中国が「海外での上場を目指す中国企業」に対する新しい規則を発表
「100万人分以上のユーザーデータ」を保有するテクノロジー企業が中国国外で上場する場合、上場前に政府機関によるセキュリティレビューを受けなければいけない、とする新しい規則を中国政府が発表しました。これは中国企業の海外上場を困難にするための新しい規則であると、複数メディアが報じています。
Chinese fitness app pulls New York IPO plan after Didi debacle | Financial Times
https://www.ft.com/content/7123266e-94c1-45cb-a133-8f1c0b907c25
Beijing Blocks Merger, Tightens Data Rules as Post-Didi Crackdown Speeds Up - WSJ
https://www.wsj.com/articles/beijing-blocks-merger-tightens-data-rules-as-post-didi-crackdown-speeds-up-11625898515
China Tightens Rules on Foreign IPOs in New Blow to Tech Firms - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-07-10/china-tightens-foreign-ipo-rules-for-firms-with-large-user-data
China widens clampdown on overseas listings with pre-IPO review of firms with large user data | Reuters
https://www.reuters.com/world/china/china-widens-clampdown-overseas-listings-with-pre-ipo-review-firms-with-large-2021-07-10/
Chinese e-commerce platform Meicai becomes latest mainland firm to shelve US IPO plan as tightened scrutiny unnerves issuers | South China Morning Post
https://www.scmp.com/business/banking-finance/article/3140560/chinese-e-commerce-platform-meicai-becomes-latest-mainland
2021年6月30日、中国の配車サービスである「DiDi」がアメリカの証券市場に上場しました。しかし、中国サイバースペース管理局(CAC)は「DiDiのアプリがユーザー情報を不適切に収集・使用し、法に違反している」として、DiDiアプリの新規ユーザー登録を停止と、中国のアプリストアから同アプリを削除するよう指示しました。
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この措置について、中国政府は「データセキュリティ上のリスクに備え、国家安全保障および公共利益を死守するため」と説明しており、DiDiのような事態が起きないようにするため、中国企業によるIPOに関する規制を強化すると発表。ただし、この時点ではその他の詳細は明らかになっておらず、具体的にどのような規制がかかるのかは不明でした。
中国政府がIPOに関する規制を強化、「中国企業の海外上場が困難になる」との声も - GIGAZINE
そんな中、2021年7月10日(土)にCACが「100万人以上のユーザーデータを保有するテクノロジー企業に対して、海外で上場する前に政府主導のサイバーセキュリティレビューを受けなければいけない」という新しい規則を発表しました。CACはこの規則について、「海外上場後に外国政府によってデータが影響を受けたり、制御されたり、操作されたりするリスクに焦点を当てている」と説明しています。
また、海外での上場を目指す中国企業はサイバーセキュリティレビューのためにCACにIPO資料を提出することも義務付けられる模様。CACはサイバーセキュリティレビューにおいて、国家安全保障上のリスクを「政治、外交、貿易およびその他の要因によるサプライチェーンの中断リスク」と、重要なデータ上のリスクを「外国に上場した後に政府によって悪用されるリスク」としており、これらへの対策が万全か審査するようです。
なお、今回発表された規則はまだ施行前の段階であり、CACは改善のためのフィードバックを求めているとしています。
北京の調査会社・Plenumのパートナーとして働くアナリストのFeng Chucheng氏は、「『ユーザーデータ100万人分』というしきい値は非常に低いもので、基本的にIPOを目指すインターネット企業のほとんどに適用されるものとなるでしょう」と語り、海外での上場を目指すほぼすべてのインターネット企業が新しい規則の対象となると指摘。
BloombergはCACが発表した新しい規則について、「IPOを検討しているTikTokの所有者であるByteDanceや、オンデマンドロジスティクスおよび配送会社のLalamoveなど、中国のテクノロジー企業に多大な影響を与える可能性があります」と記しました。
なお、中国政府による規制強化に伴い、レストランと生鮮食品のサプライヤーをつなぐ電子商取引プラットフォームであるMeicaiが、アメリカでの上場計画を延期したことも明らかになっています。Meicaiは2018年9月に64億ドル(約7000億円)の資金調達に成功した北京を拠点とする企業で、「2021年5月にはアメリカの規制当局に対して上場に向けた草案を提出していた」とサウスチャイナ・モーニング・ポストは報じています。
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