騒音被害を減らすために必要な対策とは？

街中では電車や自動車の騒音が昼夜問わず響きわたっており、睡眠や作業の妨げになることもあります。そんな街中の騒音による悪影響や対策について、都市計画に関するYouTubeチャンネル「Not Just Bikes」が解説しています。

Cities Aren't Loud: Cars Are Loud - YouTube


Not Just Bikesによると、人々が許容できる平均的な騒音レベルは55デシベル(dBA)とのこと。しかし、ヨーロッパで暮らす人々の65％は55dBAを上回る騒音環境下で暮らしています。

さらに、エジプトの首都カイロでは、90dBAの騒音が鳴り響き、パキスタンのカラチでは140dBAの騒音が街中を覆っているとのこと。これは、飛行機エンジンの近くにいるのと同等レベルの騒音です。

これらの騒音は睡眠を妨げ、心臓病や高血圧、認知機能の低下といった健康への悪影響を引き起こします。

また、サンフランシスコのような騒音レベルの高い地域では、人々の忍耐強さが低下し、交流頻度も低下するという研究結果も存在しています。

騒音による体や精神への影響を避けるために、騒音のひどい都市に住む人々はノイズキャンセリングヘッドホンなどの騒音対策グッズを使っています。

しかし、騒音被害の多発するヨーロッパの中で、オランダは効果的な騒音対策に成功しているとのこと。Not Just Bikesはオランダの中でもデルフトという地域の静けさを気に入っていると語っています。

デルフトの道路上の騒音は約55dBA。実際にムービーの4分22秒あたりを再生すると、デルフトの静けさが分かります。

以前のデルフトは、高架を電車が通り、幹線道路では多くの車両が行き交う非常にうるさい街でした。

しかし、線路を地下に移行したことに加え、公共交通機関や自転車の利用を推進したことで、デルフトは現在の静けさを手に入れることに成功しました。

現在のデルフト旧市街のマルクト広場には自転車や徒歩の人々が行き交っていますが……

この広場は2004年までは駐車場として利用されていたとのこと。このことからも、現在のデルフトがいかに自動車の利用頻度を減少させることに成功しているかが分かります。

自動車の利用者が減少したといっても、完全に0になったわけではありません。デルフトの幹線道路では、現在も多くの自動車が行き交っています。

Not Just Bikesによると、自動車の騒音はエンジン音とタイヤの音が原因になっているとのこと。そこで、デルフトでは多くの道の制限速度を時速30km以下に設定し、幹線道路をタイヤの音を抑える効果を持つ多孔質アスファルトで鋪装することで、自動車による騒音を小さく抑えています。

さらに、学校や図書館などの公共施設は防音フェンスで囲まれており、静寂さが保たれています。

また、オランダの首都アムステルダムも、デルフトほどではないですが十分な静かさを実現しています。

Not Just Bikesは、アムステルダムの道路で乗り物ごとの騒音レベルを測定しています。まず、周囲に動いている乗り物がない時の騒音レベルは42dBA。

自転車は55dBA。

会話しながら通行する自転車集団の騒音レベルは65dBA。

普通自動車は73dBA。

小型バイクの騒音レベルは85dBAで……

バイクの種類によっては102dBAを記録することもありました。このような大きな音を出すバイクは、オランダにおける騒音クレームの主要な要因になっているとのこと。

Not Just Bikesは、自動車やバイクが電動化されれば、騒音が小さくなると指摘。しかし、ヨーロッパでは「歩行者が音の小さい電気自動車の存在に気づきづらい」として、電気自動車に音を出す装置を搭載することが義務づけられています。そのため、全員が電動化された車両に乗り換えても騒音がなくなることはありません。

Not Just Bikesは騒音を小さく抑えるための理想的な移動手段として、路面電車などの公共交通機関の利用を推奨しています。また、アムステルダムでは芝生の上を走る路面電車が運行しており、その静けさは素晴らしいものだとのことです。