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「OnlyFans」を始めとする性的なプラットフォームに金融機関が与える影響とは?


ユーザー自身で価格を設定し、サブスクリプションとして写真や動画などのコンテンツを配信できるSNS「OnlyFans」は、新型コロナウイルスのパンデミックにより収入を断たれたポルノ女優やストリッパーから「直接ポルノを販売できる」として人気を集めていました。このOnlyFansを始めとする性的なコンテンツが投稿されるプラットフォームに、資金決済で提供する金融機関がどのように影響を与えるのかを、海外紙のThe Guardianなどが解説しています。

The real OnlyFans scandal is the unaccountable power of platforms and banks | Jillian C York | The Guardian
https://www.theguardian.com/commentisfree/2021/aug/28/onlyfans-scandal-platforms-banks-ban-sexual-content-sex-workers

The payments mess that almost scared OnlyFans away from sex work - The Verge
https://www.theverge.com/2021/8/27/22641095/onlyfans-sex-work-ban-online-porn-payment-processing-controversy

以前から性的なコンテンツに寛容な方針を取っていたOnlyFansは2021年8月20日に、提携していた一部の銀行がクリエイターへの送金を停止したことを理由に「10月1日以降、性的に露骨なコンテンツを禁止する」と発表。OnlyFansのティム・ストークリーCEOは不本意ながら規制に踏み切ったと話し、「メディアによって違法コンテンツ問題の標的にされている」と不満を述べていました。

SNS「OnlyFans」の性的コンテンツ規制について「銀行が原因」とCEOが明かす - GIGAZINE


しかし、その後8月25日、OnlyFansは「送金を停止していた銀行からあらゆるジャンルのクリエイターをサポートできるとの保証を得られたため、性的なコンテンツの禁止を撤回する」と発表。OnlyFansは今後も全てのクリエイターに平等な機会を提供すると述べました。

「やっぱりポルノOK」とOnlyFansが発表、銀行が性的コンテンツを容認したため - GIGAZINE


今回OnlyFansは性的コンテンツの規制解除に成功したものの、一部からは「今回の騒動は長年セックスワーカーを悩ませてきた『金融機関による性的コンテンツの統制問題』を浮き彫りにした」という声が上げられているとThe Guardianは指摘しています。

ストリッパーや一部のセックスワーカーはアメリカやOnlyFansが拠点を置くイギリスでは完全に合法ですが、金融機関はこれを容認しない傾向にあります。銀行などの金融機関の道徳的判断はしばしば弱者に対して冷酷なものであり、金融機関は表現や生計を立てる方法が「容認しがたいほど性的に露骨」だとした個人へのサービス提供を拒否するというOnlyFansと同様の決定を何度も下してきたとのこと。


1つの例は、2014年に決済サービス「WePay」がセックスワーカーのエデン・アレクサンダー氏が始めた募金活動への協力を打ち切ったことに見られます。アレクサンダー氏は薬物治療に苦しみ、医療費を集めようと資金調達プラットフォーム「GiveForward」を通して募金活動を開始。この際アレクサンダー氏はセックスワーカーであることを明記せずに募金を行っていましたが、GiveForwardと提携していたWePayは「アレクサンダー氏は利用規約を認識していなかった可能性がある」として、アレクサンダー氏が調達した資金の引き渡しを拒否しました。結局別の資金調達プラットフォームであるCrowdtiltがアレクサンダー氏への支援を開始することで落ち着きましたが、WePayによるサービスの拒否が性的コンテンツに従事する人々がネット上で直面する差別を浮き彫りにしたとして問題視されました。

もう1つは、世界最大のポルノサイトであるPornhubが国際的なクレジットカード事業者であるMastercardとVisaから決済処理を停止された後、投稿されていた全コンテンツの80%に当たる約1000万件のコンテンツを削除したことです。オンライン決済の覇権を握りつつあるMastercardとVisaのこの措置は一部から「事実上の検閲に当たる」と指摘され、セックスワーカーへの強い風当たりが公にされることとなりました。


金融機関が性的なコンテンツに非協力的である理由の1つとして、海外メディアのThe Vergeは「支払い拒否のリスクが異常に多いからではないか」と指摘しています。例えば、性的なコンテンツを購入したユーザーがそのことを恥じて支払いを拒否し、お金を取り戻そうとする例が多くみられるとのことです。しかし、ネット上でサービスを展開するOnlyFansのようなプラットフォームは金融機関との提携が欠かせないため、いつ金融機関のポリシーが変更されるかわからないというリスクを抱えながら利用し続けるしかないのが現状だとのこと。

パンデミックにより引き起こされた都市封鎖と失業者の増加、Pornhubの規制強化に伴い、OnlyFansはユーザー数の増加を見せています。The Vergeは「OnlyFansは再び銀行との提携を解除される危機に遭遇するかもしれない」「クリエイターがファン層を構築したプラットフォームを離れることは困難だ」と指摘し、金融機関次第でセックスワーカーらが困窮する問題は今後も続くだろうとの見方を示しました。

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in ネットサービス,   Posted by log1p_kr

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