Appleは「セキュリティとプライバシー」を理由にして競争を妨害すべきではないとECが警告
AppleはiOSアプリの流通を自社の運営するアプリストア「App Store」だけに制限しており、これが独占禁止法に違反している可能性があるとして、調査が進められています。AppleはApp Store経由でアプリがインストールされることでユーザーのプライバシーとセキュリティを高めていると説明していますが、これに対し欧州委員会(EC)の副委員長が警告しました。
EXCLUSIVE EU's Vestager warns Apple against using privacy, security to limit competition | Reuters
https://www.reuters.com/technology/exclusive-eus-vestager-warns-apple-against-using-privacy-security-limit-2021-07-02/
Apple shouldn't use privacy & security to stave off competition, EU antitrust head warns | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/07/02/eu-antitrust-head-warns-against-apple-using-privacy-security-to-stave-off-competition
iOSユーザーはアプリをApp Store経由でしかインストールできず、またAppleはApp Storeのアプリから高い手数料を徴収していることから、「Appleは自社の優位性を乱用し独占禁止法に違反している」と指摘されています。一方、Appleは「App Store以外からアプリをインストールするのはユーザーにとって危険である」と述べ、Appleの運用方法はセキュリティを高めるために必須であると説明するレポートを公表しています。
AppleがApp Store以外からアプリを入手できないようにしているのは「ユーザーの安全のため」とするレポートを発表 - GIGAZINE
これに関して、ECの副委員長であるMargrethe Vestage氏はロイターのインタビューに対し、「プライバシーとセキュリティは誰にとっても重要です」と認めつつも、「重要なのは、それが競争にとってのシールドとなるべきではないということです。たとえユーザーが他のアプリストアを利用していたり、サイドロードしたりしても、それによってセキュリティとプライバシーを諦めるものであってはならない考えています」と述べました。これは、Appleが自社のアプリストア運用の正当性を説明するために「セキュリティとプライバシー」という論理を利用していることに対し、警告を行った形だとみられています。
一方でVestage氏はAppleが実施する新しいプライバシーフレームワーク「App Tracking Transparency」については称賛しています。
「これまでも何度か発言してきたのですが、プロバイダーがサービスを提供する時に、『外部からアプリの使用を追跡されることを望むかどうか』のような好みを、全ての人が同条件で、容易に設定できるのはいいことです」「これまでのところ、それがAppleには当てはまらないとする理由はありません」とVestage氏は述べました。このことから、Appleの新しいプライバシー措置が独占禁止法調査の対象になることは記事作成時点ではないと考えられています。
・関連記事
Appleのサービス「App Store」の問題点を元Apple社員が語る - GIGAZINE
アプリ開発者が指摘する「App Storeの抱える問題点」とは? - GIGAZINE
Spotifyの最高法務責任者が「Appleが独占企業のように振る舞う理由」について語る - GIGAZINE
MicrosoftのCEOが「Apple純正アプリがWindows 11にやってくること」を歓迎すると発言 - GIGAZINE
・関連コンテンツ