド開発チームには、検索結果を不正に操作して自社の製品が検索結果の上位に表示されるようにしていた疑いも持たれています。
以下は、Amazonが組織的に他社製品をコピーしている事例としてロイターが示した比較写真です。アメリカの家具メーカーであるWilliams-Sonomaの椅子とコーヒーテーブル(左列)と、Amazonの自社ブランド「Rivet」の製品(右列)を見比べると、デザインがうり二つなことが分かります。
こうした製品の模倣がアメリカだけでなくインドでも行われた可能性が高いことが、今回の内部文書の流出で判明しました。例えば、Amazonがインド市場で展開している「Solimo」というブランドに関する内部文書には、「Amazon.in(インド)の情報を利用して商品を開発し、Amazon.inのプラットフォームを活用して、その商品をお客様に販売する」と書かれていました。また、別の文書にはAmazonが売れ筋の他社製品を「リファレンス製品」または「ベンチマーク製品」と呼んで特定し、それをコピーしていたことを示す記述があったと、ロイターは報じています。
Amazonは、他社製品を模倣して開発した自社ブランドの商品が検索結果の上位に表示されるように、「検索シーディング」という手法を使って、検索システムを操作していたとのこと。Amazonのプライベートブランドについて報告した2016年の内部文書には、「新しいASINに検索シーディングを適用して、検索結果の最初の2~3番目に並ぶようにした」と書かれていました。
同社は、2020年にも「マーケットプレイスの販売データを製品開発に使っている」と非難されていたほか、2021年5月には「Amazon上層部は自社の社員が不正アクセスで売上を伸ばしていることを知っていた」との報道もなされています。
Amazon上層部は「自社の社員4700人が不正アクセスで売上を伸ばしている」という実態を知っていたとの報道 - GIGAZINE
by Mike Seyfang
今回の一件でも、Amazonのシニア・ヴァイス・プレジデントであるRussell Grandinetti氏と、元シニア・ヴァイス・プレジデントであるDiego Piacentini氏が前述のAmazon.inでの不正を認識していたとされています。このことから、ロイターは「インドではAmazonが自社製品に有利になるよう検索結果を操作したり、他社製品をコピーしたりすることがAmazonの正式な戦略の一部であり、上級幹部もそのことを認識していたことが初めて明らかになりました」と述べました。
ロイターの問い合わせに対し、Amazonは「文書そのものや文書の出どころが明かされていないので、当社はロイターの主張の真偽を確認することができません。当社は、ロイターの主張は事実に反しており、根拠がないものだと考えています」と回答して報道を否定しました。
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