メモ

Googleマップでガザ地区の衛星写真の解像度が極端に低すぎるという問題


パレスチナのガザ地区はイスラエル軍から包囲され攻撃をたびたび受けている地域。人権団体や研究者は衛星画像から世界各地域の迫害状況を確認しますが、Googleマップにおいて、ガザ地区の衛星画像の質が極端に低すぎて、街の様子がほとんど確認できないという問題が指摘されています。

Israel-Palestine conflict: Why images of densely-populated Gaza blurry on Google Maps? | Hindustan Times
https://www.hindustantimes.com/world-news/israelpalestine-conflict-why-densely-populated-gaza-blurry-on-google-maps-101621263791928.html

指摘を行ったのは、イギリスの調査報道ウェブサイト「ベリングキャット」のスタッフであるアリ・トーラー氏。

I know this is the least of the issues going on in Gaza now, but it's absurd that Google (and Bing, and even Yandex) refuse to provide non-potato satellite imagery for some of the most densely populated places on earth, and are regularly hit by Israeli airstrikes. pic.twitter.com/c6DtcYXYvr

— Aric Toler (@AricToler)


ガザ地区は頻繁にイスラエル軍からの攻撃の標的となるため、当地区の状況を観察している研究者は、どの場所が攻撃を受けたのかを確認する必要があります。しかし、Googleマップ上に表示される衛星写真はどれも低解像度で街の様子がはっきりと確認できません。

以下が実際にGoogleマップの航空写真でガザ地区を表示させた様子。ぼんやりと街の様子が確認できますが、建物と建物の境界線を確認するのが難しいぐらいに画像がぼやけています。


ズームインしても、細部が明確になることはありませんでした。


一方で以下は北朝鮮・平壌の街の様子。


駐車している車の台数や色まではっきりと確認できます。


GoogleはMaxarPlanet Labsといった衛星製品、地球観測サービスを扱う企業から衛星写真を提供してもらい、それらを縫い合わせるようにしてGoogleマップの航空写真を作成しています。そしてGoogleはこれらの画像を定期的に更新することで、Googleマップを「最も世界の変化を反映している」地図にするよう試みていると、2020年のブログ投稿で述べています。このとき、Googleは「特に人口密度が高く、道路や建物の建設が多く行われている場所の更新を頻繁に行っていく」と説明しました。

しかし、現状のGoogleは、「世界で最も人口密度の高い場所の1つ」とされるガザ地区よりも人口密度の低い場所について、鮮明な画像を表示しています。トーラー氏は、ガザ地区の写真について「最新のGoogle Earth画像は2016年のもので、ゴミのようなものに見えます。一方でシリアのランダムな農村地域にズームインすると2016年以降に取得された高解像度の画像が20枚以上ありました」と指摘しています。

The most recent Google Earth image is from 2016 and looks like trash. I zoomed in on some random rural area of Syria and it has had 20+ images taken since that time, in very high resolution. pic.twitter.com/KrYbku1oxe

— Aric Toler (@AricToler)


アメリカでは1997年に「Kyl–Bingaman Amendment」という法律が施行され、アメリカとその同盟国の重要な軍事施設については、鮮明な衛星画像の使用が禁じられました。この法律の影響でアメリカ企業はイスラエルやパレスチナの鮮明な衛星画像を販売することが禁じられていたのですが、あくまで法律は一部の施設について定めたもの。ガザ地区全体のような、広範な場所の衛星画像について制限を課すものではありません。また2020年には法改正で、2メートルの地上サンプル距離制限が0.4メートルにまで緩められました。

つまり、2021年5月時点でGoogleがガザ地区についてGoogleマップで不明瞭な衛星写真を利用していることの合理的理由は存在しません。しかし、BBCがGoogleに尋ねたところ、Googleは「より高解像度の画像が利用可能になった時に衛星画像を更新することを検討している」としたものの、「現時点では予定はない」と述べたとのこと。一方で、アプリを通して衛星画像を提供しているAppleは、「より高解像度の画像に更新するために取り組んでいる」と述べたそうです。

衛星画像は人権侵害を調査する上で重要なものとなっており、ミャンマーのロヒンギャ族の迫害は、衛星画像で村が広範囲に燃えていることでも確認されました。衛星画像を閲覧できるサービスを提供しているGoogleもまた、高解像度画像の頻繁な更新を求められています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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