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ボランティアが無償で管理運用している世界最大のIRCネットワーク「freenode」が所有者と対立し、分裂へ


世界最大のIRCネットワークである「freenode」の管理ボランティアチームが、ネットワークの所有権が乗っ取られたとしてfreenodeから離脱し、新たに「Libera Chat」を開設しました。

freenode now belongs to Andrew Lee, and I'm leaving for a new network.
https://www.kline.sh/

Libera Chat | A next-generation IRC network for FOSS projects collaboration!
https://libera.chat/

freenodeは1995年に誕生したIRCネットワークで、主にオープンソースソフトウェアの開発で利用されています。2006年に開設者のロバート・レビン氏が交通事故で亡くなった後、ボランティアによって管理が行われており、ドメインなどの資産はFreenode Ltd.という会社の所有物になっていました。

2017年にfreenodeの当時のボランティアチームのリーダーだったクリステル・ダールスケアー氏はPrivate Internet Access(PIA)という会社とのスポンサー契約締結を発表。Freenode Ltd.の所有権はPIAの創業者であるアンドリュー・リー氏に移ります。この時、リー氏は「ネットワークの運営には関与しない」と約束していたとのこと。


ところが、2021年になって突然freenodeのウェブサイト上にリー氏の別の事業の宣伝が掲載され、そのことをボランティアスタッフがクリステル氏に問い合わせたところ、クリステル氏は状況を説明せずに辞任を選択。新たにボランティアチームのリーダーに選出されたトマウ氏は、リー氏がfreenodeの運営に関与することを拒否し、リー氏とボランティアチームの対立が深まっていました。

そんな中、リー氏はFreenode Ltd.の所有権を根拠に、ユーザーデータを含むfreenodeの完全な管理権限を取得しようとして対立が決定的に。ボランティアチーム側は法的な根拠がなく、裁判で争うことは不可能なため、新たなIRCネットワーク「Libera Chat」を立ち上げてそちらの管理に移行することを発表しました。すでにCentOSHaskellHaiku OSなど一部のプロジェクトではLibera Chatへの移行が決定しています。

なお、過去にfreenodeを使っていた場合に自分のデータを削除する方法については、kline.shで確認可能です。

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in ネットサービス, Posted by log1d_ts

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