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Intelのデータセンター向けCPU「Xeon」開発責任者が第3世代Xeon SPやOptaneについて語る


Intelは2021年4月6日、データセンター向けのCPU「Xeon Scalable Processors(SP)」の第3世代を発表しました。新たに発表されたXeonや今後の展望などについて、開発総責任者のLisa Spelman氏がインタビューに答えています。

Intel’s Full Enterprise Portfolio: An Interview with VP of Xeon, Lisa Spelman
https://www.anandtech.com/show/16608/intels-full-enterprise-portfolio-an-interview-with-vp-of-xeon-lisa-spelman

過去数年にわたってIntelはデータセンター向けの製品ラインアップを拡充し、CPU中心の企業から転身を遂げています。データセンター向けの製品としては2021年4月に発表された第3世代Xeon SP(通称Ice Lake-SP)やOptane パーシステント・メモリー、200ギガビットイーサネット、Stratix FPGAAgilex FPGAMovidius VPUTofinoプログラマブル・イーサネット・スイッチASICなどが挙げられます。IntelのXeon and Memory Group部門のヴァイス・プレジデントとゼネラルマネージャーを兼任するLisa Spelman氏によると、こうした製品群を組み合わせることで、Intelは競合他社が実現できないソリューションを提供できることが強みとのこと。

Spelman氏はテクノロジー系ニュースサイト・AnandTechの「これまでのXeon Scalable processorsシリーズは幅広いニーズに応えてきました。新たに登場したIce Lake-SPでもその点は変わらないのでしょうか?」という質問に対し、「私たちが現在注力しているのは、エッジからクラウドへというXeonのネットワーク転換の推進です。私たちはデータセンターのコア部分やクラウド、ハイパフォーマンスコンピューティングを実現しており、今後もお客様に提供できる機能やサービスを拡充し、多くのユースケースで一貫したプラットフォームを提供する予定です」と回答し、データセンター向けのソリューションの拡充に力を入れているとしました。

Intelが第3世代「Xeon Scalable Processors」を発表、10nmプロセス採用&最大40コアでパフォーマンスも大きく向上 - GIGAZINE


Spelman氏は「Xeonは全ての汎用ソリューションの中でも最も汎用的で、文字通り何でも即座に実行できるというエクスペリエンスを提供するもの」として説明し、Intel自体が特定の分野に目を向けるという形から包括的なソリューションを提供するという方式にスライドしており、このスライドによって要件収集自体が如実に改善されたとコメント。包括的なソリューションの実例としては、エッジ向けにはMarket Ready Solutionsを、クラウドやエンタープライズ、ネットワーク、高性能計算向けにはSelectソリューションを挙げました。

AnandTechから「サーバー業界において、生のコアパフォーマンスの比較はどれほど重要なのでしょうか?」とXeonのベンチマーク論議について水を向けられたことに対し、Spelman氏は「ベンチマークを気にするという嗜好は、聴衆や業界関係者の中核を占めていると考えています。私はベンチマークの活用から離れようとは思っていませんが、『Xeon CPU単体のベンチマーク』に加えて、『Xeonプラットフォームのベンチマーク』にも目を向けられるべきだと考えています。Intelがパフォーマンス全体を向上させ続けることは重要で、標準化されたベンチマークは議論の的となり続けるでしょうが、『製品群全体で何ができるか』という包括的な視点を加えたいと思っています」と回答。「ソリューション全体のベンチマーク」に目を向けられるべき、という見解を示しました。

また、歴代のXeonでは、ソケットが1から8まで拡張可能だったのが、第3世代Xeon SPでは10nmプロセスで最大2ソケットのIce Lake-SPと14nmプロセスで4~8ソケットのCooperLakeにラインアップが分割されています。「技術的な制限が原因で分割されたのでしょうか?それとも顧客からの要望が原因でしょうか?」という質問に対し、Spelman氏は「製品構成に柔軟性を持たせるため」と回答。先行して投入したCooper Lakeで顧客要件の大きな範囲を満たすようにし、Ice Lake-SPで顧客自身も明確にわかっているわけではない顧客のニーズを満たせるようにしたとのこと。Intelは、Cooper LakeとIce Lake-SPを統合したSapphire Rapidsマイクロアーキテクチャを採用したXeonを2021年内に発表する予定ですが、Spelman氏はSapphire Rapidsで「要件全体をカバーする」と語っています。


「Sapphire Rapidsについてはおそらく話していただけないと思いますので、Ice Lakeプラットフォームの寿命はどのようになるのかについておたずねしたいのですが」という質問については、「Sapphire Rapids投入後も、かなり長期にわたってIce Lakeは生きながらえると思います」とSpelman氏。クラウドサービスプロバイダーは製品購入の際に最高性能のものを購入する傾向があり、当然ながら最高性能の製品は「長く使える」という想定であるため、「長く使いたい」というニーズに応えるつもりとのこと。Spelman氏は「『Sapphire RapidsとIce Lakeのタイミングが近すぎるのでは』?と言われますが、私たちはむしろ『Ice Lakeで環境を構築してから、Sapphire Rapidsに手軽に乗り換えられるチャンス』と捉えています」とコメントしています。

IntelはMicronと共同開発した不揮発性メモリの「3D XPoint」を採用したOptane DCPMM 200シリーズを提供していますが、Micronは3D XPointの開発から撤退しただけでなく、工場の売却も進めています。こうした現状について、「Optaneの将来に関するIntelのビジョンをお話しいただけますか?」という問いが出ましたが、Spelman氏は「私たちは現在、Optaneに関する多くの素晴らしい機会と継続的な顧客の勢いの頂点に立っていると考えており、AVX-512やSGX、そして今回のOptaneのように、エコシステムの構築にも注力する予定です。Micronの一件は大きく報じられましたが、製造上の課題や契約の変更などに関するIntelのナビゲーション能力や管理能力は自信の持てるものです。ですので、最終的には問題なくことが進むと思っています」と回答しました。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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