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Intelが第3世代「Xeon Scalable Processors」を発表、10nmプロセス採用&最大40コアでパフォーマンスも大きく向上


Intelが、データセンター向けのCPUである第3世代「Xeon Scalable Processors(SP)」を発表しました。Xeon Scalable Processors(SP)はXeonとしては初の10nmプロセスルールを採用し、従来よりも大きく性能が向上しているとのことです。

Intel Launches Its Most Advanced Performance Data Center Platform | Intel Newsroom
https://newsroom.intel.com/news-releases/3rd-gen-xeon-scalable-processors/

New Intel Processors Accelerate 5G Network Transformation | Intel Newsroom
https://newsroom.intel.com/news/new-intel-processors-accelerate-5g-network-transformation/


第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーの概要
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/docs/processors/xeon/3rd-gen-xeon-scalable-processors-brief.html


今回発表された第3世代Xeon SPの開発コードネームは「Ice Lake-SP」で、Intelの10nmプロセスで設計されるSunny Coveアーキテクチャを採用した最大40個のコアで構成されています。これによって、2016年頃のシステムと比較して最大2.65倍のパフォーマンス向上を実現したとIntelは述べています。


第3世代Xeon SPは対応するメモリの種類によって「Xeon Platinum」「Xeon Gold 6300」「Xeon Gold 5300」「Xeon Silver」の4シリーズに分けられており、そのいずれもLGA4189-4、あるいはLGA4189-5のソケットを搭載したWhitleyプラットフォームに対応しています。また、前世代ではPCIe 3.0×32レーンだったのが、第3世代Xeon SPシリーズではPCIe 4.0×64レーン(デュアルソケットでは128レーン)に対応しています。


メモリについては、Intelの「Optane パーシステント・メモリー200」シリーズを最大4TB(デュアルソケットは8TB)まで認識可能。なお、Xeon PlatinumとXeon Gold 6300がDDR4-3200、Xeon Gold 5300がDDR4-2933、Xeon SilverがDDR4-2666に対応しており、メモリチャンネルは前世代の6チャンネルから8チャンネルに増加しました。


ただしTDP(熱設計電力)については、第2世代Xeon SPのフラッグシップモデルであるXeon Platinum 8280は205Wだったのに対して、Xeon Platinum 8380は270Wと、およそ1.3倍に増えました。

各シリーズごとにまとめた第3世代Xeon SPのSKU構成は以下の通り。SGXはIntel Software Guard Extensionsで生成されるメモリ領域の容量を示しています。また、モデル名についているアルファベットはQが「液冷対応」、Yが「Intel Speed Select テクノロジー PP(パフォーマンス・プロファイル)2.0をサポート」、Pが「IaaSクラウド専用」、Vが「SaaSクラウド専用」、Nが「ネットワーク最適化」、Mが「メディア処理最適化」、Tが「長寿命および拡張サーマルサポート」、Uが「ユニプロセッサ」、Sが「SGXのメモリ容量512GBを保証」を意味しています。

Xeon Platinum
 コア数ベースクロックターボ時最大クロック
(1コア)
ターボ時最大クロック
(マルチコア)
L3キャッシュTDPSGX希望小売価格
8380402.3GHz3.4GHz3.0GHz60MB270W512GB8099ドル(約89万円)
8368Q382.6GHz3.7GHz3.3GHz57MB270W512GB6743ドル(約74万円)
8368382.4GHz3.4GHz3.2GHz57MB270W512GB6302ドル(約69万円)
8362322.8GHz3.6GHz3.5GHz48MB265W64GB5488ドル(約59万円)
8360Y362.4GHz3.5GHz3.1GHz54MB250W64GB4702ドル(約52万円)
8358P322.6GHz3.4GHz3.2GHz48MB240W8GB3950ドル(約44万円)
8358322.6GHz3.4GHz3.3GHz48MB250W64GB3950ドル
8352Y322.2GHz3.4GHz2.8GHz48MB205W64GB3450ドル(約38万円)
8352V362.1GHz3.5GHz2.5GHz54MB195W8GB3450ドル
8352S322.2GHz3.4GHz2.8GHz48MB205W512GB4046ドル(約44万円)
8352M322.3GHz3.5GHz2.8GHz48MB185W64GB3864ドル(約42万円)
8351N362.4GHz3.5GHz3.1GHz54MB225W64GB3027ドル(約33万円)

Xeon Gold 6300
 コア数ベースクロックターボ時最大クロック
(1コア)
ターボ時最大クロック
(マルチコア)
L3キャッシュTDPSGX希望小売価格
6354183.0GHz3.6GHz3.6GHz39MB205W64GB2445ドル(約27万円)
6348282.6GHz3.5GHz3.4GHz42MB235W64GB3072ドル(約34万円)
6346163.1GHz3.6GHz3.6GHz36MB205W64GB2300ドル(約25万円)
6342242.8GHz3.5GHz3.3GHz36MB230W64GB2529ドル(約28万円)
6338T242.1GHz3.4GHz2.7GHz36MB165W64GB2742ドル(約30万円)
6338N322.2GHz3.5GHz2.7GHz48MB185W64GB2795ドル(約31万円)
6338322.0GHz3.2GHz2.6GHz48MB205W64GB2612ドル(約29万円)
6336Y242.4GHz3.6GHz3.0GHz36MB185W64GB1977ドル(約21万7000円)
633483.6GHz3.7GHz3.6GHz18MB165W64GB2214ドル(約24万円)
6330N282.2GHz3.4GHz2.6GHz42MB165W64GB2029ドル(約22万3000円)
6330282.0GHz3.1GHz2.6GHz42MB205W64GB1894ドル(約20万8000円)
6326162.9GHz3.5GHz3.3GHz24MB185W64GB1300ドル(約14万円)
6314U322.3GHz3.4GHz2.9GHz48MB205W64GB2600ドル(約28万6000円)
6312U242.4GHz3.6GHz3.1GHz36MB185W64GB1450ドル(約16万円)

Xeon Gold 5300
 コア数ベースクロックターボ時最大クロック
(1コア)
ターボ時最大クロック
(マルチコア)
L3キャッシュTDPSGX希望小売価格
5320T202.3GHz3.5GHz2.9GHz30MB150W64GB1727ドル(約19万円)
5320262.2GHz3.4GHz2.8GHz39MB185W64GB1555ドル(約17万円)
5318Y242.1GHz3.4GHz2.6GHz36MB165W64GB1273ドル(約14万円)
5318S242.1GHz3.4GHz2.6GHz36MB165W512GB1667ドル(約18万円)
5318N242.1GHz3.4GHz2.7GHz36MB150W64GB1375ドル(約15万円)
5317123.0GHz3.6GHz3.4GHz18MB150W64GB950ドル(約10万円)
5315Y83.2GHz3.6GHz3.5GHz12MB140W64GB895ドル(約9万8000円)

Xeon Silver
 コア数ベースクロックターボ時最大クロック
(1コア)
ターボ時最大クロック
(マルチコア)
L3キャッシュTDPSGX市場価格
4316202.3GHz3.4GHz2.8GHz30MB150W64GB1002ドル(約11万円)
4314162.4GHz3.4GHz2.9GHz24MB135W64GB694ドル(約7万6000円)
4310T102.3GHz3.4GHz2.9GHz15MB105W64GB555ドル(約6万円)
4310122.1GHz3.3GHz2.7GHz18MB120W512GB501ドル(約5万5000円)
4309Y82.8GHz3.6GHz3.4GHz12MB105W64GB501ドル


技術系ニュースサイトのAnand Techは、第2世代のXeon Platinum 8280と第3世代Xeon Platinum 8380を比較して、「コア数が43%増え、キャッシュの容量がほぼ2倍になった」「PCIe帯域幅が2倍になった」「価格は全体的に安くなった」と評価する一方、「TDPが増加した」「ターボ時最大クロックがやや低下した」という部分を指摘しています。


また、Tom's Hardwareは第2世代Xeon SPや競合他社であるAMDの第2世代EPYCと性能比較を行っています。

Intel Ice Lake Xeon Platinum 8380 Review: 10nm Debuts for the Data Center | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/intel-ice-lake-xeon-platinum-8380-review-10nm-debuts-for-the-data-center


Tom's Hardwareは比較の結果、第3世代Xeon Platinum 8380が前世代と比較して大きく進化しており、一部のベンチマークテストでは、AMDが「コア当たり性能は世界最高」とアピールする第2世代EPYCの7Fx2を上回るスコアを叩き出していたと報告しています。AMDはデータセンター向け市場でIntelが大きく掌握していたシェアを着実に奪いつつありますが、第3世代XeonはAMDに奪われたシェアを再び取り返すための主戦力となる製品となるかもしれないと、Tom's Hardwareは述べました。ただし、2021年3月に発表されたばかりのAMDの第3世代EPYCは、第2世代Xeonの2倍以上のベンチマークスコアを叩き出したということなので、IntelとAMDによるデータセンター向け市場のシェアの奪い合いはさらに苛烈を極めていくと予想されます。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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