サイエンス

宇宙の彼方で行方不明だった彗星着陸機「フィラエ」を発見、ミッション終了を間近に控えた相棒「ロゼッタ」が写真撮影に成功


太陽を周回するチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸したものの、十分な太陽光発電ができないために欧州宇宙機関(ESA)が運用の打ち切りを決定していた彗星着陸機「フィラエ」の実際の姿を、フィラエとともに探査を行っていた彗星探査機ロゼッタが上空から撮影に成功したことが発表されました。

Philae found! / Rosetta / Space Science / Our Activities / ESA
http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Rosetta/Philae_found

Lost Philae lander found as Rosetta mission draws to a close | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2016/sep/05/lost-philae-lander-found-as-rosetta-mission-draws-to-a-close-comet-67p

Missing comet lander Philae spotted at last: ESA (Update 2)
http://phys.org/news/2016-09-orbiter-comet-lander-philae-space.html

フィラエが写っているのがこの写真。ゴツゴツと岩だらけのチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面のどこにフィラエが写っているのかというと……


写真の右端のこの部分。画角ギリギリの、もう少しで見切れてしまいそうな日陰部分にフィラエの姿を確認することができます。


画像を拡大するとこんな様子。写真はフィラエから2.7km離れた上空から撮影され、1ピクセルが5cmの解像度とのこと。


この画像に各部の名称を書き入れるとこんな感じ。ちょうど、機体が横向きに倒れ、3本ある脚が宙に浮いている状態になっていることがわかります。


着陸機「フィラエ」は、水星探査機「ロゼッタ」とともに2004年3月2日にフランス領ギアナから打ち上げられたもの。約10年後の2014年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に速度を調節しながら接近し、同年11月12日に着陸機フィラエを彗星の核に着陸させることに成功しました。日本の探査機「はやぶさ」はこれに先立つ2005年に小惑星「イトカワ」に到達していましたが、フィラエは彗星の表面に人類で初めて「着陸」するという偉業を成し遂げていました。


しかし、着陸の際にフィラエは大きく2回バウンドして姿勢を乱し、着陸予定地点から1kmほど離れた場所に着陸。その地点が太陽からの光を十分に受けられない地点であったために電源が確保できず、フィラエのミッションは危機的な状況に陥っていました。その後、フィラエは彗星が太陽に近づくタイミングを待つために「休止モード」に入れられ、復活の時を待つことになりました。

彗星が太陽に近づくにつれてフィラエは十分な電力を得て復旧に成功。2015年6月13日、ロゼッタとフィラエの管制センターは、フィラエからの電波を受信することに成功しました。その後は散発的な通信に成功していたものの、本格的な復旧に至ることはありませんでした。

その後、彗星が太陽から離れるにつれてフィラエの状況は絶望的なものへと変化。そして2016年7月26日、フィラエの公式Twitterが「そろそろお別れを告げるときが来たようです。明日、ロゼッタの通信ユニットの電源が永遠に落とされることになりました」と、お別れのツイートをつぶやき、フィラエは永遠の眠りにつくことに。


その直前には、「僕は地球や太陽から遠い場所にいる!僕は君たちとの思い出と一緒にいるよ。地球から僕に手紙を送ってね!」という泣かせるツイートを行っており、多くの人がメッセージや地球の風景をフィラエのために投稿していました。





フィラエの眠りに続き、探査機ロゼッタは2016年9月30日に彗星に「着地」して任務を終了する予定。着地とはいうものの、ロゼッタには着地装置が備わっていないため、着地の衝撃でロゼッタは破壊されてしまうと見られています。これは非常に難しいミッションのため、実際に衝突が可能かどうかも不明な点が多いのですが、ESAでは最期の瞬間まで実現を目指すとのことで、その間もロゼッタは彗星表面の高精細画像撮影を行って地球に送信するという、一度きりのミッションを行う予定となっています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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