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AppleがApp Store以外からアプリを入手できないようにしているのは「ユーザーの安全のため」とするレポートを発表


Appleが2021年6月23日に、「App Store以外からアプリをインストールするのはユーザーにとって危険である」と報告するレポートを発表しました。これについて、複数のメディアが「独占禁止法違反に関する捜査を念頭に置いたもの」と報じました。

A Day in the Life of Your Data - Building_a_Trusted_Ecosystem_for_Millions_of_Apps.pdf
(PDFファイル)https://www.apple.com/privacy/docs/Building_a_Trusted_Ecosystem_for_Millions_of_Apps.pdf

Apple’s Fight for Control Over Apps Moves to Congress and EU - WSJ
https://www.wsj.com/articles/apples-fight-for-control-over-apps-moves-to-congress-and-eu-11624440601

Letting users bypass App Store would be security risk, says Apple | Apple | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2021/jun/23/letting-users-bypass-app-store-would-be-security-risk-says-apple

Apple exec: “Sideloading in this case is actually eliminating choice” | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2021/06/apples-anti-sideloading-pr-blitz-includes-white-papers-interviews/

Appleは6月23日に、App Store以外からアプリを入手する「サイドローディング」のリスクに関する調査結果をまとめた消費者向けのレポートを発表。その中で、サイドローディングには、悪意のあるランサムウェアがユーザーデータを人質にして身代金を要求したり、子どもがペアレンタルコントロールを回避したり、知らないうちに海賊版のコンテンツをつかまされたりする危険性があると主張しました。


Appleの統計によると、週に平均して10万件の新規アプリやアップデートがApp Storeで審査されており、この取り組みによりスパムやコピーアプリ15万件以上、プライバシーガイドライン違反21万5000件以上、不審な隠し機能4万8000件以上、おとり商法などの犯罪がらみの不正9万5000件などがこれまで排除されてきたとのこと。また、こうした取り組みにより摘発された不正な取引は15億ドル(約1660億円)以上、不正行為などで除外されたアプリ開発者は47万におよぶとされています。

App Storeによる審査がユーザーを保護しているとする一方で、サイドローディングを解禁すると、iOSのセキュリティが低下し、サードパーティのアプリストアだけでなくApp Storeをも深刻なセキュリティリスクにさらされることになるとAppleは訴えました。


一方、App Storeで配信されていたゲームアプリを巡りAppleと激しく対立しているゲーム開発会社のEpic Gamesは、「iPhoneでサイドローディングするのは、PCユーザーが好きなソフトを手軽にインストールしているのと何ら変わりないはずです」と指摘しています。

今回Appleが発表したレポートについて、イギリスのニュースメディア・The Guardianは「Appleは、ユーザーがサイドローディングできるようになると、iPhoneやiPadに有害なマルウェアが次々と出現することになると警告しています。これは大西洋の両側、つまり欧州と北米でIT大手に対する大規模な規制措置が取られる見通しからでしょう」とコメント。IT系ニュースサイトのArs Technicaは「代替的なアプリストアや自由なアプリのインストールに向けて門戸を開くよう、規制当局からせっつかれているAppleが、サイドローディングはiOSユーザーに害を及ぼすと主張するための実質的な広報活動を代替的に開始しました」と報じました。

近年アメリカでは、Appleなどの大手に対し「優位性を乱用し独占禁止法に違反している」との厳しい目が向けられています。

Appleがアメリカ上院の公聴会で証言することに同意、App Storeの独占禁止法違反問題について - GIGAZINE

by YunHo LEE

こうした状況は、EUでも同様です。

Appleの独占禁止法違反疑惑に対してEU規制当局が処分内容を決定か - GIGAZINE


Appleが今回打ち出したレポートの位置づけについて、Ars Technicaは「Appleに対する調査や訴訟の多くはまだ始まったばかりなので、今後数ヶ月から数年のうちにさらに多くの議論が持ち上がるでしょう。今回のAppleのPRはある意味、これまでのビジネスのやり方を守りたいAppleの長い戦いの、最初の一手といえます」と結論づけました。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1l_ks

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