レビュー

世界初の立体成型フルカーボンボディ採用ノートPC「VAIO Z SIGNATURE EDITION」レビュー


世界で初めてノートPCの筐体全面に、立体成型したカーボン連続繊維素材を使用したという新しい「VAIO Z」が登場しました。特に、プレミアムエディションである「SIGNATURE EDITION」では、最大5.00GHz駆動の「Core i7 11375H」を搭載したり、カーボンファイバーの美しさをそのまま外観に残した「シグネチャーブラック」を選べたり、黒色キートップに黒文字で刻印を施した「隠し刻印キーボード」が選べたりするということだったので、実際に触ってみました。

モバイルPCのグローバルフラッグシップモデル「VAIO Z」、世界初、立体成型フルカーボンボディを実現 | VAIOのお知らせ
https://news.vaio.com/z_210218/

VAIO Z 14.0型ワイド 2021年2月発表モデル | SIGNATURE EDITION
https://vaio.com/products/signature_z141/

◆外観&感触
VAIO Zの外箱はこんな感じ。なお、これはあくまで輸送用の外装箱。


外装箱の中に、個別の化粧箱が入っています。


本体は、この化粧箱の中でさらに不織布のインナーに包まれていました。


本体&説明書一式&ACアダプタ。


本体外観はこんな感じ。寸法はおよそ幅320.4mm、奥行220.8mm。最薄部が12.2mm、厚いところで16.9mm。


画面に向かって右側面にHDMIポートとUSB Type-Cポート。


後ろ側は角が斜めにカットされたデザインになっています。そのカットの隣にある小さな出っ張りは、天板を開いたときに本体後部を支える脚になります。


斜め下からのぞき込むと見える位置にスリットがずらっと並んでいます。


画面に向かって左側面にUSB Type-Cポートとヘッドセット対応のステレオミニ端子(イヤホンジャック)。


底面にはネジ穴はありますが開口部はありません。


唯一、本体後方側にnanoSIMカードスロットが設けられています。


本体重量は実測で1048g。


ACアダプタは160gでした。


ACアダプタは電源プラグ部分が少し大型。プラグは上寄りについているので、コンセント穴が縦に複数並ぶ場所では最下部のものを使うと良さそう。


本体左側面のUSB Type-CポートにACアダプタを接続すると、ポートのすぐそばのインジケーターが光ります。基本的に発光部分はここだけなので、夜、充電したまま置いておくケースでも睡眠の邪魔になりません。


画面を開くとこんな感じ。天板後方の出っ張りが脚になって、本体が少し持ち上がります。


ムービーで見るとこんな感じです。動き自体は非常にスムーズで、机の上で開閉して、ぎこちなさはありません。

VAIO Z SIGNATURE EDITIONのヒンジ部分の挙動はこんな感じ - YouTube


正面から見たところ。


キーボードは、キートップの文字がうっすら浮かぶ「隠し刻印」になっています。左下隅のキーはCtrlで、Altキーが左右にあるタイプ。打鍵感は、押し込みは浅めながらしっかり伝わってきます。ただ、CapsLockキーがやや大きめで、慣れるまでは、左手をホームポジションに置いていても、ついつい小指がAではなくCapsLockキーを押してしまっているケースがありました。


キー使用時はバックライトが点灯するので、暗所での作業も苦になりません。


画面上部には約207万画素のカメラを搭載。


使用しないときにはプライバシーシャッターを閉じておくことで、物理的に撮影を遮断できます。


電源ボタンは指紋センサーと一体型。


ボタン押下とともに指紋認証を行ったり、カメラの時間センサーを用いて離席時に自動的にスリープしたりといった機能が利用できます。


注文時のディスプレイ選択で4K・HDR対応のものとフルHDが選べて、4Kの場合、最大解像度は3840×2160ピクセルとなります。


そのため、デフォルト設定だと300%の拡大がかかっています。


300%拡大時の見た目はこんな感じ。クリックすると原寸大画像(899KB)が開きます。


拡大を解除して100%にするとこんな感じに。映像や画像・写真を扱うにあたって作業領域が広く欲しい場合でも、余裕でカバーしてくれます。クリックすると原寸大画像(933KB)が開きます。


◆各種ベンチマーク
ベンチマークソフト「Geekbench 5」で性能測定を行った結果は以下の通り。シングルコアのスコアが1606、マルチコアのスコアが5994でした。


システム情報はこんな感じ。型番は細かくいえば「VJZ141C12N」だそうです。


プロセッサ情報。第11世代Intel Core i7 11375H 3.30GHzを搭載。


メモリーは32GB搭載です。


Geek Bench 5 シングルコアの詳細がこれ。暗号化処理が3862、整数演算が1413、浮動小数点演算が1649となっています。


Geek Bench 5 マルチコアの詳細がこれ。暗号化処理が11570、整数演算が5436、浮動小数点演算が6275となりました。


PassMark PerformanceTest」でもスコアを測定してみました。総合スコアは「4598」。パーセンタイルとしては60%で、世界平均を上回りました。


CPUは「13722」、上位3分の1に食い込んでいます。


2Dグラフィックスは「529」。世界平均をわずかに下回る47%。


3Dグラフィックスは「3735」。パーセンタイルは36%とやや後退。


メモリーは「3032」で、上位30%入り。


そして、ディスクは「37813」で、パーセンタイルは99%。最上位に食い込んでいます。


ビジネスユースのノートPCとして一般的なLet'snoteシリーズのうち、CF-SV8のスコアと比較した結果が以下のものです。グラフのうち上がCF-SV8、下がVAIO Z SIGNATURE EDITION。総合スコアだと約2倍という差がつきました。


CPUは両機ともCore i7ですが、世代違い&クロックの違いで大きな差がつきました。


2Dグラフィックス。どちらもあまり得手ではありません。


同じく、ともに得手ではない3Dグラフィックスですが、3倍以上の差がつきました。


メモリーの搭載量は16GBと32GBなのですが、差はそこまで大きくつきませんでした。


ディスクはもともとどちらも高めのスコアですが、特にスコアの高かったVAIO Zが突き放した印象。


室温25度の環境下で「PassMark BurnInTest」の負荷試験を1時間実施したところ、エラーなくクリアしました。


温度グラフは取れておらず、どれぐらい安定稼働したのかは読み取れませんでした。


ただ、設定を「パフォーマンス優先」にしていたところ、かなりの勢いでファンが回っていたので、高負荷な作業でも問題なくクリアできそうでした。

ファン音がどんな感じかは、以下のムービーで確認できます。負荷試験中ということもあり、ずっと強めのファン音が続いています。

VAIO Z SIGNATURE EDITION 「パフォーマンス優先」時のファン音 - YouTube


ファン音が気になる場合は「静かさ優先」にすれば、ほぼ音はしなくなります。

VAIO Z SIGNATURE EDITION 「静かさ優先」時のファン音 - YouTube


◆使用時の温度
使用中に温度はどれぐらい上がるものなのか、「FLIR ONE」で確かめてみました。負荷試験中の本体温度は、高いところでおよそ41度。


本体と天板との隙間は排熱もあって、43度超え。


「パフォーマンス優先」設定時はファンが猛烈な勢いで熱風を吐き出しており、本体左側面が48度オーバーに。


本体右側面も同様。両側に排熱することでこれだけのパフォーマンスを発揮しているというわけです。


底面で熱い部分も同様に48度オーバーだったので、高負荷作業を膝の上に直接のせて行うのはオススメできません。


なお、ACアダプタは41度ぐらいでした。


◆使用感
「立体成型フルカーボンボディ」をうたうだけあり、まずボディの感触が滑らか。落下させて強さを確かめることはしませんでしたが、強度もアルミニウム合金やマグネシウム合金に比べて、同じ重量あたりの弾性率が2倍と高いとのことで、強さと美しさを兼ね備えているのはうれしいところ。

入出力に関しては、薄さを実現するためにかなり削っているというか、割り切った印象。このために公式で「TYPE-C ドッキングステーション」という、USB Power Delivery対応USB Type-C・USB 3.0・HDMI・VGA・LANポートを搭載したデバイスが用意されています。

バッテリー駆動時間はレビューで使用した解像度4Kモデルが約17時間、フルHDモデルなら約34時間。適度に画面の明るさを下げて、ネットに常時接続しないようにして使えば、1日の出張ぐらいは平気で乗り切れるはずです。


価格はカスタマイズ具合によっても大きく変わりますが、通常価格はVAIOストアで税込36万6080円です。

スペック選択|VAIO公式 オンラインストア|VAIO STORE
https://store.vaio.com/shop/goods/cto.aspx?goods=V0009901SE

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