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Intelが6~8コア対応のノートPC向けプロセッサ「Tiger Lake-H」シリーズを正式発表、搭載ノートPCも続々登場

by Intel Corporation

Intelは2021年5月11日、「Tiger Lake-H」というコードネームで開発されてきたノートPC向けの新たな第11世代Coreプロセッサを発表しました。Intelの「H」シリーズチップはゲーミングなどの用途を持つ高性能ノートPC向けの製品であり、今回発表されたTiger Lake-Hは全て物理6コア~8コアを搭載し、熱設計電力(TDP)は35W~65Wとなっています。

Intel Launches New 11th Gen Core for Mobile
https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/11th-gen-core-mobile-h.html

Intel Launches 11th Generation Core Tiger Lake-H: Eight Core 10nm Mobile Processors
https://www.anandtech.com/show/16668/intel-launches-11th-generation-core-tiger-lakeh-eight-core-10nm-mobile-processors

Intel’s Tiger Lake-H mobile chips are here to take on Ryzen 5000 - The Verge
https://www.theverge.com/2021/5/11/22423545/intel-tiger-lake-h-mobile-processors-11th-gen-laptops

Intelは2020年9月に第11世代Coreプロセッサの「Tiger Lake」を正式発表し、2021年1月に開催されたIT家電見本市「CES 2021」ではその上位シリーズである「Tiger Lake H」について発表していました。

第12世代CPU「Alder Lake」シリーズやゲーミングノートPC向け「Tiger Lake H」シリーズなどIntelのCES 2021発表内容まとめ - GIGAZINE


Tiger LakeはメーカーがTDPを一定範囲内で自由に設定することが可能なConfigurable TDP(cTDP)を採用していますが、既存シリーズの強化版である「Tiger Lake H35」シリーズを除いたTiger Lake製品は最大TDPが28W以下であり、コアとスレッドの数も4コア8スレッド以下でした。ところが、5月11日に正式発表された「Tiger Lake-H」はTDPが35W以上であり、6コア12スレッドまたは8コア16スレッドを実現しています。

発表された「Tiger Lake-H」の製品ラインナップは一般消費者向けが5製品、企業ユーザー向けが5製品となっています。技術系ニュースメディアのAnand Techがまとめた一般消費者向け製品のスペックが以下の通り。2モデルが6コア12スレッド、3モデルが8コア16スレッドとなっており、定格TDPは45W、統合GPUにはIntel Xeを搭載。最上位製品である「i9-11980HK」は最大TDPが65Wで基本周波数は3.3GHz、シングルコアのターボ周波数が5.0GHzとなっています。また、「i9-11980HK」と「i9-11900H」は、消費電力やプロセッサの温度に余裕がある場合に動作周波数を上限以上まで引き上げる「Turbo Boost Max 3.0」に対応しているとのこと。

 コア/スレッド定格周波数(45W)調整時周波数ターボ周波数(1コア・2コア)ターボ周波数(4コア)ターボ周波数(MAXコア)共有L3キャッシュメモリ容量GPU最大周波数
i9-11980HK8/162.6GHz3.3GHz(65W)5.0GHz4.9GHz4.5GHz24MB1450
i9-11900H8/162.5GHz2.1GHz(35W)4.9GHz4.8GHz4.4GHz24MB1450
i7-11800H8/162.3GHz1.9GHz(35W)4.6GHz4.5GHz4.2GHz24MB1450
i5-11400H6/122.7GHz2.2GHz(35W)4.5GHz4.3GHz4.1GHz12MB1450
i5-11260H6/122.6GHz2.1GHz(35W)4.4GHz4.2GHz4.0GHz12MB1400


企業ユーザー製品のスペックが以下の通りです。こちらも2モデルが6コア12スレッド、3モデルが8コア16スレッドであり、「W-11955M」「i9-11950H」「W-11855M」がTurbo Boost Max 3.0に対応しています。Anand Techは、この中でも「W-11855M」が奇妙なスペックを持っているとして「注目に値する」と述べています。

 コア/スレッド定格周波数(45W)調整時周波数(35W)ターボ周波数(1コア・2コア)ターボ周波数(4コア)ターボ周波数(MAXコア)共有L3キャッシュメモリ容量GPU最大周波数
W-11955M8/162.6GHz2.1GHz5.0GHz4.9GHz4.5GHz24MB1450
i9-11950H8/162.6GHz2.1GHz5.0GHz4.9GHz4.5GHz24MB1450
i7-11850H8/162.5GHz2.1GHz4.8GHz4.8GHz4.3GHz24MB1450
W-11855M6/123.2GHz2.6GHz4.8GHz4.7GHz4.4GHz18MB1450
i5-11500H6/122.9GHz2.4GHz4.6GHz4.4GHz4.2GHz12MB1450


Tiger Lake-Hシリーズの消費者向け最上位モデルである「Core i9-11980HK」と、第10世代「Comet Lake-H」の消費者向け最上位モデルである「Core i9-10980HK」について、「Far Cry New Dawn」「GRID(2019年版)」などのゲームでパフォーマンスを比較したグラフがこれ。全体的にパフォーマンスが向上していることが見て取れます。


また、競合製品である「AMD Ryzen 5900HX」と「Core i9-11980HK」のパフォーマンス比較を行ったグラフがこれ。全体的に「Core i9-11980HK」が上回っていることがわかりますが、Anand Techは「設計や最適化コメントが異なるため、ノートPCとノートPCを比較することは難しく、AMDに対するIntelのベンチマークには少し注意が必要です」と指摘しています。


また、Tiger Lake-Hシリーズの企業向け最上位モデルである「Core i9-11950H」は、第10世代「Comet Lake-H」の企業向け最上位モデルである「Core i9-10885H」と比較して、製品開発やメディア、エンターテインメント分野などでのパフォーマンスが29%向上するほか、金融サービスでも12%のパフォーマンス向上が見込めるとのこと。


また、IntelがTiger Lake-Hを発表したのに合わせて、Razer・HP・Asus・Lenovo・MSI・Acer・Gigabyte・DellといったPCメーカーが続々と「Tiger Lake-H」搭載ノートPCを発表しています。

All the new laptops announced with Intel’s latest 11th Gen H-series processors - The Verge
https://www.theverge.com/2021/5/11/22429412/intel-11th-gen-h-series-laptops

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in ハードウェア, Posted by log1h_ik

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