父親が生まれつき歩けない子どものために「自立歩行できるようになるパワードスーツ」を開発
アクチュエーターや人工筋肉などを用いて人間の動きをサポートするパワードスーツは、肉体労働の負担軽減や、体を自由に動かせない人のサポートなどで注目を集めています。新たにロイター通信が、生まれつき歩くことができない息子のために、エンジニアの父親が「自立歩行できるようになるパワードスーツ」を開発したと報じました。
Father builds exoskeleton to help wheelchair-bound son walk | Reuters
https://www.reuters.com/lifestyle/father-builds-exoskeleton-help-wheelchair-bound-son-walk-2021-07-26/
16歳のオスカー・コンスタンザ君は、遺伝性の神経疾患のために脳の信号を足に送ることができず、車椅子で生活しています。
ところが、新たに開発されたパワードスーツを装着すると……
その場で立ちあがることができました。
また、ゆっくりですが歩くことも可能。
オスカー君は、「以前は歩くのを手伝ってくれる人が必要でした……パワードスーツは私を独立した気持ちにさせてくれます」と話します。
このパワードスーツの開発に携わったのがオスカー君の父親であり、医療用外骨格を開発・製造するパリのスタートアップ「Wandercraft」の共同創設者であるジャン=ルイ・コンスタンザ氏。2021年に創設されたWandercraftは、創設者3人中2人が車椅子の家族を持っているとのこと。
コンスタンザ氏はある日、オスカー君から「お父さんはロボットエンジニアなんだよね。僕が歩けるロボットを作ってみない?」と尋ねられたことをきっかけに、体が不自由な人をサポートするパワードスーツの開発を始めたとのこと。「今から10年後、車椅子はなくなるか、はるかに少なくなるでしょう」とコンスタンザ氏は述べています。
Wandercraftが開発したパワードスーツは、肩・胸・腰・膝・足を固定して動く仕組みとなっており、単に動きをサポートするだけでなく、体の動きをシミュレーションする機能もあるそうです。すでにフランスやルクセンブルク、アメリカの医療機関向けに販売が行われており、1台当たりの価格は15万ユーロ(約1950万円)。一般ユーザー向けの販売は行っていないそうで、日常生活で使うには軽量化が課題となっているとのこと。
10年前にバイク事故を起こしてから足が不自由なケヴィン・ピエト氏も、Wandercraftのパワードスーツを装着すれば立ったまま料理が可能。
料理をテーブルまで運ぶこともできます。ピエト氏はパワードスーツについて、「脳から足へ信号を送る代わりにリモコンから足に信号を送るというのは、結局のところ似たようなものです」と述べました。
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