サイエンス

次世代素材の「グラフェン」によって折れた骨をつないで再生させる技術が開発される


炭素原子が結合してできた「グラフェン」はわずか1原子分の厚さしかないシート状の物質で、半導体材料や触媒、バッテリーなどさまざまな分野で利用が期待されている夢の素材です。カーネギーメロン大学の研究チームが、「生分解性で骨の代わりとなり、最終的に骨そのものに置き換わって修復する」というグラフェンを用いた新しい医療用接着剤を発表しています。

Phosphate graphene as an intrinsically osteoinductive scaffold for stem cell-driven bone regeneration | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2019/02/21/1815434116


Graphene Shows Promise for Repairing Broken Bones
https://singularityhub.com/2019/03/04/graphene-shows-promise-for-repairing-broken-bones/


骨は人体を支えるために必要な組織であり、血液を産生したり栄養を貯蔵したりする役割も持ちます。骨は強い衝撃を受けてしまうとヒビが入ったり折れてしまったりすることがありますが、正しい処置を受けなければ曲がったまま修復されて、ゆがんだままになってしまうこともあります。交通事故や戦場での負傷など、アメリカでは毎年数百万人の患者が外傷性の骨損傷を矯正するための処置を受けているそうです。


患者自身の幹細胞を用いて骨の修復を図る手法はこれまでにも研究されてきましたが、骨を接着固定するための「足場」を手術によって回復後に取り除く必要があるなど、整形外科上の問題点がありました。カーネギーメロン大学のStefanie Sydlik化学/生物工学准教授率いる研究チームは、分子設計の原理を応用した新しい有機ポリマー材料の設計と合成を研究していて、折れた骨を接ぐ足場として機能させるような「骨模倣ポリリン酸修飾グラファイト」を開発しました。

研究チームが開発した骨模倣ポリリン酸修飾グラファイトを壊れた骨組織に配置すると、まるで庭に立てた骨組みにブドウの木がまとわりつくように骨細胞が結合して成長するための構造として機能します。グラファイトは骨細胞が成長するにつれて分解され、骨の修復にあわせて骨細胞に置き換わっていき、完全につながった状態まで骨が回復する頃にはほとんど消滅してしまっているとのこと。


グラファイトによる骨の接着はカスタマイズが可能で、グラファイトを設計する段階で「プログラム」することにより、本物の骨にできるだけ近い材料にすることが可能になっているそうです。Sydlik准教授は「骨模倣ポリリン酸修飾グラファイトは、効果的で便利な組織固定とプログラム可能な生物活性を組み合わせたものであり、洗練された制御技術を医療用接着剤の分野にもたらします」とコメントしています。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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