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画像1枚から遭難したハイカーの居場所を特定した人物がその特定法を解説


2021年4月13日、アマチュア無線家であり「画像の特定」が趣味であるベンジャミン・クオ氏が、遭難したハイカーが撮影した1枚の画像からおおよその居場所を特定し、連絡を受けた捜索隊が無事救助するという出来事が起こりました。見事な活躍ぶりを見せたクオ氏が、今回「どのように居場所を割り出したのか」を解説しています。


2021年4月12日、ルネ・コンペアン氏というハイカーが山で遭難し、1枚の画像を友人に送信した後に音信不通となってしまいました。友人が当局に通報し、当局が一晩の捜索の後に画像をSNSで公開したところ、クオ氏がこれに目を付けて画像の分析を開始。クオ氏は短時間でおおよその座標を割り出し、座標から約1.2km離れた地点で捜索隊がコンペアン氏を発見して、無事救助しました。

遭難したハイカーが「写真の特定が趣味の人」により速攻で発見される - GIGAZINE


コンペアン氏が友人に送信した画像は以下。この日、コンペアン氏はカリフォルニア州のエンジェルス国有林に位置するウォーターマン山をハイキング中でした。


クオ氏は、まず「コンペアン氏がどのエリアでハイキングを行っていたのか」の特定にかかりました。コンペアン氏がウォーターマン山で遭難したことは当局のツイートから既に分かっていたので、ウォーターマン山を横切るエンジェルス・クレスト・ハイウェイの「北」か「南」、どちらでコンペアン氏が遭難したのかを絞っていきました。


ここで衛星の画像が役に立ちます。クオ氏は衛星から撮影された地上の画像を数日ごとに更新し公開しているサイト「Sentinel Hub」を使い、コンペアン氏が撮影した画像と対照させていったとのこと。クオ氏は「Google Earthなどのアーカイブされた画像ではなく、今の山がどのように見えるのかを確認することは非常に重要です」と語ります。実際、エンジェルス国有林では2020年9月から3カ月にわたる大規模な山火事が発生しており、植生や風景が大きく変化していたとのこと。ハイキングに慣れていたというコンペアン氏も、救助後に「風景の違いから道を見失ってしまった」と語っています。


そして、クオ氏はエンジェルス・クレスト・ハイウェイの北には植物が少なく、南には植物が多いということを確認。コンペアン氏の画像にも緑が多く写っているため、クオ氏は「コンペアン氏はエンジェルス・クレスト・ハイウェイの南で遭難した」と判断します。


そして、Sentinel Hubでいくつかの地点を調べたクオ氏は、コンペアン氏の画像に似ている風景を探し出しました。衛星画像は人の目線から撮影された画像と角度が違い、通常それ以上の特定は困難ですが、幸いSentinel Hubには3D視覚化ツールが導入されていたため、衛星画像の角度を変えて詳しい対照が可能だったとのこと。


クオ氏が最終的に特定した画像は以下。崖の形が一致しており、クオ氏はほぼ間違いないと考えたものの、確証を得るために測定ツールや描画ツールを備えたGoogle Earthに移行します。


そして、Google Earthの画像をコンペアン氏が遭難したと思われる時間に調整した結果、割り出した地点が間違いないと確信を得たとのこと。


なお、クオ氏は「特定にかかった時間は21分でした」と語っています。

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in Posted by log1p_kr

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