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会話の中で「正しい文法」は本当に重要なのか?

by McBeth

ふだん人と話す時に使っている「話し言葉」は、多少文法が間違っていてもコミュニケーションに問題は生じないもの。なぜ世界には「書き言葉」と「話し言葉」が存在するのか、そして「正しい話し言葉」は本当に重要なのか、TEDがYouTubeでムービーを公開しています。

Does grammar matter? - Andreea S. Calude - YouTube


友だちにおもしろおかしく話をしていて、話の佳境に入るという時に……


相手が自分の話を遮って「『私とエイリアンが』じゃなくて『エイリアンと私と』でしょ」と文法について正されたら、多くの人が気分を害するはず。


しかし、本当に自分の文法が間違っていたとしたら?そして、文法が間違っていても相手が理解しているとしたら、何が問題になるのでしょうか?


そもそも、文法とは話す時や書く時に単語を組み合わせて句を作るパターンのことを言います。


異なる言語には異なるパターンが存在します。例えば英語の場合、まず最初に主語が来て、その後に動詞、目的語と続きます。


一方で日本語の場合、主語の次に目的語が来て、最後に動詞が続く形です。


過去には、各言語に共通するパターンを特定しようとする学者もいましたが、「名詞や動詞を持っている」などの基本的な機能のほかには、いわゆる「言語普遍的特性」というものはほとんど見つかりませんでした。


一方で、全ての言語は機能するために一貫したパターンが必要ですが、言語の研究が広まった結果、言語は一定のルールに従うべきであるとする「prescriptivism(規範主義)」か、多様性を受けて自然と変化していく「descriptivism(記述主義)」に基づいているのかという議論も起こりました。


もともと、人々は「話す」という行為において言葉を使っていましたが、世界の各地域の交流がさかんになっていくにつれて、書き言葉が重要になってきました。別々のコミュニティに属する人でも、標準化された書き言葉を通じて理解しあえるようにするためです。


この時、話し言葉は人によってさまざまでしたが、書き言葉は権力を持った人が話していた言語をもとに標準化されました。


言語純正主義者らが当時の文法を反映した細かいルールを定めた結果……


書き言葉は「話し言葉」の影響を大きく受ける形で確立されたわけです。


この結果、書き言葉から逸脱した話し言葉はなまりだと考えられたり、社会的な地位が低い人のものだと考えられるようになったのも事実。


最近の研究では、話し言葉と書き言葉はそれぞれ独自のパターンと規則性を持った別の現象だとも捉えられています。


私たちの多くは記憶に残っていないほど幼いころに話し言葉を、「ルールとして覚える」のではなく「無意識の習慣」として学んでいます。


そしてこの時に学ぶ話し言葉は、場の雰囲気や聞き手の存在を踏まえて形や意味が変化する柔軟なものとなっています。


話し言葉ではリアルタイムで理解しづらい複雑な句が避けられ、発音しにくい部分には変化が加わり、早くしゃべるために音の省略が生まれます。


このような言語の違いを「正しさ」を基準にせず理解し、マッピングしようとする試みが「descriptivism(記述主義)」です。


記述主義には規範主義のような「あるべき形」が存在せず、実際に言語が「人々によってどう使われているのか」が重要で、プロセスの中でどのような言葉が生まれてきたのか、という変化がたどられます。


現在でも規範主義と記述主義の論争は続いていますが、両者は排他的な存在ではありません。


つまり、規範主義は人々に情報を伝えたるために有効で、これはフォーマルな場面だけでなく、母国語を話さない人々が会話するときにも役立ちます。


一方で、記述主義は「私たちがどのように考えているのか」を教えてくれ、直観的な方法で世界を描写できます。


結局のところ、文法はさまざまな言語グループによって変化させられ作り直されている「言語習慣のセット」と考えるのがベスト。言語とは、聞き手と話し手、書き言葉と話し言葉、規範主義と記述主義によって複雑かつ巨大な織物を合作しているようなものなのです。

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in 動画, Posted by darkhorse_log

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