人気音楽ユニット「マッシヴ・アタック」がコンサート中に観客の顔を投影して顔認識技術への警鐘を鳴らす

イギリスのブリストル出身の音楽ユニットであるマッシヴ・アタックが、コンサート中に顔認識技術を使って観客の顔をスキャンし、リアルタイムでステージ上のスクリーンに投影するパフォーマンスを行いました。このパフォーマンスは日常に浸透した顔認識技術への警鐘を鳴らすものであり、ファンの間でも物議を醸しています。
Massive Attack Turns Concert Into Facial Recognition Surveillance Experiment - Gadget Review
https://www.gadgetreview.com/massive-attack-turns-concert-into-facial-recognition-surveillance-experiment
Band Uses Live Facial Recognition on Audience in Powerful Critique of Technology | PetaPixel
https://petapixel.com/2025/09/17/band-massive-attack-uses-live-facial-recognition-on-audience-in-powerful-critique-of-technology/
マッシヴ・アタックはヒップホップやレゲエ、ロック、エレクトロニカなどをミックスした作風で知られ、代表曲の「Teardrop」はYouTubeの公式MVの再生回数が1億1000万回を突破しています。また、政治的メッセージを強く押し出すことでも知られており、監視技術やプライバシー、データといったテクノロジーに関する主張も行っています。
2025年6月にロンドンのヴィクトリア・パークで開催された音楽フェスティバルに出演したマッシヴ・アタックは、「コンサートの観客を顔認識技術でスキャンし、リアルタイムでステージ上のスクリーンに投影する」というパフォーマンスを行いました。ここ1週間ほどで、このパフォーマンスがSNSで盛んに拡散されているとのこと。
観客の顔がステージ上に投影されるシーンは、以下の動画の2分10秒あたりから確認できます。
Massive Attack //Girl I Love You ft. Horace Andy/Live LIDO Festival /2025 Victoria Park - YouTube

演奏中、ステージ上のスクリーンに文字が投影されています。よく見ると、「NAME(名前)」「AGE(年齢)」「ID」「UNI(大学)」など、人々の個人情報らしき文字列なことがわかります。

すると突然、スクリーン上に人々の顔が投影されました。

投影されているのは今まさにコンサートを見ている観客のようです。よく見ると顔の上に「RESOURCE PLANNNER(リソースプランナー)」「DIGITAL ARCHIVIST(デジタルアーキビスト)」「RISK ASSESSOR(リスク評価者)」「EDITOR(編集者)」「SPORKESPERSON(広報担当者)」など、職業や役職らしき文字列が表示されています。なお、文字列の中には「HACKER(ハッカー)」「WEAPON SPECIALIST(武器専門家)」など突拍子もないものも含まれており、実際の職業かどうかは不明です。

スクリーン上を、膨大な数のスキャンされた顔が埋め尽くしました。

テクノロジー系メディアのPetaPixelは「このパフォーマンスは、顔認識システムが多くの場合、人々の明確な同意なしに画像を記録・分析・保存する方法を浮き彫りにしました」と述べています。同じくテクノロジー系メディアのGadget Reviewも、「観客の生体認証データは同意の有無に関わらず、芸術的なメッセージの一部となったのです」と指摘しています。
このパフォーマンスについてはファンの中でも賛否が分かれており、「芸術に見せかけたプライバシー侵害だ」と非難する人がいる一方で、「日常生活における顔認識技術を受け入れる人々の目を覚ますためのショック療法だ」と捉える人もいます。Gadget Reviewは、「双方の反応は、この介入がその破壊的な目的を達成したことを証明しています」と述べました。
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in 動画, セキュリティ, Posted by log1h_ik
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