メモ

市場の暴落でパニック売りに走りやすい人の傾向とは?


パニック売りとは、何らかのニュースの影響で株式市場などが急落した際、心理的にパニックを起こして持っている株式などを慌てて売却してしまうことを指す言葉です。一般的にパニック売りは好ましい行動ではないと言われており、マサチューセッツ工科大学スローンマネジメントスクールの研究チームは、「一体どのような人がパニック売りをしてしまいやすいのか?」や「パニック売りがメリットをもたらすことはあるのか?」といった点について調査した結果を報告しました。

When Do Investors Freak Out?: Machine Learning Predictions of Panic Selling by Daniel Elkind, Kathryn Kaminski, Andrew W. Lo, Kien Wei Siah, Chi Heem Wong :: SSRN
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3898940

Don't Panic Over Panic Selling: MIT Researchers | ThinkAdvisor
https://www.thinkadvisor.com/2021/09/21/dont-panic-over-panic-selling-mit-researchers/

Did you panic sell during the latest market dip? When to get back in
https://www.cnbc.com/2021/09/25/did-you-panic-sell-during-the-latest-stock-market-dip-heres-when-to-get-back-in.html

研究チームは、約30万世帯に住む65万人以上の個人証券口座からなる2003年~2015年のデータセットを用いて、「パニック売りの頻度・タイミング・期間」を調査しました。今回の研究におけるパニック売りは、「1カ月の間に株式資産の90%が減少し、そのうち50%以上が取引によるもの」と定義されています。


データの分析から、どのタイミングでも投資家全体の平均0.1%は何かしらの影響でパニック売りをしていましたが、やはり市場が急落した時にパニック売りが行われる傾向が強まることが確認されました。

また、パニック売りをする可能性が最も高い人は、「既婚また離婚済みであり、『自分が優れた投資経験または知識を持っている』と考えており、扶養家族がいる45歳以上の男性」であることも判明。これらの人々は自営業者や不動産業界に務めているケースが多いそうで、最もパニック売りをしない職種は弁護士の業務を補助するパラリーガルや、社会生活に問題を抱える人々を支援するソーシャルワーカーだったとのこと。

論文の共著者である機械学習研究者のChi Heem Wong氏は、ニューラルネットワークモデルを用いて市況および投資家の人口統計学的属性、財務履歴などを考慮することにより、約1カ月前の時点でその人がパニック売りをするかどうかを予測できたと主張しています。


一般的にパニック売りはよくないことだと言われていますが、研究チームは「急速に市場が悪化する中で損失を抑えるメカニズム」として、一定のメリットがあると述べています。つまり、市場が急落する中でパニック売りをして資産を現金に換えれば、それ以上資産が目減りすることを防げる場合もあるというわけです。

しかし、パニック売りの問題は「市場が暴落した後の市場で利益を得にくくなる」という点にあると研究チームは指摘。今回の研究では、パニック売りを行った投資家の58%は半年以内に再び投資を再開した一方で、31%は二度とリスクのある資産にお金を投資することがなかったそうです。大きなリターンは不況の後に得られるケースが多いため、パニック売りの後に投資の世界に戻らなければ、損失を抱えたままになってしまいます。

ファイナンシャルプランナーのJake Northrup氏は、パニック売りを行った人が再び投資を行う場合、「なぜ自分はパニック売りをしてしまったのか?」について深く考えることを推奨しています。パニック売りを行った時の思考や感情について分析することで、資産の目減りに対するリスク許容度を再考し、場合によっては資産分配の比率を変える必要があるとのこと。

また、一度パニック売りをしてしまった投資家にとって、「いつ手持ちの資金を再び投資につぎ込むのか」は不安な点です。そこでファイナンシャルプランナーのTeresa Bailey氏は、資金を分割して一定の間隔ごとに金融商品を購入する「ドル・コスト平均法」や、ドル・コスト平均法を行いつつ市場が落ち込んだ時に多くの資産をつぎ込むアプローチを推奨しています。Bailey氏は「データはあなたが投資を続ければ資産が増えることを示しています」と述べ、短期的な暴落に惑わされず、長期的な投資計画を守ることが資産形成につながると主張しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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