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フリーソフトウェア財団理事を追放されるも復帰を果たしたリチャード・ストールマンが声明を発表、コミュニティからは「謝罪になってない」と批判も

by Anders Brenna / teknikmagastinet.se

フリーソフトウェア運動の提唱者で著名なプログラマーであるリチャード・ストールマン氏が失言によってフリーソフトウェア財団を追われるも復帰した件について、フリーソフトウェア財団とストールマン氏が声明を発表しました。しかし、ストールマン氏の追放を叫ぶコミュニティの一部からは「謝罪になっていない」という批判が寄せられています。

Statement of FSF board on election of Richard Stallman — Free Software Foundation — Working together for free software
https://www.fsf.org/news/statement-of-fsf-board-on-election-of-richard-stallman


RMS addresses the free software community — Free Software Foundation — Working together for free software
https://www.fsf.org/news/rms-addresses-the-free-software-community


2019年にストールマン氏は、実業家のジェフリー・エプスタインがセレブリティを相手に児童売春を行っていたというスキャンダルについて、自身のメーリングリストの中で言及。ストールマン氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの創設者であるマービン・ミンスキー教授(当時故人)が「エプスタインが侍らせていた未成年女性に対して性的暴行を加えた」と報道されたことに対して、「仮に事実であったとしても明らかにエプスタイン側から誘われたものであり、『性的暴行』という言葉は道徳的に不適切」という意見を表明しました。

しかし、その内容を問題視した一部により拡散され、発言からわずか5日でストールマン氏はフリーソフトウェア財団代表を辞任することとなりました。

著名なフリーソフト活動家が一通のメールで役職辞任に追い込まれたことに「危険な動きだ」と批判が寄せられる - GIGAZINE


そして2021年3月に、ストールマン氏はフリーソフトウェア財団に復帰しました。この復帰に対しては、フリーソフトウェア財団のメンバーからも反対の声が多く挙がっており、ストールマン氏の復帰を取り消す署名も集められました。

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by Christophe Ducamp

これを受けて、フリーソフトウェア財団は「フリーソフトウェアに対するストールマン氏の歴史的、法的、技術的洞察力は比類のないものです。彼のグローバルなネットワークは非常に貴重です。彼は依然として最も明確な哲学者であり、コンピューティングにおける自由の献身的な擁護者であることは疑いようがありません」とコメントしました。

さらにフリーソフトウェア財団は、ストールマン氏自身が間違いを犯したことを認めていることに言及し、「ストールマン氏の個人的な振る舞いは依然として厄介な部分はありますが、取締役会の過半数は彼の行動が改善されたと感じており、ストールマン氏がフリーソフトウェア財団の使命を追及する業務をより強化すると信じています」と述べています。


また、ストールマン氏はフリーソフトウェア財団の発表とは別に、個人的な声明を発表。その中で「私は他人を怒らせないようにする社会的スキルを持ち合わせていらず、時には怒りを爆発させることもありました。これに対処できる人もいれば、傷ついた人もいます。その人たちには謝ります。ご批判はフリーソフトウェア財団ではなく、私にお願いします」と述べ、過去の自分の言動を反省しました。

また、問題の発端となったミンスキー教授を擁護した件については、「現実であれ、想像であれ、私は自分や他人に対する冤罪を許せません。私はミンスキー教授を遠い存在としてしか知りませんでしたが、彼が不当に非難されているのを見て、私は彼を擁護しました」と、ストールマン氏。「ミンスキー氏の冤罪について語ることは正義であっても、エプスタインが女性に与えた不正や痛みを文脈として認めなかったことは無神経でした」と謝罪しました。

しかし、ストールマン氏の声明に対して、コミュニティからは反発する声も挙がっています。フリーソフトウェア財団の元理事でSoftware Freedom Conservancyのハッカーインレジデンスであるブラッドリー・クーン氏は電子メールで「フリーソフトウェア財団とストールマン氏の声明には、(ミンスキー教授との性行為を強要されたと主張している)バージニア・ジュフリーさんへの謝罪がありません。この声明は悪意のある人物に対する罰について言及していますが、被害を受けた人々を支援・謝罪・支援する努力は見られません」と批判しました。

IT系ニュースサイトのZDNetはストールマン氏の声明を「謝罪になっていない謝罪」と述べ、「フリーソフトウェア財団は長きに渡って、現代のテクノロジーの世界にはほとんど関連性のない、活気のない組織でした。ソフトウェアの自由を求める新世代の活動家を集めて運動を盛り上げるのではなく、ストールマン氏を指導的立場に戻すというリスクを取るような行動を選んだフリーソフトウェア財団は、その指導者の厄介な過去にこれまで以上に埋没しています」とコメントしました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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