北朝鮮への制裁に違反したとして懲役20年に面していたイーサリアム研究者が罪を認める
仮想通貨プラットフォーム「イーサリアム」の普及・促進を目的とするイーサリアム財団に所属する開発者のバージル・グリフィス氏が「北朝鮮を援助していた」として起訴されていた件で、グリフィス氏が罪状を認めたことが報じられています。
United States Citizen Pleads Guilty To Conspiring To Assist North Korea In Evading Sanctions | USAO-SDNY | Department of Justice
https://www.justice.gov/usao-sdny/pr/united-states-citizen-pleads-guilty-conspiring-assist-north-korea-evading-sanctions
Crypto Guru Pleads Guilty to Advising North Korea on Blockchain Technology - WSJ
https://www.wsj.com/articles/a-crypto-guru-goes-on-trial-for-allegedly-advising-north-korea-11632740401
グリフィス氏は2019年11月28日に、「北朝鮮に悪用可能な技術を流出させた」という疑いでロサンゼルス空港にて逮捕されました。アメリカは国際緊急経済権限法や複数の大統領令により北朝鮮に対して制裁を科しており、組織や民間人による北朝鮮への援助は禁じられています。グリフィス氏はブロックチェーン技術で制裁を回避することについての講演を北朝鮮で行ったため、北朝鮮の支援を禁止する規定に違反したと判断されました。
北朝鮮でプレゼンを行ったブロックチェーンの専門家が逮捕されてしまう - GIGAZINE
ただし、イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、「彼はオープンソースソフトウェアについての公開情報に基づいてプレゼンテーションを行いました」とツイートし、講演が現実的に北朝鮮を援助する内容ではなかったことを指摘しています。
3. I don't think what Virgil did gave DRPK any kind of real help in doing anything bad. He *delivered a presentation based on publicly available info about open-source software*. There was no weird hackery "advanced tutoring".
— vitalik.eth (@VitalikButerin) December 1, 2019
この件について刑事裁判が行われ、2021年9月27日の罪状認否でグリフィス氏は、北朝鮮に渡って「ブロックチェーンを使ってマネーロンダリングを行い制裁を回避する方法」をプレゼンしたことで、アメリカの法律に違反したことを認めました。
裁判ではグリフィス氏が国際緊急経済権限法に違反するかどうかが争われました。グリフィス氏の弁護士であるブライアン・クライン氏は、「グリフィス氏は講演を行ったものの、サービスを提供したわけではないこと」「講演の内容はインターネットで公開されているような、誰でも入手可能な情報だったこと」から、表現の自由を保障するアメリカ合衆国憲法修正第1条のもと、法律に違反しないと主張。一方で検察側はグリフィス氏が共謀者と共にアメリカ政府の承認を得ずに講演を行う計画を立てたことから、法律に違反すると主張しました。また検察側は、アメリカや国連の制裁がブロックチェーンには及ばないことから、グリフィス氏の講演が「北朝鮮のために用意された貴重な情報」だった点を強調したとのことです。
声明の中でクライン氏はグリフィス氏が「心から罪を後悔している」と説明し、「起こったことはさておき、彼が社会に対して重大な貢献をしている人物であることを裁判でも主張しています」「彼は素晴らしい資質を備えており、犯した過ちによって定義されるべきではありません」と述べました。一方でニューヨーク南部地区連邦検事のオードリー・ストラウス氏は「彼が本日法廷で認めたとおり、バージル・グリフィス氏は『我が国で最も危険とされる国外の敵の一つ』を援助しました」と述べています。
写真の人物がグリフィス氏。
判決は2022年1月18日に下される予定。グリフィス氏は最大20年の懲役刑に面していましたが、司法取引の一環として、検察側は63カ月から78カ月の期間で求刑することに同意しているとのことです。
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