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効率的かつ効果的に読書をするための「3つの目標」と「4つのステップ」


過去の研究により、「読書には脳の機能を強化する効果がある」ことや、「本に囲まれて育った人は高収入な仕事に就ける」ことが分かっており、読書にはさまざまなメリットがあるとされています。しかし、「今日こそは読書しよう」と意気込んでいても、気がついたらスマートフォンを見ていたという人は少なくないはず。イギリスで2年間医師を務めたこともあるというYouTuberのAli Abdaal氏が、ブログで「どうすれば効率的かつ効果的に読書ができるのか?」を論じました。

The Art of Reading More Effectively and Efficiently
https://aliabdaal.com/read-more-effectively/

◆読書の目的を設定する
Abdaal氏のお気に入りの本であるという「ハリー・ポッター」シリーズの著者、J・K・ローリング氏は、「いい本を読むと、ときどき魔法のようなことが起きる」と話したことがあるとのこと。確かに、読書には楽しみや有意義な点が数多くありますが、あまり抽象的なメリットばかり言われてもモチベーションにつながりません。そこでAbdaal氏は、本を読む目的を次の3つのカテゴリーに分類すると、読書に取りかかりやすいとアドバイスしています。

1:楽しむための読書
これは文字通り楽しむだけが目的の読書なので、特にルールや難しい理屈は必要ありません。Abdaal氏は「目標は単純明快、ただリラックスして、ストーリーに没頭すればいいだけです。自分を楽しませることだけを目的に読書をするのは、悪いことでもなんでもありません」と述べています。

2009年に発表された研究でも、読書は非常に優れたストレス解消法だということが分かっています。

読書がストレス解消に非常に効果的であることが研究で明らかに - GIGAZINE


2:情報を得るための読書
このカテゴリーの本は、特定の事実や何らかの情報について学ぶための本です。これらの本の多くは、レイアウトや章立てがシンプルで、どこに何が書いてあるのかが分かりやすくなっているのが特徴です。

Abdaal氏は、本から情報を得る上でのポイントについて「見やすい索引やレイアウトのおかげで、要点を見失うことなく関心のある箇所を見つけ、本を読み物として消費することができます。ここでの目標は、『判断せずに学ぶこと』です。新聞にせよ観光ガイドにせよ、個々の記事を面白く読むことができるかもしれませんが、あくまで時事問題や特定の場所についての知識を得るために読んでいるという点は念頭に置いておくべきです」と述べています。

3:理解するための読書
このカテゴリーの本は、判断を避けて単に知識を吸収するだけではなく、「物事を理解する」という認知的な努力を伴う点で上記の本とは異なります。「理解するための読書」は、読書を通じて成長するためには避けて通れませんが、すぐには理解できない内容や、受け入れがたいような事実が書かれていることも多いので、挫折してしまうこともあります。

そこでAbdaal氏は、次のポイントである「読書の4ステップ」に沿って少しずつ読書になじんていくと、本を読む姿勢を身に付けることができると説いています。

◆読書の4ステップ
上記の3つのカテゴリーは「読書の目標を設定する」ためのものですが、読書のステップは「読書のスタイル」を身に付けるためのもの。具体的には、以下の図のようように、下から「基礎」「精査」「分析」「シントピカル」の4つの段階に分かれています。


1:基礎
「基礎」は、学校で読書を習ったときのように普通に読んでその内容をしっかり把握することです。ここで重要になるのは、効率的な読書を目指すあまり速読をしないようにすることです。「確かに生産性を向上させるのは大切ですが、効果的な読書を身に付ける前に読む速さを上げようとするのは、新しい知識を得る能力を損なうだけです。効率的に本を読みたい場合は、次の『精査』の技術を身に付けてからスピードを上げていく必要があります」とAbdaal氏は述べました。

2:精査
「精査」をする上で重要なのは、「本の全体的な流れを理解し、著者が描こうとしている全体像を把握してから読む」こと。本の内容を掘り下げる前に、本の内容や要点を一度頭に入れておくべきだというのが、Abdaal氏の考えです。

「精査」には、「骨子」と「表面」の2つの側面があります。「骨子」ではまず、本のタイトルや帯、目次をざっと読んでその本が何について書かれた本なのかを把握します。次に、各章の序文と末文をチェックし、もし気になる見出しがあればそこも見ておきます。次の「表面」では、考察や分析をせずにざっと流し読みします。この2つの作業で「精査」をするのは、その本が次の「解析」に進むべき本なのかを吟味するために必要とのこと。


読むべき本なのかどうかを吟味することについて、Abdaal氏は「時には、いい本なのに間違ったタイミングでそれに出会ってしまうことがあります。今は面白いと感じなければ、無理に読む必要はありません。いつでも戻ってきて、また読むことができるからです」とコメントしました。

3:解析
「解析」は、本の中核的な内容を見つけ、著者の主張を評価することで、その本を徹底的を理解するプロセスです。そのためには、次の3つのポイントで本の核心を問う必要があります。

・その本は全体的に何を言おうとして書かれたものなのか?
・その本は具体的に何を言っているのか?
・それは少なくとも部分的には正しいのか?

「解析」でやることは1つ前の「精査」と似ていますが、ここでは特に著者が問いかけていることや、逆に答えようとしていることに焦点を当てていきます。次に、著者の主張や考えを理解した上で、その内容が正しいのかを見定めていきます。

Abdaal氏は、著者の主張を理解する上でのコツとして、アメリカの哲学者モーティマー・アドラーの「自分が何を考えているか表現できない人は、たいていの場合自分が何を考えているか分かっていない人だ」という格言を引用しました。


◆4:シントピカル
「シントピカル」とは、前述のアドラーによる造語で、異なる作品を比較して読むという意味です。1~3のステップの読書では特定の本が対象でしたが、シントピカルな読書では同じテーマを扱った別々の本がどのように結び付いているかを把握することで、その分野全体に対する理解を深めていきます。

シントピカルな読書をするにはまず、特定のテーマに関して論じている本のうち、特に関連性が高いと思われる本をリストアップします。次に、リストに挙げた本を「解析」のステップまで読み込んでから、共通している主題をキーワードとして自分の中で定義します。そして、それらの本が扱っている最も大きな疑問とその答えを洗い出して、それぞれの著者の主張を吟味していきます。

Abdaal氏は、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズの「創造性とは、物事をつなぐことに他なりません」という言葉を引用して、「シントピカルな読書をすると、特定のテーマについてのアイデアが結び付いていきます。これは、創造的な解決策と真の洞察につながる強力な媒体として作用する、画期的なものです」とコメントしました。

◆読書が長続きしない場合の対策
上記の方法を実践して、せっかく本を読むスキルを身に付けても、長続きしなければ元の木阿弥です。そこでAbdaal氏は、読書が習慣付かないという問題に対して「読書が好きになるまで、好きなものを好きに読む」ことをアドバイス。また、Kindleや読書用のアプリを使って気軽に読書できるようにしたり、「自分は読書好きだ」と公言して自分にプレッシャーをかけたりするのも効果的だとのこと。

Abdaal氏は末尾で「本を読むのは重労働ですが、知識を蓄えてインパクトのあるアイデアを打ち出せるようになりたいのであれば必須スキルです。もし身に付けることができれば、人生を大きく変える一番の要因になると約束します」と述べて、読書スキルを身に付けることを強く勧めました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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