中国のハイテクブームにより「テクノロジーツーリズム」が盛んに、最先端のロボタクシー乗車体験や工場見学などが可能

長らく野心的なテクノロジー投資家やスタートアップの創業者らは、最先端のテクノロジーを間近で目にするためにアメリカのシリコンバレーを訪れてきました。ところが近年では中国のハイテクブームにより、上海や深圳などを目的地とした「テクノロジーツーリズム」が盛んになっていると、海外メディアのRest of Worldが報じました。
China’s AI and EV rise has fueled a new kind of tourism - Rest of World
https://restofworld.org/2026/china-ai-tourism/
近年はSNSや動画サイトなどで中国製ロボットがダンスを踊ったり、中国製の空飛ぶ車が実際に空を飛んだりする映像を目にすることが増えています。また、中国製のEVやAIも世界的な人気を博しており、ハイテク分野において中国はアメリカに匹敵する存在になっています。そんな中、一部の投資家や起業家たちは次の投資機会やイノベーションを探るため、中国のハイテク企業を巡る「テクノロジーツーリズム」に参加し始めているとのこと。
ニューヨーク大学の国際関係学者であるシャオユ・ユアン氏は、「中国のテクノロジーツーリズムの流行には、乗り遅れたくないという心理が働いています。中国のテクノロジーエコシステムは高度なレベルに達しており、それを直接見ていないと、すでに見てきた競合他社に比べて情報面で不利になるという感覚です」と指摘しています。
中国のテクノロジーツアーは「上海AI・ロボットイノベーションツアー」「EVバッテリー徹底探訪ツアー」といった名称で宣伝されており、価格は最大9000ドル(約143万円)ほど。一般的に3~5日間の日程で参加者らは工場やスタートアップ支援団体、業界カンファレンスなどを見学するほか、経営幹部との個別質疑応答セッションなどに参加できるケースもあるとのこと。料金に航空運賃は含まれていませんが、ホテルや食事、現地での交通費などは含まれています。
これらのツアーで紹介されるのは、世界のEV販売台数でテスラを追い抜いたEVメーカーのBYDや、人型ロボットがインターネット上で注目を集めているUnitree Robotics、ChatGPTと比較されるAI開発企業・DeepSeekなど、中国のハイテクブームを代表する企業群です。
インドのムンバイを拠点とする投資家であり、これまでに何度も中国のテクノロジーツアーに参加してきたチェタン・シャー氏は、「正直に言って少し値段が高いですね。でも、お金では買えないものにアクセスできるんです。観光客としてBYDを訪れることはできますが、ショールームより先にアクセスすることはできません」と語っています。実際、シャー氏は中国メーカーの製造能力を間近で見たことでインドの類似企業は太刀打ちできないと評価を改め、投資バランスを大きく変えたとのこと。

中国のテクノロジーツアーを運営するボヤン・シェン氏は、ヨーロッパで10年間にわたりビジネスコンサルタントを務めた後、2023年に上海へと移住しました。当初は市場調査やコンサルティング企業を立ち上げようとしたものの、2人の顧客からEVやライブコマース企業に関するカスタムツアーの企画を依頼されたことで、テクノロジーツアーの可能性に気付いたそうです。
1年後に観光業の免許を申請したシェン氏は、上海でGloPenという旅行代理店を経営しており、18カ月間で1000人以上の観光客を受け入れてきました。シェン氏によると顧客のほとんどは東南アジアやインド、ヨーロッパ出身であり、アメリカやブラジルからも少なくない人数が訪れるとのこと。シェン氏はRest of Worldに対し、「コンサルティング業界には多くの競合他社が存在しますが、包括的で没入型の体験を提供する市場にはまだ空白があります」とコメントしました。
調査分析会社であるTech Buzz Chinaは、科学・工学・数学のバックグラウンドを持つ高校生を対象としたテクノロジーツアーを企画しています。これまでにツアーに申し込んだ参加者のほとんどはアメリカ出身で、残りは主にシンガポールとインド出身だそうです。このツアーには、中国のAI企業のインターン生やロボット工学を専攻する若い学生らが、保護者や子どもたちと交流するプログラムもあります。
また、一般の人々が参加しやすいテクノロジーツアーも用意されています。実際に旅行プラットフォームのトリップアドバイザーで「tech tour(テクノロジーツアー)」と検索してみると、深圳や広州などを目的地とした候補が表示されます。

最も人気の「深圳テックツアー:未来を探る」というツアーでは、ドローンによる食品配達の実演やロボットタクシーの乗車体験ができるほか、ヒューマノイドロボットやAIメガネなどのイノベーションシーンを間近で見学できるようです。

一連のテクノロジーツアーの流行は、中国をテクノロジー大国として売り込もうとする中国政府の意向とも合致しており、各国政府も中国のテクノロジー業界に注目しています。2026年2月にはドイツのフリードリヒ・メルツ首相がUnitree Roboticsを視察したほか、スペインやベトナムの首相らも中国のテクノロジー企業の幹部と対談しました。
ユアン氏は、「誰かがTikTokやYouTubeで中国のテクノロジー関連コンテンツを見ると、好奇心が湧きます。その好奇心からツアーに参加して直接体験し、それがオンラインで共有されて新たな視聴者に届き、さらに好奇心が高まります。「こうした一連の動きによって中国が本当の、おそらく主導的なテクノロジー大国であるという認識が深まります。その認識が正確か誇張されているかは別として、それを生み出すメカニズムは現実のものであり、加速しているのです」と述べました。
・関連記事
AIとロボット技術を駆使した人間の労働者をほとんど必要としない「ダークファクトリー」が中国の労働市場で賃金の低下と雇用機会の喪失を引き起こしている - GIGAZINE
中国は5万5000kmに及ぶ分散AIネットワークを構築している - GIGAZINE
中国共産党は中国製高性能AIを支配体制の脅威と認識し検閲を実施している - GIGAZINE
中国政府がNVIDIA製AIチップ購入の全面禁止を大手テック企業に指示、NVIDIAのCEOは「がっかりした」とコメント - GIGAZINE
人間を4本足のケンタウロス化する外付けロボットを中国の研究チームが開発 - GIGAZINE
中国がアメリカを上回ってロボット産業で優位性を確保できる要因とは? - GIGAZINE
ロボットが北京ハーフマラソンで人間の記録を破る - GIGAZINE
中国人民解放軍は「軍用人型ロボット」「宇宙戦争ロボット」「飛行ドローン軍団」「プロパガンダAI」などの開発を進めている - GIGAZINE
中国で出勤して働いているフリをするための「働くふり会社」ビジネスが流行 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in メモ, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article China's high-tech boom has led to a ….







