中国が「アルゴリズム」の規制を強化する計画を発表、オンラインサービスに対する締め付けの一環か
中国サイバースペース管理局(CAC)が2021年9月29日、今後3年間でインターネット情報サービスに関連する「アルゴリズム」の健全な管理メカニズムと標準化されたエコシステムを導入し、業界の健全で秩序ある発展を目指す共同計画を発表しました。近年の中国当局はオンラインサービスへの規制を強化しており、今回の発表もその一環とみられています。
China to tighten regulation of algorithms related to internet information services - Xinhua
http://www.news.cn/english/2021-09/29/c_1310217915.htm
China draws up plan to bring algorithms under state control in sign of tightened censorship | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/policy/article/3150608/china-draws-plan-bring-algorithms-under-state-control-sign-tightened
China unveils plan to bring algorithms of its internet industry under state control to tighten censorship - The Economic Times
https://economictimes.indiatimes.com/news/international/world-news/china-unveils-plan-to-bring-algorithms-of-its-internet-industry-under-state-control-to-tighten-censorship/articleshow/86619810.cms
オンラインサービス業界への締め付けを強化する中国は、2021年に入ってeコマースシステムや決済サービスを狙い撃ちした独占禁止法の強化や、子どものオンラインゲームプレイを「週3時間以下」に制限する規則、オンライン教育事業の規制などに乗り出しています。
また、9月には日本の内閣に相当する中華人民共和国国務院が、オンラインのニュースサイトやプラットフォームの監視を強化し、社会主義の価値観を広めるように促すという方針を発表。サイバースペースにおいて社会主義の価値観に合致する倫理や規則を培い、より「文明化」したインターネットを推進するとしています。
中国、ネットの「文明化」目指す 社会主義価値観に主眼=新華社 | Reuters
https://www.reuters.com/article/china-education-internet-idJPKBN2GA29H
CACは新たな声明で、「近年、アルゴリズムは情報の普及やデジタル経済の促進、社会の発展において重要な役割を果たしてきました。同時に、アルゴリズムの不適切な応用は情報の普及や市場、社会秩序を混乱させ、イデオロギーや社会正義、インターネットユーザーの権利の保護に課題をもたらしました」と指摘。CACや共産党宣伝部など9つの規制部門が8月に発表した共同政策ガイドラインに基づき、今後3年間にわたって地方自治体に対してアルゴリズムの規制強化を求め、企業に対してテクノロジーに関する責任を問うとしました。
8月に発表された共同政策ガイドラインは、地方自治体による規制強化を求めると同時に、企業による自主規制の役割が重要だと繰り返し記しています。企業は運用するアルゴリズムに対する責任感を強化し、セキュリティと科学技術の倫理的レビューシステムを設定するように促されており、アルゴリズムに関連する法的違反や不正行為は厳しく罰せられるとのこと。また、アルゴリズムを用いた世論の改ざんや競合他社への攻撃、インターネットユーザーの権利侵害といったアルゴリズムの乱用を禁止することも記されているそうです。
中国のオンラインサービス業界においてアルゴリズムは重要な資産であり、TikTokやbilibiliはアルゴリズムを用いてユーザーの興味関心を学習し、個人に合わせたコンテンツや製品を推奨しています。香港の日刊英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、デジタル空間において人々が見聞きするものを統制する上でアルゴリズムは重要であるため、中国当局はアルゴリズムを国の管理下に置こうとしていると述べました。
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