ハードウェア

Appleの落とし物トラッカー「AirTag」を郵送して追跡してみた結果はこんな感じ


Appleの落とし物トラッカー「AirTag」は世界中に存在するiOSデバイスのネットワークを利用し、そのありかを持ち主に伝えるというアイテムです。実際にAirTagが移動したときに、持ち主はAirTagのありかを追跡することが可能なのか?ということで、「AirTagを手紙で郵送する」という試みが行われました。

I Mailed an AirTag and Tracked Its Progress; Here's What Happened - The Mac Security Blog
https://www.intego.com/mac-security-blog/i-mailed-an-airtag-and-tracked-its-progress-heres-what-happened/

AirTagがどのようなアイテムなのかは、以下の記事から読むことができます。

Appleの財布やカバンを失くしても正確に位置が追跡できる落とし物トラッカー「AirTag」速攻フォトレビュー - GIGAZINE


また、使い方や動作の詳細は、以下から読むことが可能です。

Appleの音を鳴らしたり方向を示したりして落とし物を見つける手助けをしてくれる「AirTag」を使ってみた - GIGAZINE


作家であるカーク・マケルハーン氏は、このAirTagをカードに接着し、カードを封筒に入れて友人の家に郵送。AirTagがどのように移動したのかを追跡しました。

◆AirTagを追跡した結果とは?
マケルハーン氏が住んでいるのはイギリス中部のストラトフォード=アポン=エイヴォンで、友人の所在地はロンドン南部とのことで、約100マイル(約160km)、車で2時間ほどの距離です。

AirTagはiOSの「探す」というアプリで追跡可能。マケルハーン氏はとある金曜日の午後、ポストに封筒を入れた瞬間に「探す」アプリを起動してみたところ、ちゃんと正しい場所が表示されたとのことです。


手紙の回収時間は17時ごろとなっており、マケルハーン氏がアプリで追跡したところ、17時28分には近くの郵便局に到達したことが確認できました。


AirTagはBluetoothのビーコン技術を利用しており、AirTagの発信する信号をiOS13以上を搭載した近隣デバイスが検知することで、その場所を知らせます。このため、郵便局にAirTagの到着が表示されたということは、手紙の回収者あるいは郵便局員がiOS 13以上の端末を持っていたことを意味します。

その後、17時49分にAirTagは移動を開始。18時40分頃に街を出て北部に向かいました。


19時30分には郵便物の自動仕分けセンターであるサウスミッドランズ・メールセンターに到着したことを確認。マケルハーン氏はMacでスクリプトを設定し、2分毎に「探す」のスクリーンショットを取りました。22時8分から翌朝まで、AirTagを運ぶ車はいくつかの地点で停車しながら移動し続け、6時45分にロンドンに済む友人の家近くの仕分けセンターに到着。友人は午前中にAirTagを受け取ったそうです。


◆AirTagがアラートを鳴らさない可能性
AirTagはストーカー行為を助長する可能性が懸念されています。AirTagを「ターゲットとする人物の持ち物にこっそり入れる」ことで、その人の動きを追跡することが可能になるためです。このため、Appleはストーカー対策として、AirTagの所有者が誰かにAirTagをつけた場合には、AirTagをつけられた人のiPhoneに「AirTagがあなたと一緒に移動しています」という通知が送られる仕様になっているとのこと。

'AirTag Found Moving With You' - What it Means and What to Do - MacRumors
https://www.macrumors.com/how-to/airtag-found-moving-with-you/

メッセージが送られる条件として、「AirTagが所有者から3日以上離れていること」がありますが、マケルハーン氏が送ったAirTagが友人の元に送られてから3日たっても、友人のiPhoneにはメッセージが届かなかったそうです。


これについてマケルハーン氏は「例えば誰かが目的とする人物のカバンにAirTagを滑り込ませたとして、その人物がカバンを家に置いたことで『常に一緒に移動している』状態ではなくなったとき、メッセージが送れないのかもしれない」と予想し、何らかの制限があることを示唆しています。実際に友人はAirTagをテーブルに置いており、「常に一緒に移動している」状態ではありませんでした。なお、この機能についてAppleはその仕組みの詳細を明かしていません。

また、AppleはAirTagについて、「所有者から3日以上離れると、近くの人に対してアラートを発する」としていますが、友人はこのアラートも聞いていないと述べています。ワシントンポストはこのアラートは15秒間と短いものであり、音も大きくないと記していることから、マケルハーン氏は「テレビなどをつけていて友人が聞き逃したのかもしれない」とコメント。


◆AirTagの追跡機能まとめ
AirTagはそのありかをリアルタイムで正確に追跡するデバイスではありませんが、iOSデバイスは世界に10億台近くあることから、ネットワークの巨大さを利用してある程度の追跡が行えることが示されました。

今回の追跡において、郵便物のトラック運転手がiPhoneを持っていたかどうかは定かではありませんが、例えばトラックの近くを走る車の運転手がiPhoneユーザーであれば、その信号をキャッチすることができる可能性があります。AirTagsが利用するBluetooth 5は100メートルの範囲内であれば信号を届けることができますが、壁や障害物の存在によって違いが生まれるので、詳細な動作効率については「テストを行う必要がある」とマケルハーン氏。

またAirTagのありかが更新される頻度も明確ではない、とマケルハーン氏は述べています。マケルハーン氏がiPhoneユーザーであるパートナーにAirTagを渡してみたところ、パートナーが20マイル(約32km)離れた場所で用事を済ませる間、「探す」アプリの場所は頻繁に更新されなかったとのこと。しかし、パートナーが人の多いショッピングモールに行くと更新頻度が高くなったそうです。また、車などで移動速度が速い時はデータが更新されず、速度がゆっくりになると更新頻度が高くなるといった傾向も確認されています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Appleが発表したオフラインの端末でも位置を突き止められる「Find My」機能の仕組みとは? - GIGAZINE

Apple純正の落とし物の正確な位置を教えてくれるトラッカー「AirTag」がハッキングされる - GIGAZINE

Appleの落とし物トラッカー「AirTag」をカード化して半分以上に薄くした猛者が登場 - GIGAZINE

Amazonが紛失防止タグなどが使える独自無線規格「Amazon Sidewalk」を発表 - GIGAZINE

なくした物をスマホで地図表示&他のユーザーに探してもらえる超小型追跡タグ「MAMORIO」レビュー - GIGAZINE

落とし物を防止・追跡・発見できるiOS/Android用トラッキングタグ「XY」 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.