App Storeの独占を禁止する法案がアメリカ・ノースダコタ州で否決される
By Liu Tao
アメリカノースダコタ州の州議会に、アプリ開発者がApp Store以外のアプリ配布プラットフォームを利用可能にすることをAppleに求める法案が提出され、否決されました。
REENGROSSED Senate Bill No. 2333 SECOND ENGROSSMENT - Sixty-seventh Legislative Assembly of North Dakota - LC Number 21.1044.04000 - 21-1044-04000.pdf
(PDFリンク)https://www.legis.nd.gov/assembly/67-2021/documents/21-1044-04000.pdf
Apple wins victory as North Dakota votes down bill that would regulate app stores
https://www.cnbc.com/2021/02/16/apple-wins-victory-as-north-dakota-votes-down-bill-that-would-regulate-app-stores.html
今回ノースダコタ州の議会に提出された法案は、「ノースダコタ州内で1000万ドル(約10億円)以上の利益を得ているデジタルアプリケーション配布プラットフォームのプロバイダーは、開発者に対してアプリケーションを配布するプラットフォームを限定することはできない」という内容です。しかし、「ノースダコタ州内で1000万ドル以上の利益を得ているデジタルアプリケーション配布プラットフォームのプロバイダー」はAppleとGoogleしか存在せず、この法案はAppleとGoogleに対する実質的な規制であるとアメリカのニュースメディアCNBCは指摘しています。
Appleは、App Storeでアプリを公開する開発者から売上の15~30%を手数料として徴収しています。人気ゲームアプリ「フォートナイト」は手数料の徴収を避けるために、2020年8月13日にApp Storeを介さない支払方式でゲーム内アイテムを購入できるようにしました。しかし、Appleは「規約違反である」としてフォートナイトをApp Storeから削除。これに対して、フォートナイトの開発元であるEpic Gamesは、「公正な競争」を求めてAppleを提訴しました。
「フォートナイト」開発元のEpic GamesがAppleを提訴 - GIGAZINE
Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは、自身のTwitterアカウントに「アプリストアにおける独占と戦うノースダコタ州の法案は、ユーザーや開発者にとって素晴らしいものです。アプリの公平性を求める連合は、ノースダコタ州に対するロビー活動を展開しました。Epicがこの連合に参加したことを誇りに思います」と投稿し、法案の提出にEpic GamesやSpotify、出会い系アプリTinderを所有するMatch Groupなどのアプリ開発者で構成されるアプリ公平性のための連合(CAF)が関わったことを明らかにしています。
North Dakota's effort to combat app store monopolies is awesome for consumers and developers. The Coalition for App Fairness organized the outreach, lobbying, and developer participation. Can't take credit for it, but Epic is proud to be a part of it!https://t.co/Zi0iDMpkaz
— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) February 16, 2021
この法案に対して、Appleのチーフプライバシーエンジニアであるエリック・ノイシェンワンダー氏は、「私たちは、App StoreにiPhoneのセキュリティやパフォーマンスを損なうアプリをラインナップしないように取り組んでいます。今回提出された法案が可決されれば、私たちはそれらのアプリを受け入れることになりかねません」と証言し、法案に対する反対の姿勢を見せています。
Microsoft Word - North Dakota Opening Statement (FINAL) (FOR DISTRIBUTION).docx - SIBL-2333-20210209-6054-A-NEUENSCHWANDER_ERIK.pdf
(PDFリンク)https://www.legis.nd.gov/assembly/67-2021/testimony/SIBL-2333-20210209-6054-A-NEUENSCHWANDER_ERIK.pdf
最終的に、この法案は賛成11対反対36で否決されました。法案に反対したジェリー・クライン議員は、「特定の企業に対する規制法は、多くの法的問題を引き起こします。ノースダコタ州の住民が支払った税金を企業間の紛争に利用するべきではありません」と語っています。
なお、アメリカ大手紙のニューヨーク・タイムズは、「ジョージア州やアリゾナ州、マサチューセッツ州の州議会でも、同様の法案が検討されています」と述べており、各州の決定に注目が集まっています。
・関連記事
AppleがApp Storeの30%の手数料を15%に引き下げるプログラムを開始、その要件とは? - GIGAZINE
Google・Amazon・Facebook・Appleはライバルを一掃して市場を独占しているのか、各CEOの発言はこんな感じ - GIGAZINE
Facebookが対Apple訴訟を準備か、App Storeにおける独占禁止法違反などにより - GIGAZINE
日本でもAppleのApp Storeが独占禁止法の調査を受ける、開発者からはその他の問題も指摘 - GIGAZINE
Appleに対して「App StoreとApple Payが独占禁止法に違反している」として欧州委員会が調査を開始 - GIGAZINE
「App Storeは独占禁止法違反だとユーザーがAppleを訴えることは可能」と最高裁判所が判決 - GIGAZINE
・関連コンテンツ