初対面の人と会話する際は「浅いテーマ」と「深いテーマ」どちらを選択するべきなのか?
初対面の人と会話する際は、「どんな話題を選べばいいか」「深いテーマについて話すのは、相手にとって迷惑ではないだろうか」といったことを考えがちです。そんな初対面の人との会話に関する大規模な実験がアメリカの研究チームによって実施され、会話内容や会話相手の印象についての興味深い事実が明らかになりました。
Overly Shallow?: Miscalibrated Expectations Create a Barrier to Deeper Conversation
(PDFファイル)https://www.apa.org/pubs/journals/releases/psp-pspa0000281.pdf
Getting beyond small talk: Study finds people enjoy deep conversations with strangers
https://www.apa.org/news/press/releases/2021/09/deep-conversations-strangers
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスで行動科学を研究するニコラス・エプレイ教授が率いる研究チームは、1800人以上の被験者を対象に初対面の人と会話させる複数の実験を実施しました。
まず、研究チームは「最近見たテレビ番組の中で最高だった番組はどれですか?」「今日の天気についてどう思いますか?」といった浅い会話テーマか、「他人の前で泣いてしまった出来事を説明してください」「人生や未来について正確に知ることができる水晶玉を手に入れたら、何を知りたいですか?」といった深い会話テーマのどちらかを2人1組の被験者に与え、「会話がどれほど厄介か」「会話相手とどの程度の関係を築けるか」「会話をどれだけ楽しめるか」といった確認項目について会話前の予想と会話後の評価を求めました。
実験の結果、浅いテーマと深いテーマの両方で被験者の予想よりも会話相手と深い関係が築け、会話を楽しめたことが明らかになりました。また、深いテーマについて会話したペアでは会話後の評価が会話前の予想を上回る傾向が強くなることも判明。さらに、被験者に浅いテーマと深いテーマについて異なる相手と会話させた別の実験では、会話前には被験者の多くが浅いテーマの方が良好な関係を築けると予想したものの、会話後には深いテーマの方が良好な関係を築けたと評価しました。
研究チームは上記の実験結果から、「初対面の人が自分の考えや感情についてどれほど興味を持っているか」を人々が過小評価しているという仮説を立て、会話相手が会話に対してどれだけ興味を持っているかを予想&評価させる実験を行いました。その結果、被験者たちが会話相手の興味の度合を過小評価していたことが明らかになりました。エプレイ教授は「人々は、会話の中で自分自身に関する重要な何かを明らかにした場合、会話がしらけると想像しているようでしたが、実際に会話すると想像が誤っていたことが明らかになりました」「会話の中で意味のある重要な何かを共有すると、会話相手は見返りに自身の意味のある重要な何かを共有し、かなり良い会話につながる可能性があります」と述べています。
最後に、研究チームは会話相手の印象と会話への関心の高まりの関係を明らかにするべく、被験者に「会話に興味のある人」または「会話に興味のない人」と話すことを想像させた上で会話テーマを選択させる実験を行いました。その結果、「会話に興味のある人」との会話を想像した被験者は、「会話に興味のない人」と会話することを想像した被験者よりも深いテーマを選択する傾向が確認されました。
エプレイ教授は一連の実験結果を基に「人々が会話するテーマは、他人との関係を深めない方向に調整されがちです。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが落ち着くと、他人と会話する機会が増えます。その時に、『深いテーマに関する会話が好きな人もいる』という事実を知っておくと、より楽しい交流ができるようになるかもしれません」と語っています。
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