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真の読書体験を得るための行為「マージナリア」とは?

by svenwerk

「本を汚したくない」という理由で本に直接メモを残すことを嫌う人も多いはず。一方でそんな「書き込みながら本を読む」という行為は、ただ読むだけよりも深い読書体験につながり、さらには作家になるための重要なステップにつながるということを、作家のAustin Kleon氏が自身のウェブサイトで述べています。

Reading with a pencil
https://austinkleon.com/2018/08/30/reading-with-a-pencil/

Kleon氏は「作家になるためのファーストステップは読者になることです」としつつ、次のステップには「鉛筆を握りしめながら本を読む」ことが重要になると述べています。ノートにメモをとるのではなく、アンダーラインを引いたり丸で囲んだり、読んでいる時に感じたことを走り書きして空きスペースで論じたりすることで、読み手と書き手の中間地点を存分に楽しむことができるとのこと。

by Dan Foy

Kleon氏はエッセイの中で写真家のBill Hayes氏のツイートを紹介しています。Hayes氏はエッセイ「Swimming in Words With Oliver Sacks」で、イギリスの神経学者Oliver Sacks氏の卓越した言語への熱意を紹介し、Sacks氏が書き込みをした本の数々をTwitterに投稿しています。

Turns out, Oliver Sacks loved to write notes on the pages of books he was reading--thoughts, ideas, arguments with the author, diagrams. Well over 500 of these.... pic.twitter.com/YtSbcUhNK9

— Bill Hayes (@BillHayesNYC)

"The basic experience of life is a stream of perceptions--made a stream by the unique identity of the percipient...." #OliverSacks annotated books pic.twitter.com/jO8qTXhipz

— Bill Hayes (@BillHayesNYC)


自分にとっての「光り輝く黄金」と「不要なゴミ」を言葉の羅列の中からふるいにかけるために、「注をつけながら読むこと(マージナリア)」は重要な役割を担うと、Kleon氏は指摘します。またSam Anderson氏がニューヨークタイムズに寄稿したエッセイを引用して、「マージナリア」はかつて、本を誰かに贈る際に書き込みがなされたり、片思いする相手に思いを書き足して本を贈ったりと、一般的に実践されていた行為であると述べています。

by nex230

Kleon氏はエッセイの最後で「マージナリアは真に本を所有し、真の読書体験を得るための手段になります」と改めてメモを書き込みながら読書することの重要性を説き、哲学者のMortimer J. Adler氏と作家・編集者のCharles Van Doren氏の著書「How to Read a Book」の一説を以下のように引用しています。

真に本の所有者となるためには、その一部を自分で作らなければなりません。そして、本の一部を自分で作る最良の方法が、本に書き込みをすることです。本を読むことは、あなたと著者の間の会話でなければなりません。書き込みをしてその本への異論や同意を示すことは、あなたが著者へ向けられる最大の敬意なのです。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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