DellがAlienwareフラッグシップモデルのアメリカ一部州への出荷を中止、消費電力規制の影響で

Alienware Aurora R12やAlienware Aurora Ryzen Edition R10など、Dell製のゲーミングPCのフラッグシップモデルについて、カリフォルニア州をはじめとするアメリカの一部の州でエネルギー効率規制対象となるため、Dellが該当州への出荷を中止していることが判明しました。

Dell won't ship energy-hungry PCs to California and five other US states due to power regulations • The Register
https://www.theregister.com/2021/07/26/dell_energy_pcs/

Dell Cannot Ship Alienware PCs to Certain U.S. States Due to Power Regulations | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/dell-alienware-cannot-ship-to-certain-us-states

Dell halts delivery of Aurora gaming desktops in certain US territories

該当州からDellのサイトにアクセスし、Alienware Aurora R12やAlienware Aurora Ryzen Edition R10を構成して購入しようとすると、「本製品は、カリフォルニア州、コロラド州、ハワイ州、オレゴン州、バーモント州、ワシントン州の消費電力規制のため、これらの州には出荷できません」という警告メッセージが表示されることが確認されています。

DellはIT系ニュースサイトのThe Registerに対して、一部州へのゲーミングPCの出荷中止は、2021年7月1日に施行された州の消費電力規制によるものであることを明らかにしました。

2016年、カリフォルニア州エネルギー委員会は省エネ性能基準を適用し、アメリカで初めて「消費電力のうちコンピューターやモニターが占める割合」に上限を定めることを決定しました。カリフォルニア州エネルギー委員会は、コンピューターやモニターの消費電力率、家庭の場合は全消費電力のおよそ3％、商業施設の場合は全消費電力のおよそ7％を締めていると発表しています。

米加州、ＰＣやモニターに省エネ性能基準を適用　全米初 | Reuters
https://jp.reuters.com/article/california-energy-computers-idJPKBN1440JA

2021年7月1日には、デスクトップコンピューターやシンクライアント、携帯ゲーム機にも消費電力規制の範囲が及び、2021年12月9日に施行される予定の規制では、高速ネットワーク機能を備えたコンピューター、マルチスクリーンのノートPC、高リフレッシュレートのモニターなども規制対象になるとのこと。Alienware Aurora R12やAlienware Aurora Ryzen Edition R10などのゲーミングPCは高いスペックが故に消費電力が大きくなるため、この規制に引っかかってしまうとみられます。

一連の消費電力規制は、記事作成時点では自作PCを対象としておらず、自分でハイスペックなPCを組み立てた場合については規制対象となりません。一方で、すでに構築済みのPCを販売するメーカーにとっては大きな打撃となりそうです。

The Registerがカリフォルニア州エネルギー委員会に問い合わせたところ、「2021年7月1日に施行される規制で、カリフォルニア州への出荷を中止したメーカーの存在は確認していない」という回答が返ってきたそうです。

The Registerがこの件について、Dellと競合するPCメーカーのAcerに「規制が製品に影響を与えるかどうか」を尋ねたところ、Acerの広報担当者は「現在、問題を調査中です」とコメント。また、HPはコメントの要求に応じなかったとのことです。