Android 12から「アプリのトラッキングを制限する機能」が追加される可能性、ただし「14兆円の収入が減る」という指摘も
Googleが「アプリやウェブサイトのトラッキングをユーザーが拒否できる機能」をAndroidの次期バージョンであるAndroid 12から実装する可能性が指摘されています。しかし、Google内の一部からは「年間1300億ドル(約14兆円)の広告収入に悪影響が出るのではないか」と懸念する声も挙がっていると報じられています。
Google Struggles to Match Apple on Smartphone Privacy Changes — The Information
https://www.theinformation.com/articles/google-struggles-to-match-apple-on-smartphone-privacy-changes
Google Planning to Take 'Baby Step' Approach to New Privacy Features for Users - MacRumors
https://www.macrumors.com/2021/05/17/google-planning-baby-steps-for-privacy-features/
Google関係者の証言によれば、Googleは「Androidスマートフォンを使用しているユーザー25億人を、アプリ開発者が追跡できないような機能を搭載しようとしている」とのこと。
Androidでは未実装のトラッキング制限機能ですが、Appleは同様の機能を2020年に発表し、iOS 14.4のベータ版からテストを行ってきました。
Appleが広告トラッキングを制限するためのポップアップ表示をiOS 14.4のベータ版でテスト - GIGAZINE
そして、2021年4月にリリースされたiOS 14.5で、App Tracking Transparency(ATT)が正式にリリースされました。2021年5月に行われた調査では、9割近くのユーザーがアプリの広告トラッキングを拒否したことが判明しています。
iPhoneユーザーのほとんどがiOS 14.5で有効になったATTからアプリによるユーザー追跡を拒否していることが明らかに - GIGAZINE
海外メディアのThe Informationは、「GoogleがAndroid 12に、ATTと同じような機能を追加する予定」と報じています。事前に発表内容を見たという関係者によれば、Googleが搭載するという機能は、アプリがカメラや位置情報、その他の権限にアプリがアクセスすることを制限できるそうです。
ただし、Google社内の一部にはこのATTに似た機能をAndoird 12へ追加することに反発する者もいると、The Informationは述べています。
デバイスやサービスを提供するAppleと異なり、Googleは2021年第1四半期(1月~3月)だけでおよそ318.8億ドル(約3兆4700億円、YouTubeは除く)の広告収入を得るなど、広告事業がGoogleのコアビジネスとなっています。新機能追加に反対する人々は、アプリによるトラッキングを制限することは、Googleにとって重要な広告事業に悪影響を与えるのではないかと懸念しているというわけです。
なお、Android 12のプレビューは、日本時間の2021年5月19日(水)午前2時から始まるGoogleの年次開発者向け会議「Google I/O 2021」で発表される予定ですが、ATTに似た機能については段階的に明らかにしていくとみられています。
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