ディズニーが「ブロックチェーンベースの映画配給システム」の特許を取得、その目的とは?
ディズニーは世界で最も有名な映画制作ブランドの1つであり、映画館での上映や独自のストリーミングサービスであるDisney+を通じて多額の収益を上げています。そんなディズニーが、新たに「ブロックチェーンに基づいた映画配給システム」の特許を取得したと、BitTorrentプロトコルや著作権に関するメディアのTorrentFreakが報じました。
Disney Patents Blockchain-Based Movie Distribution System to Stop Pirates * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/disney-patents-blockchain-based-movie-distribution-system-to-stop-pirates-210512/
TorrentFreakは、「ディズニーは他の映画スタジオとの競争も多いのですが、最大の脅威は著作権侵害であるように思われます」と指摘。ディズニー内部の海賊版取り締まりチームは24時間体制で活動しており、オンライン上の著作権侵害を減少させることを目的に発足した国際的な連合の「The Alliance for Creativity and Entertainment(ACE)」にも参加しています。
ディズニーは自社チームやACEなどの取り組みを通じて、数十もの著作権侵害サイトおよびサービスの削除を支援してきました。今回新たに取得したブロックチェーンに基づく映画配給システムに関する特許も、著作権侵害に対する取り組みの一環だとのこと。
ディズニーが取得した(PDFファイル)特許は、「Blockchain configuration for secure content delivery(安全なコンテンツ配信のためのブロックチェーン構成)」という名称であり、映画館などに対するコンテンツの配信に焦点を当てたものです。
制作した映画を世界各国で上映するには、映画館に映画のデータを配信しなければなりませんが、その過程で犯罪者がセキュリティの問題を突いてデータのコピーを作成する可能性があります。ディズニーは映画の流出を防ぐため、映画館に厳格な規則を守らせたり映画に透かしを入れたりする対策を取っていますが、ディズニーはこの仕組みが海賊版を止めるのに十分ではないと考えているとのこと。たとえば、コンテンツに透かしを入れれば「著作権侵害が発生した後」で迅速に犯人を追跡できるものの、著作権侵害そのものを防ぐことはできません。
しかし、ブロックチェーンを用いることで配給プロセスをより厳密に制御することが可能となり、あらかじめ設定しておいた場所以外でのコンテンツ再生を防ぐことができます。また、コンテンツが再生された回数を追跡し、報告された再生回数と実際の再生回数を照合することで、意図された受信者以外が再生しているかどうかを把握することも可能。さらに、ブロックチェーンを用いたコンテンツ配信は映画館だけでなく、動画ストリーミングサービスを含むその他の再生環境にも適用できるとのこと。
記事作成時点では、ディズニーが実際にブロックチェーンを用いた著作権保護システムを実装するかどうかは不明です。TorrentFreakはこの著作権侵害システムについて、映画が公開される前のリークを防ぐために役立つとした一方で、Disney+など正規の手段で再生した映画を直接コピーする手法については、阻止することができないと述べました。
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