乗り物

二酸化炭素削減のためには「車ではなく自転車で移動するべきだ」と環境科学者が主張


交通・輸送という分野は、脱炭素化が最も難しい分野の1つです。自動車や船、飛行機などが化石燃料に大きく依存しており、特に自動車は人間のライフスタイルに深く根付いています。オックスフォード大学で運輸・環境を専門とするクリスチャン・ブランド准教授は、交通機関の二酸化炭素排出量を迅速に削減する方法の1つは「人々の移動手段を世界規模で徒歩や自転車に変更すること」だと主張、その理由について解説しています。

Cycling is ten times more important than electric cars for reaching net-zero cities
https://theconversation.com/cycling-is-ten-times-more-important-than-electric-cars-for-reaching-net-zero-cities-157163

2020年、世界中で生産された自動車のうち、50台に1台が電気自動車でした。仮に生産される全ての自動車が電気自動車だったとしても、完全にガソリン車と置き変わるには15年~20年かかるとブランド氏は推測しています。ガソリン車をすべて電気自動車、あるいは電気自動車を含めた排ガスを出さない「ゼロエミッション車」に置き換えたとしても、各国が定める「温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする『Net Zero』」を実現するためには効果が薄いとのこと。


徒歩や自転車と言った交通手段は自動車などに比べてより環境に優しく、健康的で、安価です。製品の製造から使用、廃棄にかかるすべての二酸化炭素排出量を計測する「カーボンフットプリント」を比較してみても、自転車はガソリン車の30分の1、電気自動車の10分の1に抑えることができるとブランド氏は主張しています。

ブランド氏がヨーロッパ各地に住む約4000人の人々から2年間分の移動に関するデータを集計したところ、毎日自転車で移動している人はそうでない人に比べて二酸化炭素排出量が84%少ないとのこと。


また、都市部の住民が移動手段を1日に1回だけ自動車から徒歩や自転車に変更した場合、年間を通じておよそ500kgのカーボンフットプリントを削減することができるとのこと。都市部の住民の5人に1人がこのような移動手段に変更した場合、今後数年間でヨーロッパ中の自動車からの二酸化炭素排出量が約8%削減できるとブランド氏は試算しています。

2020年には1日あたりの二酸化炭素排出量が前年に比べ大きく減少しましたが、その理由は交通量の削減にあったとのこと。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより人々は自宅での生活を余儀なくされ、公共交通機関の利用者も減少。イギリスではパンデミック前に比べて徒歩での移動者が20%、自転車での移動者が9%増加したとのこと。ブランド氏はこのような変化をいい傾向だと捉え、人々が徒歩や自転車での移動に移行することを推奨しています。

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in 乗り物, Posted by log1p_kr

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